世界に数千もあるといわれている言語。いったいどの言語が簡単で、どの言語が難しいのか、気になりませんか?
オンライン言語学習サイト「voxy」が、世界の主要23言語を英語のネイティブスピーカーにとって学習が「簡単」「標準」「難しい」の3つのレベルに分類しました。
英語ネイティブにとって簡単な言語
英語ネイティブにとって学習がしやすい簡単な言語とされたのが、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語、ルーマニア語、オランダ語、スウェーデン語、アフリカーンス語、ノルウェー語の9言語。
習得に必要な学習時間の目安は、23~24週間、授業時間にして575~600時間です。見事に英語が生まれたイギリスに近いヨーロッパの言語が並んでいますね。
このなかにひとつ聞きなれない言語が混ざっています。「アフリカーンス語」とは、南アフリカやナミビアで話されている言語。アフリカの言語というと、ヨーロッパの言語と大きく違うのではと思いますが、アフリカーンス語はオランダ語から派生したヨーロッパ系の言語なのです。
ヨーロッパの言語は文法的に英語と共通している部分があったり、似た単語が少なからずあったりするので、英語ネイティブにとって習得が簡単なのもうなずけます。
英語ネイティブにとって標準的な難易度の言語
英語ネイティブにとって、標準的な難易度に分類されたのが、ヒンディー語、ロシア語、ベトナム語、トルコ語、ポーランド語、タイ語、セルビア語、ギリシャ語、ヘブライ語、フィンランド語の10言語。
こちらはヨーロッパから東南アジアまで、ずいぶん幅広い顔ぶれとなりました。習得に必要な期間の目安は、44週間、授業時間にして1110時間。「標準」といえど、「簡単」に比べ、倍近い学習時間が必要になります。
文法が複雑といわれるポーランド語や、他の多くのヨーロッパ言語とは異なる特徴をもつフィンランド語などは、ヨーロッパの言語のなかでは習得しづらいようです。それでも「難しい」に分類されないのは、基本的に文字はアルファベットを使用しているからなのでしょう。
英語ネイティブにとって難しい言語
英語ネイティブにとって学習が難しい言語とされたのが、アラビア語、中国語、日本語、韓国語の4言語。やはり、ヨーロッパから遠く離れた東アジアの言語が中心となりました。そしてこれら4言語すべてが、アルファベットではない独自の文字をもっています。
習得に必要な時間の目安は88週間、授業時間にして2200時間。難易度が標準的な言語の2倍、簡単な言語のおよそ3.5倍もの学習期間が必要になるわけですから、英語ネイティブがこれらの言語を学習するには相当な根気が必要です。
なお、英語ネイティブにとって難しいとされる中国語は、使われる漢字はまったく同じではないものの、日本人はすでに漢字を知っていて、似ている単語も多いことから、日本人にとっては習得が特別難しい言語ではありません。
また韓国語も、日本語と語順が似ている、日本語と発音の似た単語があるといった特徴から、日本人にとっては比較的習得しやすい言語といわれています。
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日本語が難しいとされるわけ
日本語は、基本的に冠詞がなく、名詞の単数・複数を区別する必要もなく、未来形は現在形とほぼ同じ、さらに疑問文は平叙文の語尾を少し変えるだけで良しと、簡単な会話ができるレベルを目指す程度なら、入り口は簡単です。
しかし、漢字・ひらがな・カタカナの3種類の文字があるために、読み書きを含めて学習するとなると一気に難易度が上がります。ひとつの言語で3つの文字を使い分けているなんて、世界的に見ると「異常」なのです。
筆者はときどき「日本語って3つの文字があるんでしょ。どうして?」と外国人に聞かれます。それぞれの文字の役割を説明してもなかなか納得してもらえず、「全部ひらがなで書いちゃダメなの?」と言われることも。
筆者としては、3種類の文字があるからこそ、他の言語では表現できない微妙なニュアンスの違いを出せるのが日本語の美しさだと思いますが、外国人にその必要性が理解されないのは無理もない気がします。
3種類の文字があることに加え、語彙の数が多いことや、敬語が難しいこと、書き言葉と話し言葉の差が比較的大きいことも、日本語が難しいといわれる要因といえるでしょう。
アルファベットにはない日本語文字の繊細さ
筆者のパートナーはドイツ人で、日本語を学習しています。漢字の書き取りもコツコツ取り組んでいるのですが、ある日彼の書く漢字に「とめ、はね、はらい」の区別がまったくないことに気づきました。彼が使用しているテキストの文字にはその区別があるのに、です。それを彼に伝えると、「とめ、はね、はらいがあることに気づかなかった」のだそう。
ドイツ語の文字も一部特殊文字はあるものの、基本的には英語と同じアルファベットです。文字の細部に注意を払う必要のないアルファベットに慣れ親しんでいると、文字の細かな違いに気づきにくい、大げさに言うと「見える世界が違う」ようなのです。
日本人でも幼いころから長い時間をかけて習得する膨大な数の漢字。それを外国人が学習するのがいかに大変か、想像がつくのではないでしょうか。
欧米の人々が日本語を習得する難しさに比べると、日本人が欧米の言語を習得するのはまだ苦労が少ないのかもしれません。そう考えると、外国語学習にも少しはやる気が出てきませんか?
とはいえ、どんな言語であれ、外国語を学ぶというのが根気のいるチャレンジであることに変わりはありませんが。
[Voxy「WHAT ARE THE HARDEST LANGUAGES TO LEARN? 」]
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