ガボンの基本情報
正式名称は「ガボン共和国(République Gabonaise)」。アフリカ大陸西岸中部に位置する、赤道直下の国です。1960年にフランスから独立しました。東と南はコンゴ共和国に接し、西は大西洋に臨みます。面積は26万7,667平方キロメートルで日本の約3分の2の大きさです。
海岸低地と国土の大半を占める高地からなり、オゴウェ川とングニエ川が2つの大きな谷を形成しています。熱帯雨林気候で高温多湿のため、年平均気温は27℃です。
©️Rusky / Shutterstock.com
人口は228万人(2021年)でファン、プヌ、ミエネ、テケ、コタといった民族が暮らしています。公用語はフランス語で、宗教はキリスト教、伝統的宗教、イスラム教です。
ガボンの国旗の、緑は「豊かな原生林」を、黄は「赤道と太陽」を、青は「川の豊かな流れと大西洋」、そして「海運国」であることを象徴。 シュバイツアー博士の著書『水と原生林のはざまで』に基づいてデザインされたといわれています。
国名は「ガボン川の国」という意味。ガボン川は、この地に来航したポルトガル人が、先住民が着ていた服がポルトガルの水夫が着る外套ガバンに似ていたため、名付けたとされます。
ガボンに行くには?
日本からガボンへは直行便が就航していません。行き帰り最低1カ所で乗り換える必要があります。日本から首都リーブルビルへ行く場合、フランスのパリなどで乗り継ぎが可能です。
ガボンに入国するためには、90日以内の短期滞在であればビザは不要です。2023年9月現在、パスポート残存有効期限は、ガボン入国日に6カ月以上が必要なほか、往復の航空券のEチケット、宿泊先に関する証明書(予約確認書)および黄熱予防接種証明書(イエローカード)を提示する必要があります。
ガボンの最新の渡航情報について詳しくは下記をご覧ください。
伝統的な文化も海岸もマングローブ林も満喫できる「リーブルビル」
アフリカ大陸のギニア湾沿岸、ガボン川河口の北岸にある港湾都市「リーブルビル」。1849年、奴隷船から解放された黒人に自由な社会を与えるという目的で建設されたため、フランス語で「自由の町」という意味です。
©️Kapuska / Shutterstock.com
そんなリーブルビルで人気なのが「ポワント=ドニ・ビーチ」。絵のように美しい海岸線は金色の砂で覆われ、マングローブの木々に囲まれています。海水は透き通ったターコイズブルーで美しいです。リーブルビルの港からボートまたはフェリーでビーチにアクセス可能。所要時間は約20分です。日差しが強いのでサングラスや帽子を忘れずに。
ガボン北西部にあり、リーブルビルに近い「アカンダ国立公園」も必見です。大西洋岸に面し、マングローブの干潟が広がっていて、渡り鳥の重要な渡来地でもあります。川沿いのロッジでは、水上レストランやボートツアーを提供。自然に囲まれながらゆったりと過ごせますよ。
ガボンの歴史や文化について学びたいのなら「ガボン国立芸術伝統博物館」へ。この博物館の一番の見どころは比類なき仮面のコレクション。それぞれの仮面から、独自の文化や習慣を感じられます。歴史的な楽器や工芸品なども見応えがあります。
David Stanley from Nanaimo, Canada, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
毎週日曜日に厳粛なミサが行われる「ノートルダム教会」も、ぜひ訪れたいスポット。市街を見下ろす丘の上に建っています。伝統的なポルトガルのタイルを思わせる青と白のデザインが素敵です。
ガボンの国民食「リーグラ」は必食! 具だくさんの炊き込みご飯で、お店によって味付けや具材が異なります。毎日違うお店で食べるのも楽しそうですね。
絶滅危惧種のニシローランドゴリラと遭遇できるかも!?「ロアンゴ国立公園」
「アフリカ最後のエデン」といわれる「ロアンゴ国立公園」は、ガボン西部に位置する面積1,550平方キロメートルの公園です。ラグーンや河川、湿原と熱帯雨林、サバンナ、ビーチといった変化に富んだ自然環境が魅力。ここには、サファリドライブやボートサファリ、ウォーキングサファリといったアクティビティが満載です。多様なスタイルで野生動物を観察することができますよ。
海岸エリアではザトウクジラ、オサガメ、アフリカマナティー、内陸部ではゴリラ、チンパンジー、マルミミゾウなどが生息。ゾウと海という意外な組み合わせが見られるのもロアンゴ国立公園ならでは。
ガボンのゴリラ
また、ニシローランドゴリラに会えるトレッキングは、毎日4名に限定されています。ゴリラの生態を垣間見るチャンスですが、なかなか競争率が高そうですね。野生のニシローランドゴリラはそれだけ希少な存在だといえるでしょう。
とはいえ、ロアンゴは地球上で最高の野生動物観察スポット。余裕があれば訪れたいですね。
リーブルビルからロアンゴ国立公園へは、国内線で35分、その後車またはボートで3時間半です。
中部アフリカで最大といわれる大迫力の滝がある「イビンドゥ国立公園」
アフリカクチナガワニ
2021年に世界自然遺産に登録された「イビンドゥ国立公園」は、ガボン北東部の赤道直下に位置します。面積は3,000平方キロメートルで、手つかずの熱帯雨林が広がり、急流や滝が美しい景観をつくり出しています。
中部アフリカで最大といわれる「コングウの滝」の幅は3kmにもおよび、想像を絶する大きさ。特に雨季の終わり頃には水量が増し、大瀑布となるため迫力満点です。また、森の中にポッカリと空いた「バイ」と呼ばれる湿地では、絶滅危惧種のニシゴリラやマルミミゾウの姿が見られることも。
さらに、同公園内には絶滅の危機に瀕している固有の淡水魚(うち13種)と、少なくとも7種のカワゴケソウ科の川草が生息。各滝には、微細な固有の水生植物が見られます。ですが、同公園内の一部はまだ調査されておらず、生息する魚類の全容は明らかになっていません。
絶滅危惧種に指定されているアフリカクチナガワニに出会える可能性もありますよ。希少な野生動物や魚類、固有の水生植物など、動植物が好きな人にはたまらない国立公園だといえます。
生物の多様性が見られる「ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観」
ガボンの川
ガボン中央部に位置する「ロペ=オカンダ」は、絶滅の危機に瀕する大型哺乳類などが生息するサバンナと、熱帯雨林など異なる生態系を持つのが特徴です。この場所では、氷河期後の気候変動に適応してきた、生態系・生物の多様性を見ることができます。現在、1,550種ほどの植物が確認されています。
また、オゴウェ川沿いに位置するこの一帯は、先史時代からバントゥー族をはじめ、多くの民族にとって、沿岸部と内陸を結ぶ交通の要衝であり、移住地でもありました。そのため、丘の頂周辺や洞窟には、新石器時代や鉄器時代に人類が暮らしていた痕跡が残り、約1,800もの岩絵が良好な状態で保存されています。
その自然環境と文化的景観により、2007年にガボン初の世界複合遺産に登録されました。
ガボンで人気のスポーツは?
ガボンで人気のスポーツは、柔道、空手、テコンドーといった武道です。しかし、以前は柔道畳など柔道指導に必要な器材が不足していたそうです。そこで日本のODA(政府開発援助)により、柔道関連器材を整備。より適切な環境で人々が柔道に取り組めるようにしたとのこと。
柔道を通じてガボンの人々が日本独自の文化・精神へ興味を持ってくれると良いですね。
[参考]
TIME
[All photos by Shutterstock.com]