【実はソレ和歌山が発祥!】蚊取り線香や和食に欠かせない「鰹節」など!各スポットの観光情報も紹介

Posted by: あやみ

掲載日: Sep 8th, 2025

日本各地にはさまざまなはじまりの場所、つまりは発祥の地が点在しています。それらは私たちが普段よく目にするものだけでなく、その地域ならではのユニークなものまでがあり、人によってはその始まりの地を、聖地として訪れる人もいるのだとか。そんな都道府県各地のはじまりを紹介する本連載、今回は和歌山の発祥をご紹介します。

白浜

白浜

和歌山県が発祥!観光におすすめのスポットも

鰹節

鰹節

鰹節

和食に欠かせない「鰹節」。その礎となる製法を確立したのは、日高郡印南町の漁民・角屋甚太郎と伝えられています。かつての鰹節(干鰹)は硬く、風味も乏しく、保存性にも限界があったそうです。

17世紀半ば、角屋甚太郎は土佐・足摺岬沖に良好な漁場を発見。従来の「煮て乾かすだけ」の加工法に、薪を焚いて煙でいぶす「燻乾法(くんかんほう)」を加えました。さらに2代目・甚太郎が父の志を継ぎ、仲間と共に試行錯誤を重ね、火力乾燥の後に青カビを付けて日光で熟成させる「燻乾かび付け法」を確立。

これによって、松の薫りを思わせる独特の風味を持つ「改良土佐節」が生み出されました。この新しい鰹節は評判を呼び、印南の漁民によるかつお漁と製造業は大いに繁栄。しかし、18世紀末の天明の大飢饉をきっかけにかつおの通い漁は衰退し、現在印南町で鰹節は作られていません。

印南浜公園には、鰹節製法に大きく貢献した角屋甚太郎ら3人を讃える「印南漁民顕彰の碑」が建てられています。彼らのゆかりの地である土佐清水市や銚子市の海岸石も必見です。

印南漁民顕彰の碑(印南浜公園)
和歌山県日高郡印南町印南4485-34
公式HP:https://www.town.wakayama-inami.lg.jp/0000000169.html

蚊取り線香

蚊取り線香

蚊取り線香

蚊取り線香の始まりは、1885年までさかのぼります。金鳥(大日本除虫菊株式会社)の創業者・上山英一郎氏が、米国植物会社社長H・E・アモア氏に面会、珍しい植物種苗の交換を約束。翌年、アモアから除虫菊(ビューハク)を含む種子が届き、1890年には世界初の棒状蚊取り線香「金鳥香」を開発しました。

しかし燃焼時間は約40分前後と短く、就寝時には十分ではありませんでした。改良への道を模索する中、1895年に英一郎の妻・ゆきが庭にとぐろを巻く蛇から渦巻型のアイデアを提案したといわれています。

そして、試作と改良を重ね、1900年に特許を出願、1902年にはついに渦巻き型蚊取り線香が発売されました。この革新により、長時間安定して燃焼する現在の蚊取り線香の原型が確立されたのです。

残念ながら大日本除虫菊株式会社 紀州工場の直接的な工場見学は行えません。しかし、オンライン工場見学は可能です。製造工程をはじめ、工場長による解説や、蚊取り線香の懐かしいパッケージなども見ることができます。

金鳥(大日本除虫菊株式会社)
和歌山県有田市山田原180
公式HP:https://www.kincho.co.jp/factory/index.html

養殖マグロ

マグロ

クロマグロ

世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功したのは、東牟婁郡串本町にある「近畿大学水産研究所 大島実験場」です。1970年に水産庁の委託研究「マグロ類養殖技術開発企業化試験」が始まり、この地に大島分室(現・近畿大学水産研究所 大島実験場)が設立されました。

以来、研究者たちは32年もの歳月をかけて仔魚の飼育・育成に挑み続け、2002年には世界で初めて完全養殖クロマグロの誕生に成功。さらに2004年には、天然の稚魚に依存しない完全養殖クロマグロの出荷を実現しました。現在も持続可能な養殖技術の普及を目指し、研究が続けられています。

