
外湯めぐりの拠点にピッタリな宿

「湯治場ガニ湯本舗 天風庵」は2004年にオープンした宿。長湯温泉には20以上もの立ち寄り湯が点在するものの、気軽に寝泊りできる宿がなかったことをきっかけに建てられたのだそう。湯治宿をイメージしたという外観はそこはかとなく厳かで、独特の情緒が漂います。客室は広々と快適ながら素泊まりで1人4,500円〜とリーズナブル。外湯めぐりの拠点に最適です。

ガニ湯 (C) Shutterstock.com
ちなみに無料露天風呂「ガニ湯」の目の前に佇んでいることが宿名の由来。温泉街の中心を流れる芹川の川原にあり、全方向から丸見えという難易度高めの立地ですが、開放感はこの上なし。度胸のある人はぜひお試しを!

天風庵の食事処は宿泊者以外でも利用可能。和の趣と家庭的な温かみが調和した空間は居心地の良さもひとしおです。
滋味あふれる料理の数々

今回は3,000円(税込)のおまかせコースをいただくことに。前菜3種盛は白菜の和え物、ほうれん草のお浸し、こんにゃくのごま炒め。鴨のたたきサラダは野菜の甘みが濃く、柔らかな鴨肉ともよく合います。
小鉢に入っているのは自家製鴨味噌。近隣にある同系列の名宿「宿房翡翠之庄」で30年近く作り続けられている名物でもあり、鴨の旨味と味噌のコクが凝縮。お酒が進むこと間違いなしの逸品です。
清らかな天然水に育まれたエノハ

続いてはエノハのお刺身。エノハとはヤマメの九州地方での呼び名です。竹田市は日本名水百選に選ばれるほど湧水量が豊富で、清らかな水を利用したエノハの養殖も盛ん。天風庵では毎日養殖場から生きたままのエノハを仕入れ、店舗内の生け簀に運搬。オーダー後に一匹ずつ丁寧に捌くのだそう。
名水で育てられたエノハは、ほどよく脂がのっていて、身がぷりっぷり。川魚特有のクセや臭みも驚くべきほど皆無。鮮度の良さがうかがえます。

特筆すべきは、お刺身をオーダーすると残った骨と皮で作った骨せんべいをいただけること。頭、背骨、しっぽ、皮とあばらを削いだものなど、異なる味わいを堪能できるのもうれしい。クリスピーな食感はビールの最強のお供に。

感動したのが天風庵自信作という、エノハの唐揚げ。こちらもオーダー直後に捌いているとのこと。揚げ具合も絶妙で、皮はパリっと香ばしく中はふっくら。頭まで丸ごとバリバリ食べられます。
揚げ出し豆腐は豆腐の甘みが際立っていて絶品。地元のお豆腐屋さんから仕入れているのだそうです。
お肉だって至高のおいしさ

追い討ちをかけてくれたのが豊後牛のステーキ。霜降りながらも決して重たくなく繊細な脂感です。醤油オニオンソースがお肉の旨みと響き合い、えも言われぬおいしさに。
細胞レベルまで浸透する絶品茶漬け

シメはエノハのお茶漬け。燻製したエノハを細かく砕いたものを、シソの実、出汁とともにいただきます。燻製前に秘伝のタレに漬け込むというエノハはコクの奥行きが秀逸!出汁との馴染みもよく、多彩な旨みが口の中で広がります。カラダの隅々までじんわり染みる、滋味あふれるおいしさでした。
山、川、里の幸に酔いしれた至高の夕食。澄んだ空気と清らかな水が、いかに食材をおいしくするかをしみじみ実感しました。またその素晴らしき素材を見事に操る匠の技にも脱帽です。長湯温泉を訪れたときは、地元の恵みを最大限に生かした料理の数々を味わってみてはいかがでしょうか?
[Photos by Nao]

Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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