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絶景と秘湯に出会う山旅(25)日本百名山の伊吹山と須賀谷温泉

Posted by: 阿部 真人
掲載日: Jun 11th, 2021.

滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山。日本百名山、そして新・花の百名山に数えられ、「古事記」や「日本書紀」にも登場する山です。今回は霧に包まれた山歩きでしたが、それも山の味わいのひとつ。そして長浜市の須賀谷温泉に宿泊。織田信長の妹、お市の方も湯治したと伝えられる秘湯を満喫しました。

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露天風呂
(C)須賀谷温泉


伊吹山のふもとに湧く霊水をいただく

標高1,377mの伊吹山。実は歩くことなく、岐阜県関ケ原町から有料道路・伊吹山ドライブウェイを利用して9合目にある食事・お土産スポット「スカイテラス伊吹山」駐車場まで車で登ることができます。そこから徒歩20分で山頂にたどりつけるのです。

雲の中の伊吹山
(C)Masato Abe

今回の伊吹山は雲のなか。山登りは晴れた山頂からの展望が爽快なのですが、どうやら霧に包まれた山歩きとなりそうです。

ご神水拝受所
(C)Masato Abe

山登りの前に向かったのは、米原市にある泉神社。大清水とも呼ばれる湧水で名水百選にも選ばれるほど。

伊吹山に降った雨水が石灰層を浸透し、ミネラルを豊富に含んだ水が1日4,500トンも湧き出ているといいます。人気の名水でこの時もすでに数人が水を汲んでいました。

水をもらう
(C)Masato Abe

拝受所の中央にある円形の石からホースが何本も突き出て、そこから湧水が勢いよく流れ出しています。柔らかくておいしい水。山歩きのお守りにもなりそう。基本は無料ですが、寄付をしてからいただきました。

泉神社
住所:滋賀県米原市大清水
電話:0749-58-2227(米原市商工観光課)
HP:https://kitabiwako.jp/spot/spot_358(長浜・米原を楽しむ観光情報サイト)

霧に包まれた伊吹山へ

登山口
(C)Masato Abe

さあ登山口へ向かいましょう。米原市の上野地区にあります。車で行く場合は、名神高速関ヶ原ICから約20分。公共交通では、JR東海道本線近江長岡駅から近江鉄道バスの曲谷行きに乗車して16〜17分、伊吹登山口にて下車です。

登山地図
(C)Masato Abe

登山口にルートマップがありました。山頂までは3時間20分だそうです。雨だけは降らないように。

どうやら登山道はスキー場を登っているようです。後で調べてみると、2010年にスキー場は閉鎖されてしまったらしいのです。歩きやすい道でした。

下界を見る
(C)Masato Abe

後ろを振り返ると、下界がかろうじて見えますね。その上には黒い雲が立ち込めていました。

この伊吹山、「古事記」では「伊服岐能山」と記され、「日本書紀」では日本武尊(やまとたけるのみこと)が大蛇と戦った場所として登場する、歴史のある山なのです。

花の一覧
(C)Masato Abe

登山道の途中、花々の一覧表が掲示されていました。伊吹山は「新・花の百名山」と呼ばれるように、1000種を超えるといわれる植物を見ることができるそうです。

さっそく黄色い花が咲いていました。下の写真、オトギリソウでしょうか、それともキジムシロ?ちょっとわかりません。

花の名前不明
(C)Masato Abe

伊吹山は古くから薬草の宝庫としても知られ、平安時代には薬草が宮中へ献上されていたといいます。戦国時代、織田信長も伊吹山に薬草園を開いたとされ、江戸時代にも薬草を摘む「採集使」が何度もやってきたと記録に残されているそうです。

ウマノアシガタ
(C)Masato Abe

こちらもはっきりとわかりませんが、一覧表にもあったウマノアシガタでしょうか。別名キンポウゲ。漢字では「馬の足形」と書きますね。名前の由来は、葉っぱが馬のひずめに似ているからといいます。

五合目過ぎ
(C)Masato Abe

五合目のあたりからは、ほとんど霧に包まれてしまいました。周りの景色は全く見えません。なんとか10mほど先が見えるくらい。登山道は道がしっかりと整備されているので迷うことはありません。

下の写真の花の名前がどうもわかりません。イブキスミレかしら。ハート形の葉っぱがかわいらしいのですが。

イブキスミレ?
(C)Masato Abe

ともかく伊吹山は本州中部に位置することで北の植物が南下してきたり、日本海側に分布する植物も見受けられるそうです。また石灰岩地帯なので石灰質を好む植物も見られます。さらに古い山なので固有種も存在するのだとか。

