
学生が企画した「ほういちの耳まんぢう」
2014年に島根県立大学の学生グループ「ゴーストみやげ研究所」が企画し、地元の老舗メーカー中浦食品と共同開発した怪談土産、その名も「ほういちの耳まんぢう」。日本の怪談を世界に広めた明治の文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談『耳なし芳一』をモチーフにした和菓子です。

2018年頃に終売しましたが、2025年度後期の連続テレビ小説『ばけばけ』の放送に合わせてリニューアルし、島根県内を中心に再販。「禍々しい! 八雲さんもびっくり!」と購入者から驚きの声が届いています。
八雲の曾孫である、島根県立大学短期大学部名誉教授の小泉凡先生は「全国の怪談ファンから再販を望む声が多数寄せられていた。卒業生のアイデアが再び注目されて嬉しい」と喜びのメッセージを伝えています。
小泉八雲と『耳なし芳一』
いただく前に、小泉八雲と怪談『耳なし芳一』についてもふれておきましょう。

<小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)>
1850年ギリシャで生まれ、1890年に記者として来日。松江中学校で英語教師を務め、翌年小泉セツと結婚。『古事記』を愛し、妖精や妖怪など目に見えない存在に対する豊かな感性をもつ八雲は、松江の文化や神々に魅了され日本の研究をし、松江・熊本・神戸・東京へと移り、54歳のとき東京で亡くなりました。1年3ヶ月という短い松江滞在が原点となり『耳なし芳一』『雪女』『ろくろ首』など怪談文学を執筆し、「へるん先生」の通称で、今でも親しまれています。

<怪談『耳なし芳一』>
現在の山口県下関市を舞台に、『平家物語』を語る盲目の琵琶法師・芳一の物語。壇ノ浦の戦いで滅んだ平家の霊を祀る阿弥陀寺に住む芳一は、ある夜、武士に連れられた屋敷で演奏をしますが、実はそれは平家の亡霊たちの前での演奏でした。毎晩呼び出される芳一の危険を察した寺の僧侶は、彼の全身に般若心経を書き霊から守ろうとしますが、耳にだけ経文を書き忘れてしまいます。やってきた亡霊には2つの耳だけが見えていたため、「わが君のため、証拠にこの耳を持って帰ろう」と耳を引きちぎり去っていきます。こうして芳一は命は守られたものの“耳なし芳一”と呼ばれるようになったのです。
実食レビュー

そんな、手に汗握る怪談物語をお菓子にした「ほういちの耳まんぢう」。パッケージの挿絵は写実的な“耳”を真ん中に、芳一、壇ノ浦の戦い、亡霊たちの姿が描かれ、どよ~んと恐ろし気な空気が伝わってきます!

いざ開封! 箱の中には個包装のお饅頭が4個入っています。

ころんとしたお饅頭は、細かく耳の形が再現されています。実際の耳とほぼ同じ大きさで、芳一の耳を思わせて少しドキッとしました!

しかし、ひと口食べたら恐怖は一瞬で和らぎました。

つややかな皮は甘さ控えめで、ぎっしりと詰まったやさしい甘さの白あんとよく合います。ほのかにはちみつの香りもして上品なおいしさです。お茶や紅茶、コーヒーとも相性がよく、あっという間に完食してしまいました!

迫力あるパッケージや耳の形にギョッとしながらも、幅広い年齢層に受け入れられる昔ながらのホッとする味わい。“怖くて美味なギャップ”が魅力の和菓子でした。
税込価格:4個入594円
賞味期限:製造日から110日間(常温)
購入店舗は?

「ほういち耳まんぢう」は、中浦本舗シャミネ松江店、島根県物産観光館、山陰自動車道宍道湖サービスエリア、出雲大社の神門通りのお土産屋さんなど店舗のほか、公式サイトのオンラインショップで販売されています。

2025年12月6日(土)に東京・中目黒にオープンした「出雲しめなわや 中目黒店」でも取り扱い、首都圏でもゲットできるようになりました!

また、小泉八雲記念館、松江歴史館、出雲大社のお土産屋さんでは、本商品を企画したサークルが制作した“小泉八雲作品の怪談グッズ”も販売中。島根を訪れた際には、お菓子とグッズで怪談土産がバッチリそろいますね!
怪談土産の今後の展開にも期待
バスから眺めた宍道湖
今回、『耳なし芳一』がピックアップされていますが、松江には数々の怪談が伝わっています。もしかしたら、今後もしかしたら別の怪談をモチーフにしたお土産の展開があるかもしれませんね!

朝ドラ『ばけばけ』を見て、「ほういちの耳まんぢう」を味わっていると、目に見えないものを信じない風潮にある現代人へ、小泉八雲が「怪談はただ怖いのではなく、日本の歴史や美を映しだしている」と教えている、と感じました。
公式サイト:https://www.sanin-nakaura.jp/
公式オンラインショップ:https://www.sanin-nakaura.jp/products/detail/897
中浦本舗 公式Instagram:@dojyou_sukui_manjyu
(購入店舗)
「出雲しめなわや 中目黒店」\(2025年12月6日(土)オープン/
住所:東京都目黒区上目黒3-11-7 プリエ中目黒102
TEL:03-6412-8859
営業時間:11:00~20:00
定休日:月曜日(催事・仕入れにより臨時休業あり)
交通:東急東横線・東京メトロ日比谷線「中目黒駅」より徒歩5分
公式Instagram:@izumoshimenawaya_nakame
(参考)
「公立大学法人 島根県立大学」https://www.u-shimane.ac.jp/kendai_news/archives/180.html
「一般社団法人八雲会」https://yakumokai.org/8553
「松江観光協会」https://www.kankou-matsue.jp/omoshiro/kaidan
[all photos by kurisencho]


