フランスでは転職が当たり前
就職をして、同じ会社に定年まで勤めるということは、フランスではまれなこと。国家公務員やよほどの専門職でない限り、同じ会社に勤め上げるということはないのです。どれぐらい勤めて転職するかは人にもよりますが、10年同じ会社にいると、結構長く勤めているという印象を受けます。
次にどのような理由で転職をするのか、見てみましょう。
昇給を求めて転職
転職の目的は昇給という理由の人が多くいます。年齢問わず、転職をして給料がダウンするということは、フランスではあまりありません。日本だと転職するたびに、給料が下がるなんていう話も聞いたりしますが、フランスでは転職すれば給料はアップするものと考えられています。
フランスにおける2018年の昇給率の平均は1パーセントから5パーセントと予想されおり、実際、長く同じ会社に勤めても、劇的な昇給はないことがほとんど。基本的にフランスでは昇給に希望は持てないのです。
しかし一方、転職の際には、平均10パーセント昇給が見込めると言われています。また最大で30パーセント昇給する人もいるのだそうです。
キャリアアップのために転職
また転職の理由として、キャリアアップのためという人もいます。例えば、現在の会社でのポストが係長であれば、部長になるために転職するといった感じです。
その他の転職の理由
また転職は、職場が家から遠いことや勤務時間が合わない、職場の雰囲気が好きではないなどと言った理由でもおこなわれます。合わない職場であれば、嫌な思いをしながらズルズル働くのではなく、スパッと職場を変えて、自分に合う仕事場を探します。フランスではそういった理由で転職することが、ネガティブと捉えられることはないのです。
転職することのポジティブさ
フランスでは転職をするということは、新しい環境で冒険することとポジティブに捉えられます。居心地のいい環境であっても、ずっと同じ場所にいては、成長できないと感じる人も。新しい環境で働くというのは、実際簡単なことではありません。しかし、それを冒険と捉え、自分自身の成長のための転職とフランス人は考えるのです。
これは筆者の体験談ですが、同じ業界にいても、転職をしている人は、視野を広く持っているという印象を受けました。違う職場を経験しているので、仕事だけでなく、会社のシステムや環境なども比較することができます。そして、仕事上でも新しいアイディアを提案するなど、転職がポディティブに働いているというように感じられました。
転職に年齢の限界はない
フランスでは転職するのに、年齢のタイムリミットはありません。40、50代のキャリアのある人たちも普通に転職をしています。また求人も年齢制限があるものはあまり見かけません。そしてこの年齢の人たちが転職する際にも、給料がダウンすることは基本的にはないのです。
転職しすぎるのはイメージダウン
転職することが当たり前のフランスでも、月単位で短期間で会社を転々としている人は、仕事が続かないという印象を受けます。もちろん、働いてみて、この職場が合わないと思い3ヶ月で転職する人もいますが、しかし、それを繰り返し続ける人は、その人に問題があると捉えられます。
転職が前提、だから企業は新入社員に投資はしない
フランスは転職することが前提なので、新卒採用は存在せず、社員研修というものはありません。「フランスには新卒採用がない〜日本とフランスの就職活動事情、6つの違い〜」の中でもお話しましたが、会社が新入社員に投資することはないのはないのです。当たり前に転職することの自由さがある一方で、新入社員を育てる環境がないというシビアな面もあるのです。
以上、フランスの転職事情をお伝えしました。昇給がない、キャリアアップしたいのにできない、精神的苦痛、職場が自分に合わないなど、不平不満を持ちながら働くことは、辛いことです。実際筆者がフランスで働いてみて、転職が簡単にできるという環境は、精神的余裕を与えるのではないかと思いました。
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Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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