【連載】ベストシーズンを迎える海外の旅先 <10月編 ミャンマー>

Posted by: 春奈

掲載日: Oct 3rd, 2019

この連載では、1ヵ月ごとに、その月にベストシーズンを迎えるおすすめの海外の旅先を紹介していきます。第10回目となる10月におすすめの旅先は、東南アジア最後のフロンティアと呼ばれたミャンマー。2019年7月に、聖地バガンが世界遺産に登録され、今ますます注目の旅先です。

神秘のベールに包まれたミャンマー


インドと中国に挟まれたミャンマーは、「東南アジア最後のフロンティア」と呼ばれた国。一時は経済発展から取り残されていたこともあって、いまだに昔ながらの風景があちこちに残っています。年配の日本人は「昔の日本を思い出す」と口を揃えるほど。


国土面積は日本の約1.8倍。人口は5283万人で、85パーセントは敬虔な仏教徒です。神秘のベールに包まれたこの国には、世界遺産に登録されたばかりのバガンをはじめ、数多くの仏教の聖地や手つかずの自然、独自の文化が待っています。

最大都市ヤンゴン


ネピドーに遷都されるまで首都だったヤンゴンは、ミャンマー最大の都市。ヤンゴン国際空港がある、ミャンマーの空の玄関口でもあります。

現在見られる整然と整備された街並みは、イギリス植民地時代に築かれたもの。首都とは思えないほどひなびた雰囲気だったこの街も、近年は高層ビルが増え、急速に発展を遂げつつあります。


ヤンゴンを代表する観光スポットが、聖地シュエダゴォン・パヤー。シングッダヤの丘に建つ黄金色の仏塔で、その歴史は2600年以上前にさかのぼるといわれます。塔の頂には、1個76カラットのダイヤモンドをはじめ、5451個のダイヤモンドと1383個のルビーなど、無数の宝石が。豪華な装飾や仏像の数々に、ミャンマーの人々の信仰心がうかがえます。


ほかにも、街の中心にあるスーレ―・パヤーや巨大な寝仏で知られるチャウッターヂー・パヤー、ミャンマーのお土産が揃うボーヂョーアウンサン・マーケット、ミャンマー最大の博物館「国立博物館」など、最大都市だけに見どころも多彩です。

奇跡の仏塔チャイティーヨー

ミャンマー屈指の巡礼地「チャイティーヨー・パヤー(ゴールデンロック)」は、落ちそうで落ちない不思議な仏塔。

標高1100メートルの山頂にある大岩の上に、危ういバランスでもうひとつの岩が鎮座し、その上に高さ7メートルほどの仏塔が建てられているのです。伝説では、この中に収められている仏陀の頭髪が、不思議な力でバランスをとっているといわれています。


断崖絶壁の上で、黄金色の大岩が奇跡的なバランスを保っている姿は、目を疑うほどに神秘的な光景。数度の地震にも耐えた大岩には、やはり不思議な力が宿っているのでしょうか。

聖地バガン


2019年7月に、新たに世界遺産に登録されたのが、バガン。カンボジアのアンコール遺跡、インドネシアのボロブドゥール遺跡と並ぶ世界三大仏教遺跡のひとつで、これで世界三大仏教遺跡がすべて世界遺産に登録されたことになります。


広大な平原に、11~13世紀に栄えたバガン王朝時代の仏塔が林立するバガンの考古学保護区。現存する仏塔の数は3000ともいわれ、その風景は中世の時代から時が止まっているかのよう。世界三大仏教遺跡のなかでも、ひときわ秘境の雰囲気が強く、幻想的な空気を醸し出しています。

古都マンダレー


ミャンマーのほぼ中央に位置するマンダレーは、ミャンマー第2の都市にして、ビルマ最後の王朝が置かれた古都。特に1858年に即位したミンドン王の時代には、壮大な仏塔や寺院が次々と建設され、王都にふさわしい貫禄を備えた街並みが造られました。


マンダレーきっての見どころが、丘全体が仏教の聖地となっているマンダレーヒル。頂上にある仏塔への途中にも、多数の仏塔や祠、仏像などが点在し、日本の門前町にも似た雰囲気。頂上にある仏塔のテラスからは、マンダレー市街が一望できます。


古都だけに、旧王宮や仮の王宮としても使われたサンダムニ・パヤー、王が瞑想に訪れたシュエナンド―僧院など、王家ゆかりの歴史的建造物が点在。ヤンゴンとは異なる、しっとりとした趣に触れてみてください。

神秘の湖インレー湖


中央部に位置するインレー湖は、東西約12キロメートル、南方およそ22キロメートルの細長い古代湖。少数民族の水上村が点在する湖でもあり、足で櫂を操るインター族の漁風景など、独特の文化に触れられるのも魅力です。


ファウンドーウ―・パヤーは、インレー湖上に建つ巨大な水上寺院。5つの仏像が本尊として安置されていますが、金箔を貼りすぎたために団子のように丸くなってしまった姿が見ものです。

少数民族が集まる通称「ファイブデイズ・マーケット」や、インター族の住居を改装した観光施設「インレー・ヘリテージ」など少数民族の暮らしに触れられるスポットに加え、郊外にも2500本の仏塔が並ぶカックー遺跡をはじめ、ユニークな風景が盛りだくさんです。

ミャンマーの気候


南北に長い国土をもつミャンマーは、北部が温帯、中部と南部が熱帯と、地域によって気候が異なります。一般的に旅行者が訪れるのは中部と南部なので、全体に高温多湿と考えていいでしょう。


ミャンマーの季節は、5月~10月中旬の雨季と、10月下旬~2月の乾季、3月~5月中旬の暑季の3つに分けられます。このうち最も旅行に適しているのは、雨が少なく、暑すぎない乾季。ただし、バガン周辺は極端に乾燥していて、年間を通してあまり雨が降りません。


晴れた日のミャンマー旅行は、日差し対策が肝心。特にバガンでは日光をさえぎるものがほとんどないので、午後の最も暑い時間帯は休息に充てるなど、無理のない予定を組むようにしましょう。


今後ますますの経済発展や観光地化が進めば、様変わりしてしまうかもしれないミャンマーの風景。昔の日本を彷彿とさせる素朴ななつかしさに出会うなら、今のうちかもしれません。

PROFILE

春奈

Haruna ライター

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

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