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お盆にまつわるものが描かれた映画「天気の子」
「君の名は。」で、2017年日本アカデミー賞最優秀脚本賞に選ばれた新海誠監督が制作した「天気の子」。離島から家出して東京にやってきた男子高校生と、“祈るだけで晴れにできる”力を持つ少女が出会い、自らの生き方を選択していく姿を描く青春映画です。
2019年に公開され、RADWIMPSによる主題歌「愛にできることはまだあるかい」とともに大ヒットしたこの映画ですが、実はストーリーの中でお盆にまつわるものが描かれています。まだ観ていない方は、ぜひご覧になってみてくださいね。
メキシコの“お盆”がテーマのアニメーション映画「リメンバー・ミー」
2018年に公開されたディズニー&ピクサーの「リメンバー・ミー」。家族に音楽を禁じられながらも、ミュージシャンを夢見るギターの天才少年ミゲルは、ある日、彼はガイコツたちが楽しく暮らす、カラフルで美しい死者の国に迷い込んでしまいます。 日の出までに帰らないと、ミゲルの体は消えて永遠に家族と別れることに・・・。唯一の頼りは、陽気だけど孤独なガイコツのヘクター。だが、彼にも“生きている家族に忘れられると、死者の国から存在が消える”という運命が。絶体絶命のふたりと家族をつなぐ重要な鍵、それはミゲルが大好きな名曲“リメンバー・ミー”に隠されて・・・。
映画で描かれているメキシコなどのラテンアメリカ諸国の祝日「死者の日」は、日本のお盆と同じくご先祖を迎えてもてなす行事です。10月31日~11月2日の3日間と日本と時期は異なりますが、その期間に故人の魂が戻ってくるとされており、故人やご先祖様を大切にするという思いは共通しています。美しい「死者の国」を舞台に、人生や家族、ご先祖様を思い出す大切さをテーマにした映画です。
福島県双葉町とハワイの盆踊りのつながりを追うドキュメンタリー「盆唄」
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2018年に公開されたドキュメンタリー映画。東日本大震災から4年後の2015年、福島県双葉町の人々は4年経ってもなお避難生活を強いられていて、先祖代々受け継がれてきた伝統の「盆唄」消滅の危機に直面していました。そんな中、100年以上前に福島からハワイに移り住んだ人々が伝えた盆踊りが、”フクシマオンド”として今も日系人に愛されていることを知ります。そこで双葉の人々は盆唄を披露するため、ハワイのマウイ島へ向かい、自分たちの伝統を絶やすことなく、後世に伝えられるのではという新たな希望と共に奮闘します。
双葉町の豊かな伝統芸能とハワイの盆ダンスにまつわる唄や音楽、その背景が鮮やかに映し出され、観る者の心を躍らせる映画になっています。
富山市八尾町の行事「おわら風の盆」を舞台にした純愛小説「燈火 風の盆」
富山市八尾町で毎年9月1日から3日にかけて行われる行事「おわら風の盆」を舞台にした豊田美加の純愛小説。「おわら風の盆」で踊る踊り手である八尾の和紙工房の一人娘・珠美は東京の写真学校生の裕太と恋に落ちますが、祐太は不慮の事故で帰らぬ人になってしまいます。喪失感から抜け出すことのできない珠美が、ふとしたきっかけで曾祖母の悲恋とその後の人生を知り、前向きに歩み始めます。過去と現在が交錯しつつ、八尾の伝統芸能などを織り混ぜながら物語が描かれます。
2020年9月には、珠美役を大野いと、裕太役を白石隼也が演じる映画が公開予定。小説とあわせて映画も楽しんでみてはいかがでしょうか。
お盆の頃に出会った少女と青年の交流を描いた幻想的な小説「灯籠」
広島県を舞台にお盆の頃に出会った少女と青年の交流を幻想味を交えて描いた、うえむらちかの青春小説。両親を亡くした孤独な少女が、盆灯籠が似合う夏の日にある青年と出会い、毎年盆にしか会えない彼との逢瀬が彼女の生きる糧となっていきます。広島県では、盆灯籠をお墓に供える風習があるのだそうです。
お盆に、亡くなった人やご先祖様に思いを馳せながら、冷房の効いた部屋でゆっくり映画や小説の世界に浸ってみるのもいいかもしれません。
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