おすすめ「軍鶏南せいろそば」
「そば処 響 (ひびき)」の客席。古民家をリノベーションした店内は、明るくこざっぱりしています。
今回は和洋折衷の個室でおそばをいただきました。
十割そばの「ざるそば 880円・税込」や二八そばの「かけそば 880円・税込」といったシンプルなメニューも気になりましたが、カラー写真がどん!と載っていたため、お店のオススメと認識した「軍鶏南せいろそば 1380円・税込」をオーダー。
十割そばですが、あっさりと上品。めんつゆにつけずにそのままでも、柚子胡椒だけ載せて食べてもおいしい。麺は細目で、そば臭くなくてフレッシュな香りで、これならそばが苦手な人もするすると食べられると思います。
そばつゆに浮かぶ香ばしく焦げ目を付けたネギと軍鶏肉がたまりません。そばつゆは、甘みがしっかりありつつ、塩気や出汁とのバランスが絶妙。大分は瀬戸内海に面していて、昔から四国と行き来のあったエリアだそうですが、そばつゆのしっかりした味の濃さは神奈川県民の味覚にもぴったりきます。そば湯を入れて、おつゆをすべて飲み干してしまったことを白状すれば、その美味しさが伝わるでしょうか。
オーナーがそば職人になるまで
実は大分では麺類はラーメンが主流で、以前は蕎麦屋がほとんどなかったとか。豊後高田の土地がそば作りに適していることもあり、2003年から本格的に作付けを始めました。今では、西日本一のそば産地に成長。こんな短期間に名産品ができるとは驚きですよね。
豊後高田のそばは、年に2回栽培するので、7月と11月が新そばの時期となります。地産地消で、そば粉に移動ストレスがない分、鮮度よく爽やかなそばを楽しめるんです。
現在では、「豊後高田市手打ちそば認定店」が「響」を含めて12店舗あります。豊後高田市内のそば粉を使い、手打ちで、三たて(挽きたて、打ちたて、茹でたて)を徹底しています。
店主の石丸誠さんは50歳を過ぎて、蕎麦の世界に飛び込びました。豊後高田市の補助のあるそば打ち職人養成講座を受けたのだそうです。
転勤族のお父様の仕事の関係で、各地を転々としていたそうですが、お店は3~4歳の頃に一時期暮らしていたところの近くだったそうで、土地のご縁があったそうです。石丸さんは実は俳優でナレーターの石丸謙二郎のお兄様です。お顔立ちが確かに似ていらっしゃいます。
「このあたりはなにもない田舎」とおっしゃいますが、お店の前の街並みも魅力的で、何より最高に美味しいお蕎麦のために、わざわざ立ち寄る価値のあるお店です。
所在地:大分県豊後高田市玉津986
TEL:0978-22-1066
営業時間:11:00~15:00、18:00~20:30(LO20:00)※定休日は火曜日の夜(昼は営業)と水曜日
[All photos by Shio Narumi]
Shio Narumi ライター
イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。
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