東京では休日に何をして過ごしますか。ショッピング、映画、それともイベントに出かけますか。東京と並ぶ大都市パリ。ニューヨークやロンドンなど他の世界の大都市とは違い、パリの日曜日はお店が閉まっていて、街が閑散としています。
日本では休日といえば街に出かけていた筆者にとって、日曜日は何もすることがない!と、最初は退屈さを感じましたが、フランス人のライフスタイルを知るにつれて、次第に日本とは違った休日の過ごし方に居心地の良さを感じるようになりました。パリジャン、パリジェンヌたちはどのように休日を過ごすのでしょうか。
土曜日は街にでるフランス人
パリの土曜日は東京とあまり変わりはありません。どこのお店も土曜日が掻き入れどき。オフィスで働くフランス人たちは、土曜日にショッピング、友人とレストランや映画、夜はレストランやバーに出かけるなど、日本人と同じような休日を過ごします。街も土曜日が一番活気があります。
家族と過ごす日曜日
フランスでは日曜日は家族と過ごすという習慣が古くからあります。日曜のランチにはお母さんが手の込んだ料理を作り、ゆっくりと食卓を囲んで家族の時間を過ごすのです。アペロといわれるおつまみから始まり、前菜、メイン、デザートとフルコース。軽く15時過ぎまでかかります。就職後実家で暮らし続けるというパリジャンがあまりいないので、日曜日は家族が集まって過ごす大切な時間なのです。
とはいえ、それ以外の過ごし方をまったくしないのかというと、そうではありません。
では具体的にはどんなことをして過ごすフランス人が多いのでしょうか。
公園などでピクニック
春から夏にかけて天気の良い日曜日には公園に人が溢れかえっています。友達や恋人、家族でピクニックをするのが好きなパリジャン。フランスは曇りの日が多いので、晴れ間があると外に出て太陽の光を浴びます。ワインにパンやチーズ、パテなど手軽に買えるものを持ってピクニックするのがパリジャン流。芝生の上に寝そべり、本を読んだり、昼寝をしたりして、自然の中で日頃の疲れを癒すのです。
映画や絵画鑑賞
芸術の国フランス、特にパリには多くの美術館があります。土曜、日曜日はフランスの映画館、美術館は開館しています。フランス人にとって芸術は生活の一部でもあります。気になる展覧会があると、ふらっと日曜日に訪れることもしばしば。フランス人は映画も好きなので、雨の日の日曜なんかは映画館に行くことが多いようです。
あえて何もしない日曜日
パリジャンの中には日曜日あえて何もしないという選択もあります。何もしないなんてせっかくの休日がもったいないと思う人もいるかもしれませんが、日曜日ぐらい何かに忙しくなるのではなく、身体も心も休める為にも、赴くままにゆったりと起きて、簡単に昼ごはんを食べて、家で映画を見たり、読書をしたり、昼寝をしたりして過ごします。ダラダラと過ごす休日にように捉えられがちですが、時には何もしないことの大切さも必要なんだというのがフランス人の考え方です。
日曜日が変わる?新しいパリの日曜日
昨年、法律が変わり、日曜日も開くお店が増えました。おしゃれのメッカ、マレ地区のデパートBHVや観光客に大人気のオペラ座のデパートギャラリーラファイエットなど、日曜日もお店が開くようになり、パリの街も、そしてパリジャン、パリジェンヌの日曜日に対する考え方も変わってきました。
この新しい法律が成立する時、様々な議論が巻き起こりました。伝統的に日曜日は休むというフランスの習慣は守らなければならない、家族と過ごす日曜日がなくなってしまうなどという反対の意見も多かったのですが、日曜日に店を開けるか閉めるかという選択を持つことは大切なこと。この時代に日曜日店を閉めるなんで時代錯誤だという賛成の意見も多くありました。私たち日本人にとって日曜日はどこのお店も開いているので、そんな大した法律ではないように思ってしまいますが、フランス人にとって日曜日の伝統やライフスタイルが変わってしまうという大きな変化なのです。それに戸惑うフランス人もいれば、喜びを感じているフランス人もいるのです。
パリジャン、パリジェンヌの休日の過ごし方は人生において大切なことに気づかせてくれるように思います。家族と過ごす時間の大切さ、自然の中でゆったりとする時間、芸術に触れること、あえて何もせず身も心も休めること。今週の週末はショッピングなどただ街中で過ごすのではなく、心に潤いを与えるような休日を過ごしてみませんか。
長期休暇の過ごし方については、「このままでいいの?日本人〜日本とフランスの休暇、4つの違い〜」で紹介していますよ。
[All Photos by Shutterstock.com]