意外にパン食が多いメキシコ生活
メキシコのひとたちは一日じゅうタコスばかり食べているわけではないんですよ。実はパンが大好きなんです。メキシコならではの甘い菓子パンは、チョコラテ(ホットチョコレート)やコーヒーと組み合わせて食べるのが一般的で、おやつというよりは朝食や夕食として食べられています。夕食に菓子パン? と思う人もいるでしょう。メキシコの食習慣は、昼食が午後3時ごろと遅くて、ボリュームたっぷりの食事をいただきます。そんなことから、夕食は、パンで軽く済ませることが多いのです。
メキシコの菓子パンはスイーツというよりは洋菓子の趣 (C)Miho Nagaya
メキシコでは老舗のカフェなどにも甘いパンが取り揃えてある (C)Miho Nagaya
メキシコでは、バゲットや食パンのような食事とともにいただくパンもありますが、パンといえば菓子パンが中心で、総菜パンはあまりありません。侵略されて生まれた国だけあって、スペインのルーツが引き継がれているパンが多いです。TABIZINEの記事「お供えや、薬のようにも使われるメキシコのコーラ事情に迫ってみた」でも紹介したように、コカコーラをお茶のように飲む国ですから、パンも甘いほうが人気なのかもしれませんね。
この記事では、メキシコらしいパンの数々を紹介するとともに、美味しいパンが食べられるレストランも紹介します。
メキシコの3大定番菓子パン
日本のメロンパンにそっくりで、フワフワしています。その見た目から「コンチャ(貝殻)」という名前がついています。メキシコのパンのなかでも最も人気があります。
日本でもおなじみのスペイン生まれの揚げパン、チュロス。チョコラテにひたしながら、いただくのが定番。
その名のとおり、ドーナツです。どっしりした、素朴なものが多いです。お母さんの手作りドーナツを思い出す味です。
季節のパン
■Pan de muerto(パン・デ・ムエルト)
(C)Miho Nagaya
10月31日から11月2日に行われるメキシコのお盆=「死者の日」の期間、祭壇に必ず供えるもののひとつがパン・デ・ムエルト (死者のパン)です。丸くて真ん中に丸い突起があり、骨のような十字の印がついている不思議なパンですが、その形は骨をイメージしているのだとか。味は、ほんのり甘く、しっとりしていて、オレンジのような柑橘系のリキュールの香りがついています。店によっては、オレンジ・ピールが入っているもの、くるみやいちじくが入っているもの、クリームが入っているもの、ゴマがふられているものなど、さまざまです。メキシコじゅうのパン屋で、毎年10月後半から11月上旬ごろまで売られています。
死者の日のパンの詳しい背景については、TABIZINEの記事「メキシコの旬の味、死者のパンを食べくらべ」をご覧ください。
■Pan de Rosca (パン・デ・ロスカ)
(C)Miho Nagaya
毎年1月6日の「東方の三賢者の日」に食べられている大きな輪のかたちをしたパンです。
ドライフルーツやゼリーが載っています。このパンを家族や仲間とみんなで切り分けて食べます。
パンのなかには、こっそりと小さな人形(イエスの子どもの頃の姿)が埋め込まれています。その理由については、TABIZINEの記事「飲んで食べて踊りまくる?なが~いメキシコのクリスマス」をご覧ください。
日本の進化し続けるパンに比べたら、メキシコのパンは昭和的な懐かしさがあります。日本のパンの方が断然美味しいのですが、メキシコの味に慣れてしまったら、たまに無償に食べたくなるときがあります。
絶品のメキシコ・パンが食べられるレストラン
メキシコシティの中心街、セントロ・イストリコ地区にある、老舗メキシコ料理レストランのカフェ・デ・タクーバです。
日本でも人気のあるメキシコ人画家のフリーダ・カーロと、ディエゴ・リベラが結婚式を挙げたレストランとしても知られています。
料理もさることながら、この店手作りの焼きたてパンがとっても美味しいのです。カフェ・コン・レチェ(ミルクコーヒー)やチョコラテも美味しいので、一緒に頼みましょう。
店頭のショーケースにはパンが並べられていて、パンだけ購入することもできます。