
豊かな大地の香りが詰まった料理の数々

まーぐん広場の中には、島の伝統建築を再生した宿泊施設「伝泊(でんぱく)」の総合フロント、カフェレストラン、物産ギャラリーもあり、隣には有料老人ホーム&デイ&訪問介護施設もある複合施設です。

エアコンも効いていてWi-Fiも繋がり、音響装置と小さなステージもあることから、赤木名の公民館的役割も果たしているそう。ちなみに、赤木名は江戸時代には奄美大島の行政の中心地でした。

奄美大島滞在の初日の夜に、初めて味わった奄美料理は、どれも滋味豊かな素晴らしいものでした。まーぐん・レストランでは、奄美大島の伝統料理を現代風にアレンジした創作料理がいただけます。

最初は、島野菜のピクルス。黄緑色の苦瓜、トマト、玉ネギ、バジル・・地元の「くすだファーム」の完全無農薬、有機野菜を中心に、季節ごとの珍しい野菜がそろいます。

次はゴボウサラダ。上にのせてあるのは素揚げにしたゴボウですが、ほのかな甘みが後を引きバクバクいけちゃいます。

ターマンのスープ。ターマンとは屋仁(やに)という集落で採れる田芋、田んぼの中で育つ里芋です。ほのかに土で育った根の香りがして、甘みもあります。心の底から元気になれそう!

漁師から直接買う、島ダコのアヒージョ!これはぜひともオーダーしてください!バゲットがガンガンいけますが、メイン料理のために抑えめにしておきましょう。ちなみに、バゲットや朝食のパンは、地元で人気の「晴れるベーカリー」のものを使っています。

こちらは奄美を代表する家庭料理、油ゾーメン。ソーメンに、豚スペアリブを煮込んだスープをかけたものです。

鶏のコンフィ。しっかりとした味付けで、お酒も進みます。

最後のメインディッシュは、ポークのデミグラスソースかけ。赤ワインとバルサミコが効いていて美味!

デザートは、ターマンのプリンでした。

ドリンクメニューも充実していました。なかでも奄美ならではのお酒・黒糖焼酎「紅さんご」はおすすめです。
居酒屋料理もいくつか・・・

島民に愛される居酒屋「ガジュマルの樹の下で」で、まずは塩茹でにしたトビンニャ(跳ぶ貝)。奄美のおつまみの定番です。

鶏皮餃子もぜひ!ポン酢でいただきます。

ぞうりエビの味噌汁、地元ではデコシャ汁と呼ばれます。旨味のつまったエビです。地元の人のイチオシでした。

デザートにはサツマイモの素揚げ。これが、シンプルな味ですが、旨すぎました!
ガジュマルの樹の下で
住所:鹿児島県奄美市笠利町大字里45-2
電話:0997-63-1506
奄美大島テッパンの「鶏飯」

最終日にいただいた「鶏飯(けいはん)」。こちらは「ばしゃ山村」のもの。さすがにうまし!店によっては今ひとつのところもありますので、地元で評判のよいお店を選びましょう。

親鶏で出汁をとり、鶏肉、甘辛く似たシイタケ、錦糸玉子、ミカンの皮などをのせてスープをかけていただきます。鶏飯は家庭料理で、各家庭でスープの味、具も変わるそうです。

意外においしかったのが、添え付けのパパイヤの醤油漬け。これ、ここでおいしかったので空港で買いましたが、甘すぎて今ひとつでしたので、浅漬けがおすすめです。
奄美で「しま」といえば集落のこと

最後にちょっぴり歴史のことを。奄美群島では「しま」は、アイランドの島、のほかに「集落」を意味します。江戸時代、現在の奄美群島は薩摩藩の直轄領でした。江戸時代中期からサトウキビが植えられるようになりますが、当時、サトウキビからできる黒糖は金と同等の価値をもっていたそうです。江戸時代に薩摩藩の税の収入源の多くが奄美の黒糖であったことは有名な話です。薩摩藩は「しま」単位で管理し、「しま」同士の情報の交換も禁じられたといわれています。したがって各しまの方言や文化は7〜8割は同じでも、2〜3割は違っているそう。

2021年夏、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」のユネスコ世界自然遺産登録が予定されていますが、奄美の人々にとって、手つかずの大自然はもとより、しま単位の文化、それを維持してきた人そのものが宝であるのです。それらの宝を含めて、土地の伝統に敬意を払い奄美の旅を楽しんでみませんか。
[All photos by Sachiko Suzuki]

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sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター
出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。
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