他の国では珍しい、その国独特のものは観光名物になりやすいですね。オランダの首都アムステルダムでは、「飾り窓」という通称を持つ合法的な売春地区がツアーなどの観光名所になっていました。けれどアムステルダム市議会は、2020年からDe Wallenという飾り窓地域への見学ツアーを禁止すると発表したのです。観光資源としても貴重なはずのツアーが、なぜ禁止されるのでしょうか。その理由を見てみましょう。
【理由その1】性産業従事者保護のため
この見学ツアー禁止案を最初に出したのは、アムステルダム市の副市長であるウド・コック氏(Udo Kock)。この副市長は、「性産業従事者を観光の名所と見なすのは、もはや2019年にはふさわしくない」と考えているのだそう。飾り窓地区で働く性産業従事者の女性たちは、酔っ払った観光客から多くの迷惑行為を経験していると言われています。見学ツアーの人々が泥酔していたり暴力行為を働くことは滅多にないと思いますが、それでも禁止事項にもかかわらず彼女たちを撮影する観光客は後を絶たないのです。そういった彼女たちの心理面への悪影響の懸念が、今回の見学ツアー禁止の大きな理由に挙げられています。
【理由その2】近隣住民への配慮
飾り窓地区はアムステルダムの普通の居住区とすぐ隣り合わせの場所にあります。そのため、見学ツアーの人々は近隣住民の日常生活の妨げにもなっているのだとか。
1グループは大体15人から20人で構成されていて、毎週1000以上のグループが見学に訪れています。ピーク時間の午前11時から午前12時、そして午後7時から午後8時の間、この地域には1時間あたり平均28のグループがたむろしている計算になるのだそう。確かにそれは混雑しそうです。
【理由その3】飾り窓地区の売り上げへの配慮も
これは今回の禁止措置では言及されていないようですが、飾り窓地域で働く人々からは常々「観光客が多すぎて仕事にならない」というクレームが出ていたのだそう。そこで働く人々だけではなく、サービスを受けようと訪れる人々も見学ツアー参加者の好奇の眼を恐れ、近寄りがたくなってしまったのだとか。お客が来てくれないのでは、確かに商売あがったりですね。
2020年以降は、関連の博物館へ
飾り窓地区への見学ツアーが廃止されるのは、2020年1月1日から。それ以降にアムステルダムを訪れ、かつ飾り窓地域のことを深く知りたい場合は、関連の博物館を訪れることをお勧めします。特に2014年にオープンした「売春博物館 」(The Secret of Red Light District Museum of Prostitution)は、飾り窓で働く女性たちの世界を垣間見ることができる内容となっています。飾り窓の部屋に模したレプリカに腰かけたり、その窓の内側から見える景色を疑似体験できるのです。外側からの見学ツアーよりも、ディープに楽しめるのではないでしょうか。
どうしてもガイド付きで飾り窓の見学ツアーに参加したい!という場合は、2019年の内にアムステルダムを訪れることをおすすめします。
■「売春博物館」
名称:The Secret of Red Light District Museum of Prostitution
住所:Oudezijds Achterburgwal 60
1012M DP Amsterdam
電話番号:+31 (0) 20 846 7020
ホームページ:
https://www.redlightsecrets.com
[All photos by Shutterstock.com ] [Amsterdam gaat rondleidingen langs de ramen op de Wallen verbieden ] [Group Tour Tourist Ban In Amsterdam Red Light District ]
飾り窓については、現地ルポ『アムステルダムの官能的で妖艶な「飾り窓」を現地ルポ/オランダ』もあわせてどうぞ。
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