福井県が発祥!観光におすすめのスポットも
ソースカツ丼
ヨーロッパ軒のソースカツ丼
薄くスライスした豚肉にパン粉をまぶしてカラッと揚げ、熱々の特製ソースをたっぷりからめた「ソースカツ丼」。その発祥とされるのが、福井市に本店を構える老舗洋食店「ヨーロッパ軒」です。そのルーツは、大正時代にまでさかのぼります。
創業者・高畠増太郎氏は、ドイツでの料理修行を経て帰国。現地で学んだウスターソースに独自のアレンジを加え、日本人の味覚に合うオリジナルソースを考案、1913年に東京で開かれた料理発表会で「ソースカツ丼」として初めて披露したのが、この料理の始まりとされています。その後、この味は福井県内に広まり、多くの飲食店で親しまれるように!
「ヨーロッパ軒」は現在も営業中。こちらのウスターソースは、甘味と酸味が絶妙で、薄くスライスされたトンカツにしっかりしみ込み、ほんのり甘い豚肉の旨味を引き立てます。トンカツが丼ぶりの蓋からはみ出るほどのボリュームにも注目です。また、数枚あるトンカツは、丼ぶりの蓋の上に1〜2枚待機させながら食べるのが福井市民流なのだとか。
やきとりの名門 秋吉(株式会社秋吉グループ本部)

やきとりの名門 秋吉 梅田店
「やきとりの名門 秋吉」は、1959年に島川丈男氏が創業。当初は福井市呉服町のわずか4坪の小さな店舗でした。「いずれ名門にしてみせる。そしてお客様も堂々と名門で飲んだ方が気持ちいいだろう」との想いから、「名門」の名を冠したそうです。
1966年に繁華街の福井片町へリニューアル移転。そこから徐々に人気を獲得し、5本単位の注文スタイルや活気ある接客が話題に! 今では北陸発の焼き鳥チェーンとして全国展開し、福井県のソウルフードとして親しまれています。
リニューアル移転した1号店は、現在も営業しています。数あるメニューの中でも、噛むほどに旨味があふれる「純けい」のほか、臭みがないのが特徴の豚ホルモン「しろ」は、一度食べたら忘れられないおいしさです。
福井県福井市順化2-7-1
公式HP:https://www.akiyoshi.co.jp/m/shop/shop_details/fukui/fukui_katamachi.html
ふるさと納税

福井のふるさと納税のお礼品「越前がに」
ふるさと納税を発案したのは、2006年当時に福井県知事だった西川一誠氏とされています。そして、2006年3月の日経新聞に掲載された、「地方見直す『ふるさと税制』案」をきっかけに、政治家の間で活発に論議が行われるようになり、地方の財政難を背景に2008年に制度化されました。
ふるさと納税は、都市部に集中する税収を、寄附というかたちで地方に再分配し、地域の活性化を後押しする仕組みです。2015年の制度改正では、控除額の拡大やワンストップ特例制度が導入され、利用者が急増。2019年には返礼品の過熱競争に歯止めをかけるルールが整備され、現在も全国で広く活用されています。
西川一誠氏が県知事だったころ、主に仕事をしていた「福井県庁」の屋上は、毎月最終水曜日に開放されており、高さ45mからの眺望を楽しむことが可能です。福井市の街並みはもちろん、新幹線やハピライン、えちぜん鉄道が並列している様子も眺めることができます。
財閥(住友財閥)

三井住友銀行大阪本店営業部
日本で最も歴史のある「住友財閥」は、実は福井がルーツです。創始者の住友政友(まさとも)は、1585年に福井県丸岡(現・坂井市)で武士の家に生まれましたが、父の死をきっかけに京都へ移り、商人として書物や薬の取引を始めました。
その後、政友の家系は大阪に拠点を移し、製銅業で成功。特に2代目の住友友似(ともじ)が、銅の製造技術を受け継ぎ「住友」の商いの基盤を築きました。
住友政友が誕生した坂井市には、北陸地方唯一の現存天守「丸岡城」があります。柴田勝家の甥・勝豊によって築かれた、外観は二層、内部は三階の独立式望楼型天守が印象的です。また、日本さくら名所100選にも認定されており、春になると約400本のソメイヨシノが古城を優美に彩ります。
国産メガネ

鯖江駅のメガネモニュメント
鯖江市は、国内メガネフレームの約95%を生産する、日本随一の「メガネの聖地」です。その原点は、増永五左衛門が生まれ育った福井の農村にあります。田畑が少なく、冬は豪雪に見舞われる地域で暮らしを支える産業として、彼はメガネ枠づくりに着目。1905年に大阪から職人を招いて技術を導入し、やがて地域の副業から一大産地へと成長しました。
鯖江市のメガネの歴史が知りたいのなら「めがねミュージアム」へ。昔のメガネ作りに使われていた道具などが展示されています。さらに県内産のものだけを揃えたメガネショップも。プロによるフィッティングのもと、最適な一本を購入できますよ。
食育

御食国若狭おばま食文化館
日本で初めて「食育」という考え方を広めたのは、福井市出身の医師・石塚左玄氏です。彼は1896年に「学童を持つ人は、躰育も智育も才育もすべて食育にあると考えるべきである。」と説いた著書を発表し、その中で「食育」という言葉を用いました。同氏は、旬の地元食材を食べることが健康につながると考え、自然に寄り添った食生活の大切さを訴えたのです。
その後、2001年に小浜市が日本初の「小浜市食のまちづくり条例」を制定。さらに2005年には「食育基本法」が成立し、石塚氏の理念は全国へと広がりました。福井発の取り組みが、今の食育政策の基礎になったのです。
福井の食にまつわる歴史や文化を学びたいのなら、「御食国若狭おばま食文化館」がおすすめ。郷土料理を味わえるほか、若狭塗箸の体験など、楽しく学べるコンテンツが充実しています。
「食」も「モノ」も「仕組み」も! 福井の始まりは多彩
ソースカツ丼・秋吉のやきとりといったグルメ、鯖江のメガネ産業、そしてふるさと納税や食育など制度・文化の始まりが集まる福井。今後もどのような始まりが生まれるのか、福井から目が離せませんね。
[Photos by PIXTA]