石灰質特有の地形
(C)Masato Abe

上の写真の突き出た岩は案内板に「手掛岩」とありました。カレンフェルト(石塔原)といって、石灰岩特有の地形で、岩が露頭しているものをいうそうです。

霧の山小屋
(C)Masato Abe

霧のなかをひたすら歩いているうちに、いつのまにか山頂まで来ていたようです。霧のなかに山小屋が見えます。

山頂
(C)Masato Abe

状況がよくわからない霧のなかでの山頂到着。かかった時間は、予定時間通り3時間20分でした。山頂には「日本書記」で大蛇と戦ったという日本武尊の像が建っていました。

山頂の気温は感覚的には10度を下回っているようで、かなり寒いのです。晴れていれば紫外線も強く暑いのですが、曇っていたり、荒天だとアッという間に気温が下がります。山の天気はあなどれません。

うどん
(C)Masato Abe

というわけで、温まろうと山頂の山小屋で休息を取り、きつねうどんをいただきました。ようやくホッと一息。山小屋にいたのは30~40分ほどだったでしょうか。

霧が晴れる
(C)Masato Abe

昼食を食べ終えて小屋を出ると、なんと雲がどんどん消えてゆくではありませんか。昼食を食べている間に日差しが差し込み暖かくなっています。

下界も見える
(C)Masato Abe

山の天気は本当にアッという間に変わりますね。下界も良く見えるようになりました。登っているときには全く見えなかった光景です。

花の名前不明
(C)Masato Abe

霧のなかでは気が付かなかった花々も輝いて目立ちます。こちらはヘビイチゴでしょうか。

イチリンソウ?
(C)Masato Abe

こちらはイチリンソウでしょうか。日差しに白が映えていました。登っているときには全く気が付かなかった花々です。

伊吹山全景
(C)Masato Abe

下山すると、麓から伊吹山の全容が良く見えるようになっていました。こういうこともありますね。また晴天のときにお邪魔しましょう。

浅井長政、お市の方ゆかりの須賀谷温泉へ

お市の方、茶々、初、お江
(C)Masato Abe

そして向かったのは須賀谷温泉。戦国武将・浅井長政の居城・小谷城があった小谷山の麓にあります。浅井長政は北近江の戦国大名で、妻お市の方の兄・織田信長と同盟を結ぶなどして全盛期を築いたのですが、後に信長と決裂し戦いに敗れて自害し、浅井氏は滅亡しました。

そしてその娘たち、茶々は秀吉の側室となり、お江は3度目の結婚で徳川秀忠の正室となるなど、一家は波乱の人生を送ることになるのです。上の写真の銅像はその、お市の方、茶々、初、お江だそうです。

須賀谷温泉
(C)Masato Abe

この小谷城の麓にひっそりと涌く秘湯が須賀谷(すがたに)温泉。浅井長政も妻・お市の方も湯治したと伝えられる歴史のお湯だといいます。

ロビー
(C)Masato Abe

長浜市街から意外と近いのですが、谷あいに位置するため周囲はひっそりとした木立に囲まれ、秘湯の趣たっぷり。館内ものんびりとして田舎の親戚の家にやって来たような気分です。

打掛
(C)Masato Abe

ロビーにはお市の方を想像させる豪華な着物が飾ってありました。美人で評判だったお市の方だけでなく、浅井長政や幼い浅井三姉妹もこの温泉で湯浴みしたかもしれません。

茶色い内湯
(C)須賀谷温泉

須賀谷温泉のお湯は滋賀県ではちょっと珍しい温泉なんです。源泉温度17.2度の冷鉱泉で、鉄分を多く含んでいるため茶色い色をしています。宿の表示はヒドロ炭酸鉄泉となっていましたが、正式には含鉄ーカルシウム・マグネシウムー炭酸水素塩泉といいます。

とろとろしているように見えますが、サラッとして軽いお湯でした。温度が低いため加熱しているようですが、掛け流しで利用しているといいます。

露天風呂
(C)須賀谷温泉

いっぽう上の写真、露天風呂のほうは無色透明でアルカリ性単純泉のようです。男女それぞれ「長政の湯」「お市の湯」と名付けられています。

夕食
(C)Masato Abe

そして夕食。地元滋賀県の食材を使った季節の料理ということで、滋賀県でしかいただけない、認証近江牛しゃぶしゃぶをお願いしました。

近江牛
(C)Masato Abe

口のなかで甘くとろける近江牛はたいへんおいしいですねえ。〆はうどんをいただき、大満足でした。

小谷城跡からの眺め
(C)Masato Abe

蒸し暑くなった翌日、宿の裏手の小谷城址を訪ねました。散策のコースも整備されているようです。戦国時代の名残は残っていませんが、木立のあいまから田園風景とその向こうの琵琶湖が霞んで見えました。「つわものどもが夢の跡」という芭蕉の句を思い出す風景でした。

須賀谷温泉
住所:滋賀県長浜市須賀谷町36
電話:.0749-74-2235
HP:https://www.sugatani.co.jp/

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。


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