「神宮」と「神社」の違いとは?
天皇の祖先や天皇を祀っている神社のことを「神宮」といいます。また、「神社」とは、「神宮」はもちろん、「大社」「宮」「社」を含めたすべての神社のことを指します。
合計5社! 『日本書紀』と『延喜式神名帳』に登場する神社
「日本三大神宮」の有力な候補は、『日本書紀』と『延喜式神名帳』に登場する神社のことを指します。
『日本書紀』とは、日本最初の勅撰(天皇・上皇の命によって編さんされた)の歴史書です。そのなかに、「伊勢神宮」「出雲大社(出雲大神宮)」「石上神宮」が登場します。
一方、平安時代に成立したとされる『延喜式神名帳』には、「官社」に指定された全国の神社が記されており、格の高い神社として「伊勢神宮」「鹿島神宮」「香取神宮」が挙げられています。
どちらにも「伊勢神宮」が入っているため、合計5社が日本三大神宮の候補になるといえるでしょう。
ちなみに、『日本書紀』に登場する「出雲大社(出雲大神宮)」は、京都府亀岡市の「出雲大神宮」、島根県出雲市の「出雲大社」のどちらかはっきりとわかっていません。しかし、当時「出雲大社」は「杵築(きずき)大社」と呼ばれていて、明治時代に「出雲大社」と改称したため、京都府亀岡市の「出雲大神宮」である可能性が高いです。
さて、ここからは「日本三大神宮」の有力候補5社の特徴や魅力をご紹介していきます。
一生に一度は参拝に訪れたい、心のふるさと「伊勢神宮」(三重県伊勢市)
内宮
昔から「お伊勢さん」と呼ばれて親しまれている「伊勢神宮」は、「一生に一度はお伊勢参り」とうたわれた、日本人の心のふるさとです。伊勢神宮の神社はひとつではありません。皇大神宮(内宮)と、豊受大神宮(外宮)を中心とした125社のお宮とお社があり、その総称を「神宮」といいます。
外宮
日本人の総氏神である「天照大御神」を祀る皇大神宮を内宮、天照大御神の食事をつかさどり、衣食住などさまざまな産業の守り神「豊受大明神」を祀る豊受大神宮を外宮と呼びます。
外宮と内宮は少し距離が離れていますが、最初に外宮を、次に内宮を参拝するのが古くからの習わしです。そして、内宮の参拝を終えたら、おかげ横丁へ! おはらい町の中ほどに位置するこの横丁には、50店舗以上が軒を連ねています。伊勢路の建物を眺めながら、特産品や伊勢土産を購入したり、郷土料理に舌鼓を打ったり、赤福を頬張ったり。充実した時間を過ごせますよ。
住所:三重県伊勢市宇治館町1
電話:0596-24-1111(神宮司庁)
参拝時間:5:00~18:00(1月・2月・3月・4月・9月)、5:00~19:00(5月・6月・7月・8月)、5:00~17:00(10月・11月・12月)
交通アクセス:近鉄「五十鈴川駅」からバス・タクシーで約6分
公式サイト:https://www.isejingu.or.jp/
伊勢神宮(外宮)
住所:三重県伊勢市豊川町279
電話:0596-24-1111(神宮司庁)
参拝時間:5:00~18:00(1月・2月・3月・4月・9月)、5:00~19:00(5月・6月・7月・8月)、5:00~17:00(10月・11月・12月)
交通アクセス:JR・近鉄「伊勢市駅」から徒歩約5分
公式サイト:https://www.isejingu.or.jp/
縁結びで有名! 1300年の歴史がある丹波国一宮「出雲大神宮」(京都府亀岡市)
京都府亀岡市千歳町にある「出雲大神宮」は、1300年の歴史がある丹波国一宮で、現在は神社本庁に属さない単立神社です。旧称は「出雲神社」、別称は「元出雲」「千年宮」ともいわれています。
御蔭の滝
御祭祀は、大国主命(オオクニヌシノミコト)と后神である三穂津姫命(ミホツヒメノミコト)です。縁結びで有名で、境内にはお守りの赤い糸を結ぶ「夫婦岩」のほか、御神体山の御影山(みかげやま)から湧き出る霊水「真名井の水」といった見どころも満載。さらに、本殿は国の重要文化財に指定されていて、必見です。
また、『丹波国風土記』によると、「奈良朝のはじめ元明天皇和銅年中、大国主命御一柱のみを島根の杵築の地に遷す。すなわち今の出雲大社これなり」とあります。このことからも、『日本書紀』に登場する「出雲大社(出雲大神宮)」は、この神社のことを指していると思われます。
