レジャー施設は人気のお出かけスポット
テーマパークや遊園地、スキー場、ゴルフ場などのレジャー施設は人気のお出かけスポット。アトラクションやスポーツで楽しい時間を過ごせる施設は、特に休日は多くの人でにぎわいます。今回はレジャー施設で、けがをしてしまった場合のトラブルについて、アディーレ法律事務所の佳山亮子弁護士が解説します。
レジャー施設での事故
アクティビティ中にけがをした場合
A. せっかく楽しみに出かけた先で、けがをしてしまったのは残念ですね。アクティビティを楽しむレジャー施設、たとえばスキー場やゴルフ場での事故の場合、事故の原因を作った直接の加害者に対して損害賠償を請求することは当然できます。
さらに、施設そのものや、その管理や運用方法に不備があった場合、インストラクターなどの過失で事故にあったような場合には、それらの施設を管理する業者に対して、損害賠償を請求することができます。
業者は、利用者との間でレジャー施設利用契約を締結していますが、その契約内容として、業者は利用者が安全にプレーできるように注意を尽くす義務(安全配慮義務)があり、これに違反して事故が生じたときには、契約違反(債務不履行)として、損害賠償責任を負うことになります。
テーマパークで移動中にけがをした場合
A. 安全確認の欠如や整備不良による事故など、テーマパークにおいても事故が発生する可能性はあります。
事故が発生した場合には、事故状況、事故を引き起こした要因によって、テーマパークに対して法的責任を問える可能性があるのです。
具体的にいうと、職員がアトラクションに危険がないように利用者に喚起をすべきなのに、それをしておらず、その点に対するテーマパークの監督責任が認められる場合(人的要因)、または、管理者が定期的にメンテナンスを行う、安全検査を行うことを怠っていた場合(物的要因)等が考えられます。
ツアーを主催した旅行会社の責任は?
A. 慰謝料や治療費を請求できるかどうかは、旅行を主催した旅行会社に安全配慮義務違反があったかどうかがポイントとなります。
平成17年6月8日の裁判例では、ツアー中の事故について、旅行会社が責任を負うべき場合は限定されると判断されました。
また、平成26年にはスキューバダイビングの裁判例があります。スキューバダイビングは、スポーツ障害の中でも脳の障害などが残りやすいといわれますが、旅行業者が直接手配したダイビングツアー中に起きた出来事で、まさに旅行業者の安全確保義務違反か否かが問われました。
判旨では「現地のサービス提供機関は旅行会社の履行補助者とは認められない」とされています。旅行会社は現地ダイビングスクールのスタッフを直接コントロールできる立場にはなかった、すなわち、旅行会社の履行補助者ではないとして、責任があるとはいえないと判断されたのです。
以上より、主催した旅行会社が、レジャー施設が安全性に問題あると認識できたのに当該レジャー施設を選定した、またはレジャー施設のスタッフを直接コントロールする立場にあったといえる事情がない以上、責任を問うことは難しいといえます。
慰謝料の相場は?
A. レジャー施設を利用した際にけがをした場合の慰謝料についても、一般的な慰謝料の場合と同じです。
慰謝料については、入通院慰謝料と後遺傷害慰謝料の2種類に大別されます。
- 「入通院慰謝料」 けがの治療のために入院や通院を強いられたことに伴い、被害者が受けた精神的損害に対する賠償金
- 「後遺障害慰謝料」 後遺症が残ったことに伴い、被害者が受けた精神的損害に対する賠償金
相場については、けがの程度、入通院期間、相手の過失の程度等によって異なります。
入通院慰謝料については、けがの程度が軽い場合で、3カ月通院した場合は53万円程度、ケガの程度が重度の場合で6カ月通院した場合は120万円程度となります。
また、後遺障害についても交通事故事件について認定される後遺障害等級に応じて、目安が決まっています。等級は、1級から14級まであり、等級により110万から2,800万円となっております。
[協力]
アディーレ法律事務所