古くから山岳修験の山として有名な「羽黒山」
全国有数の修行の地である、羽黒山・湯殿山・月山(出羽三山)。593年、崇峻(すしゅん)天皇の皇子である蜂子(はちのこ)皇子が、8人の乙女に促されたあと、三本足の八咫烏(やたがらす)に導かれて、修行のあと、出羽三山を開山したといわれています。
そのうちのひとつ標高414mの「羽黒山」の山頂には、出羽三山の神を合祭した出羽神社の社殿「三神合祭殿」が鎮座。
参道には、国宝の五重塔が建つほか、2,446段の石段と杉並木が続き、神秘的な雰囲気です。
古来、多くの人から信仰を集めている「鏡池」に残る「羽黒九頭龍伝説」
その昔、日本海に蒙古軍(もうこぐん)の襲来があった際、羽黒山の鏡池から「九頭龍王」が現れ、日本海へ飛んで行き、蒙古軍を撃退したという伝説です。
そのため、境内にある羽黒信仰の中心であった鏡池は古来、多くの信仰を集めており、奉納された銅鏡が多数埋納されているとか。
古書によると「羽黒神社」と書いて「いけのみたま」と読ませていたそうです。この池を神霊そのものだと考えられていたことがうかがえますね。
また、この池は本殿の「御手洗池(みたらしいけ)」で、年間を通してほとんど水位が変わらない点が不思議です。
訪れるだけで生まれ変われる? 「羽黒山」の見どころ4選
出羽三山は、羽黒山が現世を、月山が前世を、湯殿山が来世の浄土を表すとされています。まずは現世からということで、「羽黒山」の見どころ4選をご紹介! 気になるスポットが盛りだくさんで飽きずに参拝ができますよ。
13年の歳月をかけて敷設された「石段参道」
山頂まで1.7km続く、敷き詰められた石畳の階段は、羽黒山の見どころのひとつです。参道沿いには、樹齢350年から500年を越す老杉が並びます。この参道は新たに生まれるための産道と伝えられているそうです。
江戸時代に羽黒山中興の祖である、50代別当天宥が13年の歳月をかけて敷設。この石段には33個の彫り物があり、すべて見つけることができれば大願が成就するといわれています。無理のないペースで登って、すべての彫り物を見つけたいですね。
杉並木の中にある東北最古の「五重塔」
杉並木の中にある「五重塔」は東北最古の塔といわれています。平将門により創建されたと伝えられていますが、現在の塔は約600年前に再建されたそうです。
高さ29mの三間五層柿葺素木造で、1966年に国宝指定に。この塔の近くには、樹齢1,000年以上、周囲10mの巨杉「爺杉(じじすぎ)」もあります。ぜひあわせてチェックしてくださいね。
11月以降は出羽三山で唯一参拝可能な「三神合祭殿」
羽黒山の頂上中央に鎮座する、「三神合祭殿」は一見の価値がある国指定重要文化財です。中世の面影を残す、貴重な茅葺木造建築で、厚さ2.1mの萱葺の屋根のほか、総漆塗の内部など迫力満点。現在の社殿は現在の社殿は1818年に再建されたものです。本殿前には鏡池も!
また、この社殿には月山、羽黒山、湯殿山の三神が祀られているのが特徴的です。冬は積雪により月山、湯殿山に登拝できないため、羽黒山に三神を祀ったといわれています。
龍が鏡池の水を飲みに行く!? 見事な龍の彫刻がある「厳島神社」
山頂に着いて、すぐの左手にあるのが「厳島神社」の社殿です。社殿の向拝部分には、左は降り龍、右は登り龍の見事な彫刻が!
同神社には、蜂子皇子と伊氐波神の対面を仲介したとされる、九頭龍王の妃神(きしん)として市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)が祀られているため、龍の彫刻が施されているそうです。
驚くことに、この龍の彫刻は鏡池の水を飲むために動き回る姿が目撃されているとか! どのように龍の彫刻が動くのか気になりますね。
そのほか、羽黒山参詣道の入り口に建つ、朱色が美しい「随神門(ずいしんもん)」や、三の坂の途中にある、縁結びのご利益があるとされる「埴山姫神社」、羽黒修験の奥の院「荒澤寺」など、一度は訪れたいスポットがいっぱいです。
なお、頂上までは長い石段をのぼることになります。所要時間は約90分です。
出羽三山の詳しい登山初心者・中級者・上級者コースについてはこちらをご覧ください。
住所:山形県鶴岡市羽黒町手向羽黒山
電話:0235-62-2355
公式HP:http://www.dewasanzan.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/dewasanzan.official/
交通アクセス:JR「鶴岡駅」前から約35分「羽黒随神門」下車
[参考]
出羽三山神社
羽黒町観光協会
やまがたへの旅|山形県公式観光サイト
つるおか観光ナビ
庄内観光サイト
[Photos by Shutterstock.com]