【実はこれが日本一】「冷房車」を最初に走らせた関西の鉄道会社は?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 4th, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、暑い夏にぴったりの日本一を紹介します。

南海電車
©️JoeyPhoto / Shutterstock.com
 


 

最も早く冷房を電車に取り入れた鉄道会社

関西国際空港
©️Walter Eric Sy / Shutterstock.com

暑い日々が続きますね。地域によっては、天候の不安定な日々が続いていますが、梅雨の明けた沖縄や奄美では、本格的な夏の暑さがすでにスタートしていると思います。

そんな毎日に欠かせない冷房。今では、家の中はもちろん、勤め先、移動中の電車内など、至る所に冷房がありますよね。では、日本で最も早く冷房を電車に取り入れた鉄道会社は、どこになるのでしょう?

ヒントは、関西の鉄道会社です。さらなるヒントは、大阪の「なんば駅」に乗り入れています。なんば駅(難波駅、大阪難波駅)といえば、JR線、阪神線、近鉄線、南海線、地下鉄線(四つ橋線・千日前線)の駅でもあります。一体、どの路線を運行する鉄道会社でしょうか?

最後のヒントは、関西国際空港にも連れて行ってくれるあの路線です。関東の人は、これでもピンとこないと思いますが、関西の人であれば、ほとんどわかったのではないでしょうか。「南海鉄道」ですね。

冷房電車は大人気で乗客が殺到

南海鉄道の車両
©️yanchi1984 / Shutterstock.com

南海鉄道とは、1885年(明治18)に創業した鉄道会社です。難波と堺の間に鉄道を開通させたため、

<難波の歴史は南海電車の開通にはじまる>(宮本又次『大阪歴史散歩』より引用)

とも言われるくらい関西の発展に貢献してきました。なにしろ難波は当時、一面のネギ畑だったとか。

その南海鉄道は、岸和田、泉佐野、和歌山などへどんどん路線を開通させ、関西における代表的な鉄道会社の1つに成長していきます。

1936年(昭和11年)7月19日には、日本初の試みとして試験的に、クハ2802号に冷房設備を設置しました。

本格的な導入は翌年です。その結果、8両の冷房電車は大人気となり、乗客が殺到して、かえって車内が暑くなったと、公式ホームページに逸話が残されています。

日本記録認定協会によると、とにかく大掛かりな冷房装置だったそうです。高圧ガスの取り扱い免許を保有する有資格者が専任の検車係を担当するなど導入の裏側には大変な負担があったとか。

間もなく、冷房電車が日本で運転を開始した記念日がやってきます。電車移動を日常的にする人は車内で、戦前の様子を想像してみてはいかがですか? ありがたみや涼しさが余計に身に染みるかもしれませんよ。

[参考]
日本で初めての冷房電車 – 日本記録
過去の車両(昭和初期) – 南海鉄道
私たちのあゆみ – 南海鉄道
関西空港 – 南海鉄道
【今日は何の日?】冷房車、運転開始 – 乗りものニュース

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook