【昔のJALファーストクラスで配られていた「旅の手帖」がお宝すぎた】各国お土産ガイドが今でも参考になる!?

Posted by: Chika

掲載日: Apr 11th, 2026

1960年代のJALファーストクラスで配られていたという冊子「旅の手帖」。それは、機内サービスの紹介から入国手続き、海外旅行先でのお土産ガイド、通貨換算表など、実用的な情報がたっぷり詰まったものでした。中でも特に興味深かったのが、各国のお土産ガイド。現地で手に入れたい品々が細かく挙げられていました。現地に行って初めて目にする、手にできる、といったものが圧倒的に多かった時代。お土産ガイドから見る時代の変遷を辿ってみました。

JAL「旅の手帖」ファーストクラスのサービス

JAL「旅の手帖」の1ページ。1954年の国際線就航当初から、着物を着用した客室乗務員(CA)によるサービスが行われていました

「旅の手帖」表紙に描かれた鶴丸

1960年代のJALファーストクラスで配られていた「旅の手帖」がこちら。表紙のデザインもとても素敵です。JALといえば、大空を美しく舞う鶴の姿を用いた「鶴丸」マークのロゴが象徴的ですが、これは日本人の気高い精神性やきめ細やかな情緒を表現したもの。

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1954(昭和29)年の国際線開設後、ジェット旅客機時代の到来を控え、1959年にこの「鶴丸」が採用され、国際社会の中で、挑戦と成長を続ける日本の品格、信頼感、パイオニアスピリットを表現したのです。そんなJALの原点ともいえる鶴のモチーフが、表紙にも描かれています。

旅の手帖にはどんなことが書かれていたのか?

JAL「旅の手帖」

この「旅の手帖」は、搭乗客が楽しく、よりスムーズに旅行が楽しめるようにとの思いから作られたと書かれています。機内サービスの紹介、入国手続き、旅先での買い物や通貨換算表などの案内が詰まった、とても実用的なものだったのです。

JAL「旅の手帖」各国の通貨換算表

各国の通貨換算表のページもありました

JAL「旅の手帖」西洋料理のコースについて
ほかにも、「水道水は飲めない」といった情報や、西洋料理のコース構成や楽しみ方などについての記載がありました。

JAL「旅の手帖」JAL POCKET GUIDE
さらに、裏表紙のポケットには「JAL POCKET GUIDE」と書かれた小冊子が入っています。

JAL「旅の手帖」JAL POCKET GUIDE 中身
こちらには、都市別に入国や通貨・両替、チップ、空港から市内へのアクセスについてなど、旅先で助かる情報が詳しくまとめられていました。旅の手帖とJAL POCKET GUIDEには、ものすごい量のお役立ち情報が盛り込まれています!

各国のお買い物ガイドから見るお土産の変遷

JAL「旅の手帖」各国のお土産ガイド
驚きはそれだけに留まりません。ページをめくっていて思わず見入ってしまったのが、各国のお土産ガイド。そこには現代の私たちが知らない「かつての海外旅行の常識」が詰まっていました。また、現在とは異なるお土産事情もうかがえます。

注意点として、海外ではお店の営業時間が日本と異なる点にも言及されています。「フランスやイタリアなどは昼休みには2時間も店が閉まります」や、「一般に欧米では、夜の閉店時間が早く、日曜にはほとんどの店が休みです」など。「昼休みには2時間も店が閉まる」という一文にちょっと笑ってしまいました。

お土産ガイドの内容をそのまま以下にまとめました。

  • 各国のお土産品ダイジェスト
  • アメリカ: 家庭用品、台所用品、育児用品などに大変便利な品があります。
  • ハワイ:コナ・コーヒーとパインアップルは有名ですが、ナッツ類も豊富でよいお土産です。その他ポリネシアの民芸品など。
  • デンマーク:木工品のデザインは世界的。木製の食器、置物など小型のものがお土産向きでしょう。銀器も有名です。
  • オランダ:ダイヤモンドは他の国より25〜50%安く手に入ります。精巧なクリスタルとガラスも有名。また世界的な酪農国ですからチーズやバターは本場です。ココアやチョコレートも有名。
  • フランス:男性にはブランデー(コニャック)やぶどう酒(旅行用小切手でのお買物は20〜40%の割引)。女性には香水や装飾品など。パリの街で売っているお菓子はお子さまへのよいお土産になりましょう。陶磁器ではセーブル焼が有名です。
  • イギリス:洋服地や三毛、ネクタイ、帽子などの羊毛製品。レインコートや洋傘などの雨具、煙草や喫煙具もよく、ウイスキーは申すまでもなく本場。ジンも有名です。
  • ドイツ:写真機、光学機械。カミソリなどの刃物。万年筆。時計も優秀ですが、置時計、掛時計がよく、ラインの白ぶどう酒は有名。
  • スイス:腕時計、スイス刺繍の手工芸品、チョコレートなど。
  • イタリア:皮革品は安くて質も優秀。女性向きにはスカーフなどの絹製品もよく、アクセサリーはカメオが喜ばれます。ベニスでは美しい色彩のガラス製品が有名。キャンティ、キュラソー、ベルモットなどのリキュールはイタリアの特産です。
  • スペイン:ここも皮製品がよく、ぶどう酒や民芸品はよいお土産。
  • エジプト:プーフと呼ばれるクッション。スカラベ(こがね虫のことで幸福のシンボルとされ、指輪、ブローチ、ペンダントなどにデザイン化されています)の加工品。水牛の角の加工品、パイプ、琥珀、キャッツ・アイ、象牙製品など民芸品が豊富にあります。
  • インド:アジア各地では民芸的な手づくりの品に思い出となる品があり、たくさんの中から選びましょう。インド更紗、金銀の刺繍入り絹布、象牙加工、手編みレース、角細工、宝石など。
  • パキスタン:金や真鍮のきれいな置物、灰皿、金糸刺繍のストール、サンダル、カシミヤ製ショール、じゅうたんなど。
  • タイ:銀細工、ワニ皮製品、象牙細工、宝石などが有名。
  • 香港:世界各国の時計、カメラ、宝石、酒類、香水、貴金属、洋服地など、何でも安く手に入ります。中国の特産品としては絹製品、象牙細工、刺繍、白檀の扇子など。カラスミも本場です。
  • シンガポール:香港と同様自由港なので、各国の製品が安く手に入りますが、宝石、ワニ皮製品、象牙細工などが特産です。
  • インドネシア:ジャワ更紗、金銀細工、ワニ皮製品、バリ島の木彫製品、コーヒー。
  • 台湾:中国刺繍、宋、明朝伝来の製法による陶磁、パナマ製品、貝やサンゴ細工(イヤリング、腕輪、カフスボタンなど)、竹や麻の製品などが特産。
  • 韓国:漆器、刺繍、竹や木の工芸品、金や銀の精巧な細工、李王朝期の陶器。
  • 沖縄:琉球漆器、壺屋陶器、紅型(べんがら)染地や琉球かすり

現在では規制があるお土産の品々も

当時のお買い物ガイドでよく挙げられているのが、「象牙細工」「ワニ皮製品」「銀細工」といった重厚な工芸品です。

現在では、ワシントン条約により、象牙や特定のワニ皮製品、サンゴなどの持ち込みは厳しく制限・禁止されています。その点は現在と大きく異なる点だといえるでしょう。

オランダ・アムステルダムは「ダイヤモンドの都」だった

オランダの部分では、「ダイヤモンドは他の国より25〜50%安く手に入ります」という一文がありました。現在、ダイヤモンドの主な加工地はインドで、世界シェアの約8割~9割を占めています。

しかし、かつてはアムステルダムが400年以上にわたり「ダイヤモンドの都」と呼ばれ、世界中から集まった原石をカット・研磨する職人たちが腕を振るう一大拠点でした。

当時の日本では、ダイヤモンドのような贅沢品には高い物品税が課されていました(1989年の消費税導入時に廃止)。そのため、原石の加工から製品化までを一貫して行う職人の街・アムステルダムで直接購入できたこと、さらに日本の高い物品税を回避できたことが重なり、当時はダイヤモンドを比較的安く手に入れられたのです。

