富山県観光に訪れた経験はありますか? 新幹線が開業してから金沢を中心に北陸は観光客が増えましたので、「機会があれば、富山にも行ってみよう」という気持ちになっている人も居るかもしれません。
ただ、富山市内は夜早く閉まってしまうお店が多く、夜に気軽に立ち寄れるカフェのような飲食店が少ないというデメリットがあります。
富山に来て夜にふらりと街を散策してみても、どこも閉まっている・・・。「行く場所がない!」と感じてしまうかもしれません。そのようなときは、富山市の中心からも近い『ジンジャーラーメンブックス』に訪れてみては? 元ラーメン屋が入っていた店舗で古本とコーヒーとバターチキンカレーを出すお店、夜遅くまでやっていますので、絶好の立ち寄りスポットです。
ラーメン屋だった店舗に入居するユニークな古本屋
バターチキンカレーとコーヒーのおいしい『ジンジャーラーメンブックス』は、元会社員の飯野弥風音(みふね)さんが2015年11月にオープンした古本屋。弥風音さんとは珍しい名前ですが本名で、いわれを聞いてみると3月に生まれたからこの名前を親からもらったとの話でした。
もともとラーメン屋だったテナントで、今でも通りに面した壁面には「ジンジャーラーメン」というネオンサインが掲げられています。初めて訪れる人は「ラーメン屋?」と疑うかも・・・。ですが、ちゃんとした古本屋で、もちろん古物営業法による古物商許可も取得しています。
店内は1階が8席のカウンターと2席のテーブル席。2階には有料の貸し切り和室があります。同店のスタイルはユニークで、古本の購入・買い取り依頼だけでも利用できますし、喫茶だけの利用も可能。食事のみの利用も店主いわく「大歓迎」だとか。合わせ技で食事やドリンクを楽しみながら、お店に並ぶ本の読書も許されています。中には3~4時間ほどの長居を楽しむ常連客も居るそう。
メニューは本を読みながらでも食べられる名物のバターチキンカレーと、富山県立山町にあるFLAT Coffeeというお店の豆を使ったコーヒー、ジュース、ホットチャイ、アイスチャイ、ラムチャイなどがあります。
商品である書籍のラインアップはバラエティ豊かで、商品数は店主いわく2,000冊ほど。2階の和室に続く階段の蹴込みにも書籍を並べるなど、さまざまな工夫で限られたスペースに商品が展示されています。飯野さんの趣味だという「怖い本」、吸血鬼などの書籍が本当の主力商品だと言いますが、
「自分の好きな本ほど、売れない」
との思いから、現在は前店舗のラーメン店が使っていた冷蔵ショーケースに「怖い本」を入れ、しかるべき時が来るまで鎖と鍵で冷蔵保存しているとの話でした。
どうして怖い本が好きなのかと聞くと、『まんが日本昔ばなし』の影響があるのではないかと笑って教えてくれました。確かに怖い話が多いですよね。
普通盛りバターチキンカレー:900円(ドリンクセット:1,150円)
コーヒー(メガネブレンド):500円(おかわり250円)
ホットチャイ:550円
アイスチャイ:500円
紅茶:500円
ホットココア:600円
ウーロン茶:300円
コーラ:300円
アルコール:700円
元ラーメン店を生かして独自の空間を作る
どのような経緯で、これほどユニークなお店ができたのか興味があったので、その経緯を聞いてみると、もともとオーナーの飯野さんは、古本屋の経験がなかったと言います。さらに言えば、古本屋を開きたいという確固たる目標も最初は特になかったのだとか。
富山県出身者ながら東京で10年ほど過ごし帰郷してみると、東京と違って富山は夜遅くまでやっているカフェや喫茶店が少ないと感じたそう。一方で富山で再就職をするものの、会社員生活にも何か違和感があったそうで、自分で何ができるのかと考えた末に、月に10冊は読むという大好きな本を売る仕事を思いついたと言います。
「時間を気にせず夜な夜な読書に没頭できる場所を作りたい」とオープンを決意。その後は現店舗の空き情報を入手し、もともとラーメン屋だった構造を生かしながら改装していくうちに、現在のユニークなスタイルが出来上がったと言います。
『ジンジャーラーメンブックス』というユニークな店名も、最初は「さすがにまずいだろう・・・」と迷ったそうですが、好きな書籍のタイトルなどを付けてもどこか違和感があったため、ラーメン屋の名前をそのまま採用したと言います。
現在の客層を聞いてみると、徒歩で通える近所の人たち、県内在住者、県外の旅行者、近所にあるゲストハウスに宿泊する海外旅行者、果ては日本語の達者なALTの外国人先生たちまで、さまざまな人が訪れているのだとか。
筆者も富山市在住で店舗の前をよく通りますが、夜な夜なカウンター席で読書や食事、おしゃべりを楽しむ人の姿を週末や土日は特に見受けます。飯野さんの思い通り、夜の寄り道スポットとして認知されているのですね。
理想とする将来像を聞くと、「会社帰りに直帰ではなく、ちょっと立ち寄ろうかなと思ってもらえるような居心地のいい場所にしたい」と語っていました。
旅行で富山に訪れたら、夜にホテルを抜け出してぜひとも遊びに出かけてみてくださいね。
古本と珈琲 ジンジャーラーメンブックス
住所:富山市南田町1‐3‐13
電話:080-8995-3781
営業時間:平日17:00~23:00(金曜夜は24:00)、土日祝日11:00~24:00
定休日:火曜日
以上、富山県にある古本屋、ジンジャーラーメンブックスを紹介しましたが、いかがでしたか?
立地に関して言えば、富山の繁華街である総曲輪(そうがわ)から徒歩圏内になります。公共交通での来店でも便利な位置に立地しており、北陸新幹線の停車する富山駅から南富山駅行きの路面電車に乗れば、最寄り駅の上本町まで一本で行けます。下車後に花水木通りを1~2分ほど東を向いて歩けばお店に到着。
最寄り駅の上本町からお店の方に近づくと、店内の照明が通りに面した開口部から柔らかい光を投げ出していますので、夜でもすぐに場所は分かますよ。
2階の貸し切りスペース
[Photos by Masayoshi Sakamoto]