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徳島県の在来種サトウキビで作る和三盆「干菓子づくり」体験ルポ【徳島県・阿波市】

Posted by: 鈴木幸子
掲載日: Dec 13th, 2019. 更新日: Dec 12th, 2019

和菓子づくりには欠かせない日本古来のお砂糖「和三盆」ですが、徳島県は、古くから和三盆糖の生産地として知られています。今回は1864年創業という服部製糖所を訪ね、和三盆づくりのプロセスを聞き、その材料となるサトウキビ「竹糖(ちくとう)」畑も見学。茶菓子の「干菓子づくり」を体験してきましたのでリポートいたします。

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竹糖畑を見学して、サトウキビに噛り付く


和三盆づくり150年という老舗の服部製糖所。昔ながらの製法で作る、竹糖100%のみを使った、やさしくて上品な味わいの和三盆、そのおいしさを多くの人に知ってほしいと2018年1月に和三盆専門店「わんさんぼん」をオープンさせました。


和三盆の原料となる「竹糖」は、阿讃山脈のふもとで栽培される在来品種で、沖縄のものと比べると細くて少し背が低いのが特徴です。まずは、ちょうど収穫前というサトウキビ畑を見学させていただきました。竹糖の収穫期は11月末~年始にかけて。鎌でサトウキビの断面を切ってもらい、噛り付いてその味を確かめました。まさに天然の甘みです。竹糖は下半分が利用されます。


訪問した日は快晴、11月中旬でもカーッと太陽が照り付けます。この温暖な気候が良い竹糖を育てるのですね。

和三盆づくりのレクチャー


現在、服部製糖所は服部瑞輝さん(兄・左)、わんさんぼんは服部滉輝さん(弟・右)が代表を務めていらっしゃいます。まずお兄さんの瑞輝さんから、和三盆づくりについての説明を受けました。

1、収穫した竹糖から糖液を絞る
2、竹糖から搾った汁を釜に入れ沸かす
3、灰汁と水分を取り除き、約110~113℃になるまで沸かして、冷やし釜に入れる
4、約1か月寝かせて結晶化させ、白下糖(しろしたとう)を作る
5、遠心分離機で粉(糖)と液体(蜜)に分ける
6、糖を乾燥させ、製粉機にかけてサラサラにする

5の作業は数回繰り返されます。最初に取れたものが最高という訳ではなく、2回目、3回目と進めるうちに独特の風味が出てくるそうです。この分離機の作業は昔は手作業で行っていたそうで、お盆の上で3回研ぐ、という作業が和三盆の名の由来となっています。


上の画像が白下糖で、下が霰和三盆(あられわさんぼん)という商品になります。


年間の竹糖の収穫は8~10トン。そのうち3トンは翌年の種用として保管されています。収穫量がわずかなので、とても希少価値が高いそうです。かつては18あった和三盆の製造会社も現在残るのはわずか4軒。お話を伺いながら、20代前半の若いお2人は、今後きっと徳島の和三盆産業の発展に貢献して行かれるのだろう、と頼もしく感じました。

シンプルだけど意外にハマる干菓子つくり体験


竹糖畑の向かいにあるご自宅の隣に、和三盆専門店「わんさんぼん」はありました。小さなログハウス風の建物の中で、和三盆を使った干菓子づくりが体験できます。干菓子とは、お抹茶の茶事には欠かせない、砂糖を固めた和菓子のこと。


まず、和三盆にスプレーで少量の水を吹きかけます。


それをこねた後、篩にかけます。ボールに入った和三盆糖が各自の作業台にセットされました。この作業は弟の滉輝さんが担当。和三盆の糖は、水を含ませると淡い茶色に変色します。


おのおのが好きな木型を3種選び、準備完了。


木型の中に木べらを使って糖を詰めていきます。これだけで木の中で固まるのだろうか? と不安になりますが、和三盆の糖は粒子が細かいため、固まりやすいという性質を持っているそう。木型の中には「手」で和三盆をつめ、「木べら」で表面を滑らかにします。


和三盆を詰めた木型の端を、木べらでコンコンとたたいて、まな板の上にひっくり返して中の和三盆の固まりを落としたら、干菓子の完成です!


我ながら、良い出来!! やっていたら、なんとなくコツがつかめてきました。めいっぱい、ギュウギュウ押し込んで、隙間なく詰め込むことが大切だと思いました。


自分が作った干菓子を綺麗な小箱に入れて、お持ち帰りできます。出来上がりをまず味わってみると、そのなんともいえない上品でコクのある甘さにうっとりです。


こちらの商品は、古典的な型のみならず、犬の肉球や自転車、Tシャツなどモダンなデザインも多く、味は、オリジナルの味に、藍、むらさき芋、ほうじ茶、抹茶、コーヒー味と6つのフレーバーが楽しめます。

他社では、干菓子を固める時に水飴や葛粉などつなぎとなるものを入れることもあるそうですが、こちらは水だけで固めます。後日、他社の和三盆干菓子と味を比べてみましたが、やはり旨みとコクは、わんさんぼんがはるかに勝っていると感じました。

ちなみに、店名を「わんさんぼん」としたのは、服部さん家で飼われているワンコを意識して、ということでした。


伝統的な和三盆の作り方は、型に詰めて取り出すだけという本当にシンプルな作業。なにやら子供時代の図画工作の時間を思い出させる、懐かしくて楽しいものでした。

干菓子作り体験は、約1時間で1人2000円(税抜)。ぜひ体験してみませんか?
そういえば、大切なことですが、和三盆糖は血糖値を急激に上げない低GIの甘味料です。気になる方は、和三盆糖もチェックしてみてください。

わんさんぼん
住  所:徳島県阿波市吉野町西条字東姥御前271-2
営業時間:9:00~17:00
定 休 日:木曜、金曜、毎月最終日曜
電話番号:090-4500-7117
HP:https://www.awawasanbon.com/

鈴木幸子

sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター
出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。


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