世界でもトップクラスの信頼を集める日本パスポート。それだけに、日本人は入国審査でフリーパスの待遇を受けることも多いですが、だからこそ稀に質問攻めに遭うと焦ってしまいがち。
入国審査では何を聞かれ、どう対応すればいいのか。海外旅行の入国審査で聞かれやすい質問と、入国審査が厳しい国で審査を切り抜けるコツをお伝えしましょう。
入国審査が厳しい国って?
海外旅行で緊張する場面のひとつが、渡航先での入国審査。海外旅行初心者はもちろんのこと、入国審査が厳しい国では、旅慣れた人であっても緊張を強いられる場面があります。
日本パスポートは世界トップクラスの威力をもつ恵まれたパスポート。日本のパスポートを持っていれば、何も質問されずあっという間に入国審査が終わることも多いですが、いつもそうとは限りません。
一般的に、入国審査が厳しいといわれているのが、アメリカ、イギリス、オーストラリア、イスラエル、サウジアラビアなど。筆者の経験では、アイルランドも思いのほか厳しいと感じました。
どの国も、入国の可否は入国審査官の判断で決まるため、一般的に入国審査が厳しいといわれていない国でも日本人が入国拒否に遭うケースは多々あります。
入国審査を過剰に恐れる必要はありませんが、質問にきちんと対応できるように準備をしておくことで、無事入国できる可能性が高まります。
そこで、実際に入国審査でよく聞かれる質問例を見てみましょう。
滞在目的
入国審査官から質問がある場合、真っ先に聞かれることが多いのが滞在目的です。「What’s the purpose of your visit?(滞在目的は何ですか)」あるいは、「Are you here on holiday?(休暇で来ましたか)」などと聞かれることもあります。
答え方としては、「sightseeing(観光です)」や「Holiday(休暇です)」などが簡単。
学生ビザを取得せず、観光ビザの範囲内で現地の語学学校に通う場合なども、観光目的と答えておいたほうが無難です。
滞在期間
滞在目的としばしばセットで尋ねられるのが、滞在期間。「How long are you planning to stay?(どのくらい滞在する予定ですか)」のような形で質問されます。
その際は、「5 days」「2 weeks」など、日数で答えても週で答えても構いません。あるいは「Until September 1st(9月1日まで)」など、はっきりとした出国予定日を挙げる方法もあります。
現地に友人はいるか?
「Do you have any friends in 〇〇?(この国に友人はいますか)」といった、現地に友人や知人がいるかどうかを訪ねる質問は、一人旅の人が聞かれやすい質問。
特にひとつの国や都市に長くいる場合、「当国に知り合いがいるから長く滞在するのだろうか」と思われるからです。
現地に友人も知人もいない場合、「No」と回答すれば、「知り合いもいない国に一人で来たのか」「友人もいないのに長期滞在するのか」と思われ、さらに色々と質問されることもありますが、いないなら「いない」と正直に答えること。
その他の質問で、滞在目的や帰国の意思をはっきり示すことができれば問題ありません。
現地での滞在先
「Where are you staying?(どこに泊まりますか)」あるいは、「Have you booked/reserved any accommodation?(宿泊施設の予約はしていますか)」などと、現地での滞在先を尋ねるのもお決まりの質問。
どこに泊まるかを直接聞かれた場合には、「○○hotel in ○○」などのように町や地区の名前とホテルの名称を伝え、予約があるかを聞かれた場合には「Yes, I’ve booked/reserved 〇〇hotel in ○○(○○にある○○ホテルを予約しています)」などと答えます。
旅行中は、一ヵ所にとどまらず、いくつもの都市や宿を移動することも多いですが、基本的には到着日に泊まる宿の情報を伝えれば問題ありません。
帰りのフライト予約はあるか?
長期間その国にとどまらず、帰国(出国)する意思があるかどうかを確認するため、帰国便の予約の有無を確認されることも少なくありません。
「Do you have a return ticket?(帰りのチケットはありますか?)」と尋ねられたら、帰国便の予約確認書を見せるか、「Yes. I have booked/reserved a return flight on September 1st(9月1日に往路の便を予約しています)」などと答えます。
必ずしも帰国便の予約がなければならないとは限りませんが、国によっては、その国から出国する航空券の予約がないと入国が難しくなることを覚えておきましょう。
具体的に観光したい名所は?
頻度は多くありませんが、本当に観光目的での滞在なのかを確認するために、現地で観光予定の名所などを聞かれることもあります。
滞在地の代表的な観光スポットを覚えておくのがベストですが、その場で訪問したい観光スポットの名前が出てこない場合には、ガイドブックを開いて「Here(ここです)」と示してもいいでしょう。
英語での受け答えのコツ
入国審査で最も重要なことは、意思疎通が図れるということ。英会話が得意でなければ、きちんとした英語の文章を作ろうとする必要はなく、単語単位のやりとりで十分です。
「Yes/ No」で答えられる質問であれば、「Yes」か「No」の一語で済みますし、滞在場所や観光したい名所を聞かれた場合も、答えとなる固有名詞を言えれば十分です。
正しい英語を話そう、あるいは完成された文章にしようとするあまりパニックになり、挙動不審と見られれば入国に不利になる可能性も。英語に苦手意識がある人は、潔くできるだけシンプルに答えること。かつ、自信がないからといって小声にならないようにして、堂々と振る舞うこと心がけるといいでしょう。
厳しい入国審査を切り抜けるには
厳しい入国審査の攻略には、ちょっとした事前の準備がものを言います。
まず、帰りの航空券やホテルの予約確認書・確認メールは、印刷するかスマホやタブレットでスクリーンショットを撮るなどして、すぐに見せられるようにしておくのが大原則。
なかには帰国便(その国を出国するフライト)の予約がないと、入国が難しい国もあるので、片道航空券での入国を予定している場合は、その国が通常片道航空券での入国を認めているかどうかを確認しておくと安心です。
実際には、帰国便については何も聞かれない国のほうが多いですが、アメリカやイギリスでは、帰国便の予約がない(または証明できない)ことを理由に日本人が入国拒否に遭う例が後を絶ちません。
また、一般的に入国審査が厳しいといわれている国で長期滞在(数週間以上)滞在する場合、滞在資金について質問されることも。
ビザ免除の期間内で滞在する場合でも、滞在資金が十分かどうか疑わしいと判断された場合、入国を拒否される恐れがあります。長期滞在の際には、銀行の残高証明書(英文)など、資金を証明できるものを用意しておくとより安心です。
加えて、入国審査が厳しい国では、いかにも「貧乏旅行者」といった服装をしていると、不法就労が目的ではないかと疑われる可能性もあります。フライト中にリラックスしたいからといって、あまり崩した格好のまま入国審査を受けるのはおすすめできません。
高価なものを身に着ける必要はありませんが、信頼のおける人物に見えるよう、こぎれいな服装を心がけましょう。
強力な日本のパスポートを持っているとはいえ、油断していては後悔する結果になってしまうかもしれない入国審査。
せっかくの旅行を楽しむためにも、ちょっとした準備を怠らず、要所要所で気を引き締めて臨みたいものです。
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