福岡・博多の名物グルメ「ゴマ鯖(サバ)」が生なのに食べられる理由は?│鮮度と寄生虫の種類に原因があった

Posted by: 土田洋祐

掲載日: Mar 2nd, 2025

明太子や豚骨ラーメン、もつ鍋などさまざまな名物がひしめく福岡県の博多には「ごま鯖(サバ)」という料理があります。生の鯖の刺身をすりごまなどで和えた一品で、筆者は福岡に訪れると必ずビールと一緒に注文してしまいます。ただ、気になるのが鯖なのになぜ生食できるのか、という点です。気になったので調べてみると、思わず納得してしまう理由がありました。

ゴマ鯖

寄生虫が原因!?福岡県の鯖が生食できる理由

なぜ福岡では鯖が生食できるのか? その答えは鯖の体に潜む寄生虫「アニサキス」に理由があります。

サバ
アニサキスといえば、主に魚介類を宿主とする寄生虫。そんなアニサキスが食事を通して私たち人間の体内に入ると、胃や腸壁に入り込み、激しい腹痛を引き起こすことがあります。イワシやアジといった青魚には、このアニサキスが寄生していることが多いとされており、なかでも鯖はアニサキスの宿主として代表的な魚です。

そのため、新鮮な海洋環境に恵まれた日本においても、鯖が生食されることはかなり限られているのです。

そんな厄介な存在のアニサキスですが、実はいくつかの種類があってそれぞれの特性が異なっています。

アニサキス 原いた
一般的に食中毒を人体に被害をもたらすとされているのは、「アニサキス・シンプレックス」という種。この種は宿主が絶命すると内臓から筋肉(身の部分)へ移動する性質があり、主に日本近海で獲れる鯖に多く寄生します。

一方で、福岡県近海で獲れる鯖には、「アニサキス・ピーグレフィー」という宿主が絶命しても筋肉へ移動しにくいという性質の種が多く寄生されます。

この性質から、鮮度のよいうちに内蔵を処理すれば、アニサキスが体内に入るリスクが低いとされています。これが福岡県で鯖が生食できる理由の一つと言われているのです。

福岡県以外に鯖を生食できる地域はある?

さて、福岡県で鯖が生食できる理由について紹介しましたが、ほかの地域ではどうなのでしょうか。

関サバ
福岡県と同じく九州地方では、大分県の「関サバ(鯖)」や長崎県の五島列島周辺で獲れた鯖は、刺身や寿司で提供されることもあるのだとか。いずれにせよ、生息環境や徹底した鮮度・流通管理が敷かれていることが一つの基準となっているので、生食する前にはしっかりと確認することが大切です。

※本記事は鯖の生食による健康被害の有無を保証するものではありません

[photo by PIXTA]

PROFILE

土田洋祐

Yosuke Tsuchida ライター

「好奇心が示す場所へ」をモットーに国内に旅するライター。各地で出会った人々とお酒を飲み交わす時間がなによりも喜び。好きな場所は寒い地域と端っこ。

【キャッチフレーズ】
日本文化を愛するビール好き

「好奇心が示す場所へ」をモットーに国内に旅するライター。各地で出会った人々とお酒を飲み交わす時間がなによりも喜び。好きな場所は寒い地域と端っこ。

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