住所:京都府亀岡市千歳町出雲無番地
電話:0771-24-7799
拝観時間:24時間
交通アクセス:JR「亀岡駅」北口から京阪京都交通(バス)で「出雲大神宮前」下車
公式サイト:http://izumo-d.org/index.html
禁足地もある、布都御魂大神を祀る古社「石上神宮」(奈良県天理市)
龍王山(りゅうおうざん)の西の麓、布留山(ふるやま)の北西麓の高台に鎮座する「石上神宮」は、常緑樹に囲まれた日本最古の神社のひとつです。古代豪族物部氏の総氏神で、大和朝廷の武器庫だったという記録も残っています。かつては本殿をもたず、地中深く埋められた神剣と神宝を祀っていたそうです。
また、現在の拝殿は現存する最古のもので、国宝に指定されています。加えて、拝殿後方は約1,300平方メートルの石製瑞垣(みずがき)が囲む禁足地になっており、この神宮で最も神聖な霊域になっています。
古代百済から献上されたとされる国宝の七支刀をはじめ、鉄盾、勾玉、管玉といった重要文化財に指定された貴重な宝物が収蔵されていることから、「七支刀」を描いた、ここでしか授かれない「御神剣守」も! ピンチを守るお守りとして人気を集めています。
住所:奈良県天理市布留町384
電話:0743-62-0900
拝観時間:5:30〜17:30(開・閉門の時刻は季節により変わります)
交通アクセス:近鉄「天理駅」から天理市コミュニティバス「いちょう号」(東部線)下山田系統「石上神宮前」下車、徒歩10分
公式サイト:https://www.isonokami.jp/
鮮やかな楼門も! 日本建国・武道の神様を祀る「鹿島神宮」(茨城県鹿嶋市)
楼門
鹿島神宮は、日本建国・武道の神様である「武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)」を御祭神とする、神武天皇元年創建の神社です。東京ドーム15個分におよぶ境内には、透き通る湧水で禊(みそぎ)も行われる「御手洗池」や、神の使いとされる鹿がいる「鹿園」、地震を起こすなまずの頭を押さえているといわれる「要石」など、見どころ盛りだくさんです。
御手洗池
さらに、1619年に徳川秀忠より奉納された社殿は、極彩色で華やかな印象です。本殿・幣殿・拝殿・石の間は、いずれも国の重要文化財に指定されています。社殿の背後には、根廻り12m、樹齢1300年と推定されるご神木も!
1634年に徳川頼房が奉納した朱色の鮮やかな「楼門」も見逃せません。この門は、「日本三大楼門」のひとつに挙げられています。
住所:茨城県鹿嶋市宮中2306-1
電話:0299-82-1209
拝観時間:24時間
交通アクセス:JR「鹿島神宮駅」から徒歩10分
公式サイト:https://kashimajingu.jp/
明治以前に「神宮」の称号を与えられた、下総国一の宮「香取神宮」(千葉県香取市)
下総国一の宮である「香取神宮」は、明治以前に「神宮」の称号を与えられた名社です。初代神武天皇の御代に創建されたといわれています。本殿・中殿・拝殿が連なる権現造は、鹿皮のような色をした桧皮葺の屋根に黒塗りで、壮観です。
参道正面にある第二の鳥居「朱塗の大鳥居」のほか、香取神宮の御祭神である経津主大神(フツノヌシノオオカミ)が海から上陸したとされる「鳥居河岸(とりいがし)」、香取・鹿島神宮の大神様たちが、地中に深く石棒を差し込み、大ナマズの頭尾を刺し通されたと伝えられる「要石」といった見どころがいっぱいです。
また、要石に由来している、コロリとしていてかわいらしい「要石災難除守」は要チェック! 常に持ち歩いて、地震などから身を守りたいですね。
住所:千葉県香取市香取1697-1
電話:0478-57-3211
拝観時間:24時間
交通アクセス:JR「佐原駅」からタクシーで約10分
公式サイト:https://katori-jingu.or.jp/
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