カメラ・腕時計・万年筆!今なお愛される老舗ブランドがいっぱい

ドイツの「カメラ」、スイスの「腕時計」、イギリスの「万年筆」。ドイツの有名なカメラといえば「ライカ(Leica)」、スイスの腕時計といえば 「ロレックス(Rolex)」「オメガ(OMEGA)」、世界三大時計(パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン)など、多くの高級ブランドが名を連ねます。

万年筆
イギリスの万年筆といえば、英国王室御用達の称号「ロイヤルワラント」をもつ「パーカー(PARKER)が世界的なブランドとして知られています。お土産ガイドのページにはブランド名こそ記載はないものの、当時から各国を代表するアイテムであることに変わりありません。

トラベラーズチェック(T/C)で買い物をしていた時代

フランスでは、「ブランデー(コニャック)やぶどう酒を旅行用小切手で購入すると、20〜40%割引になる」と記載がありますが、かつて使用されてきた旅行用小切手のトラベラーズチェック(T/C)は、現在すでにありません(日本国内では2014年に販売終了)。今はクレジットカードやデビットカードなどを使うのが一般的となりました。

トラベラーズチェック(T/C)とは?

    「二重署名」で不正利用を防止
    購入時に1カ所、使う直前にもう1カ所サインをします。この2つの筆跡が一致しなければ使えないため、盗難に遭っても他人に悪用される心配がほぼありませんでした。

    紛失しても「無料再発行」が可能
    発行番号さえ控えておけば、万が一紛失しても現地の窓口で無料で再発行が受けられました。これが、現金をそのまま持ち歩くより安心だと言われた最大の理由です。

    お店でそのまま「通貨」として使える
    ハワイやアメリカなどの主要観光地では、レストランやショップでお札と同じように支払いに使え、お釣りは現金(ドル)で受け取ることができました。

香港・シンガポールは買い物天国だった!?

「香港やシンガポールは何でも安く手に入る」という一節があります。かつて香港やシンガポールが買い物天国と謳われたのは、単なる物価差ではなく、輸入関税を一切かけない「自由貿易港」だったからです。

それに対し、先述のダイヤモンド同様、当時の日本はカメラや時計などにも高い「物品税」が課されていました。当時は日本国内で買うよりも、海外でかなり安く購入できたのでしょう。

今や日本でもネット通販などで世界中の品が手に入り、円安の影響もあって「海外の方が安い」という感覚は薄くなりました。この頃は、海外旅行先で出合うさまざまな品に、きっとワクワクが止まらなかったに違いありません。

台湾や韓国のお土産はコスメや食べ物が中心に

今や日本人の人気旅行先である台湾や韓国。当時とは異なり、韓国コスメや食品、お茶、台湾のパイナップルケーキなど、実用的で消費できるものがお土産のメインとなっています。

かつて海外旅行先だった沖縄

歴史を物語る貴重な断片、それは海外旅行先として沖縄が入っていたということ。この手帖が配られていたのが、1972(昭和47)年の本土復帰前であることがわかります。日本のこれまでの歩みを実感する一節です。

旅の高揚感が伝わる一冊

各国のお土産ガイドを見ると、当時は「そこにしかないモノ」を持ち帰ることに情熱が注がれていたように感じます。インターネットやSNSが普及した現在は、旅行前から現地の情報を調べたり、お土産の画像を見たりすることができるようになりました。食品やお菓子のお土産も増え、旅先ではスマホで写真や動画を撮り、SNSに記録として残すなど、思い出をデータとして持ち帰るスタイルへと変化しました。

この旅の手帖からは、誰もが海外旅行に行ける時代ではなかった頃の熱い高揚感がひしひしと伝わります。日本から飛行機に乗り、未知の世界へと向かう。当時の人々の興奮はいかばかりかと思いを馳せずにはいられません。そして今、日本と海外を自由に行き来できることへの感謝や喜びを改めて感じることができました。

画像素材:PIXTA
©︎ TABIZINE編集部

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PROFILE

Chika

Chika

都内在住、京都をこよなく愛する、コテコテの大阪人。飛行機好きが高じて航空会社のグランドスタッフとして勤務していた経験も。海があるところに行くと癒やされる。

都内在住、京都をこよなく愛する、コテコテの大阪人。飛行機好きが高じて航空会社のグランドスタッフとして勤務していた経験も。海があるところに行くと癒やされる。

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