串本町では、養殖クロマグロへの餌やり体験が行われています。生簀で元気に泳ぐクロマグロが豪快に餌を奪い合う姿は迫力満点! 一度は体験してみたいですね。

串本町大島田代漁港
和歌山県東牟婁郡串本町大島
公式HP:https://kankou-kushimoto.jp/honmaguro-youshoku

南高梅

南高梅

南高梅

梅の最高級ブランドとして名高い「南高梅」の発祥地は、日高郡みなべ町です。明治時代、高田貞楠氏が約30アールの桑畑を梅畑に改め、60本の苗木を植えたことが始まり。その中に、大粒で紅が美しく、実りも豊かな一本が見つかり、母樹として育てられ「高田梅(南高梅)」の基礎となりました。

のちに南部高等学校の教諭・竹中勝太郎氏が5年間にわたる調査研究を行い、最も優れた品種を「南高梅」と名付けて世に広めます。こうして誕生した南高梅は、現在では和歌山を代表する名産品となりました。

発祥の地「たかだ果園」には、今も母樹が現存。有料見学では誕生の物語を聞くことができ、さらに「有機うめシロップ」や「しそ梅干し」作り体験も楽しめます。旅の思い出にぜひ立ち寄ってみたいスポットです。

たかだ果園
和歌山県日高郡みなべ町晩稲849
公式HP:https://takadakaen.jp/

備長炭

備長炭

備長炭

「紀州備長炭」の誕生地は、江戸時代の田辺市・秋津川です。古くから良質と評判だった「田辺炭」に注目した炭問屋・備中屋長左衛門が、江戸に卸す際に「備長炭」と名付けたのが始まりとされています。

火力が強く、長時間燃え続ける備長炭は江戸で大人気となり、その名と技術は全国へ広がっていきました。現在も紀州備長炭は、和歌山が誇る伝統的な特産品です。

「紀州備長炭発見館」では、木炭の歴史や文化、科学的な知見に加え、実際に使われてきた貴重な炭焼き道具も展示。不定期で「炭焼きの見学」、備長炭記念公園のイベント時に「窯出し体験」も開催しています。

紀州備長炭発見館
和歌山県田辺市秋津川1491-1
公式HP:https://www.binchotan.jp/knowledge/

合気道

合気道

合気道

合気道は、田辺市出身の植芝盛平氏が創始した現代武道です。日本の伝統武術を深く学んだ盛平氏は、精神的修行を重ねる中で独自の理念を築き上げ、1920年代から伝統武術を学びながら修練を積んだ植芝盛平は、1931年(昭和6年)、東京・新宿区若松町に正式な道場「皇武館」を開設。これが後の合気道本部道場の前身となりました。

1948年には財団法人「合気会」が文部省の認可を受け、「合気道」という名称が正式に確立。世界に広がる武道としての基盤が築かれました。

「植芝盛平記念館」では、開祖の足跡を伝える展示のほか、合気道の体験が可能。また、西ノ谷地区には「植芝盛平翁生誕の地(生家跡)」があり、息子・吉祥丸氏の筆による碑が建てられています。

植芝盛平記念館
和歌山県田辺市扇ヶ浜2-10
公式HP:https://www.city.tanabe.lg.jp/sports/ueshibamorihei-kinennkann.html

和歌山県は多彩な始まりが集積する地!

和歌山県は、古くから豊かな自然と人々の知恵によって、多彩な「始まり」を育んできました。世界に誇る紀州備長炭や南高梅、日本の食文化を支える鰹節や養殖クロマグロ、暮らしを変えた蚊取り線香、さらには精神文化を体現する合気道まで、実に幅広いです。和歌山を訪れた際は、気になる始まりの地をぜひ巡ってみてくださいね!

[All photos by PIXTA]

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PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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