
時代劇セットのような空間、日本家屋の建築美を堪能

「うだつの上がらない人を選んではいけません!」 親から言われたことはありませんか? 「うだつ」が上がらない、つまり一向に出世できない人とかパッとしない、という意味で、その「うだつ」が上がる町並みを見られるのが徳島県西部の美馬市、吉野川沿いの脇町です。

江戸時代から明治にかけて、阿波の国では藍づくりが盛んで、とくに「にし阿波」の脇町は脇城の城下町として発展し、吉野川の水運に恵まれて藍やタバコの集散地として大いに栄えました。そして、成功した藍商人の屋敷には「うだつ(卯建)」という厚い土壁で塗られた防火壁が建てられました。
江戸もそうですが、昔はよく火事が起こっていましたよね。とくに商人の町は人口密度が高く軒と軒が接近していたため、火事の際に隣家から火が移らないように屋根の下にうだつを建てる必要がありました。
1つの家屋に、左右1つずつ建てるのが良しとされ、1つのうだつが今の金額でいうと150万~200万円、2つ建てると300~400万円ほどはかかったといいます。「うだつ」を建てられるのは出世の証ということで、この「うだつ」を建てられない人は「うだつが上がらない」、出世しない人と言われるようになったとか。

うだつには美しく家紋や細工が施されて、鬼瓦などともにデザインとしても楽しめます。明治から昭和にかけては火事も少なくなり装飾に凝るようになったそうです。ちなみに鬼瓦には魔除けと招福の意味がありますが、2対ある場合、口を開けたほうが幸を呼び込み、口を締めた方は幸を逃がさない、そんな役目も果たしています。

この「うだつの町並み」が見られる脇町は、長さ430m、明治時代を中心として江戸中期~昭和初期の85棟の伝統建造が建ち並び、当時の景観がそのまま残されています。

もちろん、現在でも人が住んでいますが、家の中を見学できるところもあります。下の写真は昔の巨大な大黒柱。

景観を損なわないために電柱はすべて地中に埋められているので、どこを撮っても絵になります。
結び目が美しい白い柄に変わる! ハンカチの藍染めにハマる

徳島は江戸時代から藍染の染料となる「すくも」づくりの本場でもありました。現在でもその伝統は受け継がれていて、街並の一角にある「藍染め工房」では本格的な藍染めの体験ができます。

こちらの染料は、化学染料をまったく使わない天然染料。こちらは発酵中のもので見た目は溶岩のようです。

すくもを使った灰汁、石灰、ふすま粉、日本酒を入れた「天然灰汁発酵建て」という製法で作られています。

今回は、ハンカチ染めを体験してみました。

まず、何パターンからのお手本のデザインを見せられて、それぞれの模様の作り方を学びます。おもしろいのは、白いハンカチを結んだり、輪ゴムでちょっとつまんで巻いてみる、ビー玉をゴムで結ぶ、短い棒をゴムでグルグルに巻く、あるいは布をくしゃくしゃにする・・・こんな簡単な細工でさまざまな楽しい模様が生まれるのです! いくつかの細工を組み合わせて、自分だけのオリジナル模様を考えてみる、まるでデザイナーですよね。

たとえば白いハンカチを結んだら、その結び目は藍に染まらず白い模様になります。白いハンカチが各自に渡され、お手本で見せられたデザインを真似て、染色家の先生から柄の作り方を学びます。

少し大胆な、絞りっぽい模様に挑戦してみました。これは、ハンカチの3分の2くらいの位置と、先の方を結ぶだけ。とってもシンプルです。

デザインを決めて細工が終わってからが、勝負です(笑)。といいますのも、藍染めの体験がある方ならわかると思いますが、まず発酵の臭いが強烈!!!

染め方の工程を説明します。まず、自分が仕込んだハンカチを藍に1分間つけて、絞ってからしばらくテーブルの上に置いておきます。

その間、青くしたいところが空気に触れるように広げなければなりません。

これを3回ほど繰り返して、最後に水洗いをします。

洗った後に、結んだハンカチを解いてみると、希望通りの柄ができているはありませんか!

これを乾燥させて、スタッフが最後にアイロンがけをしてくれたら終わりです。初めての藍染め、それぞれの体験者の感性が表れています。
体験料金は1回1200円とリーズナブルなので、ぜひ自分なりの模様を考案して、最後にどんな柄になるのか楽しんでみましょう。

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sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター
出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。
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