【実は日本が世界一】「日本語」は世界で最も習得が難しい!?アメリカ人にとっては“超ハードな言語”

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 25th, 2021

8月も半ばを過ぎました。突然ですが、年頭に立てた目標は何でしたか? 中には英語の習得を掲げた人もいるかもしれません。にもかかわらず勉強が進んでいない方、その理由は日本語と英語が世界で最も「遠い」言語だからかもしれません。日本が世界一の項目をシリーズで取り上げるTABIZINEの連載。今回のテーマは日本語です。

英語の授業

超ハードな東アジアの言語

中国語の学習

世界にはさまざまな言語がある中で、最も難しい言語は何だと思いますか?「難しい」とは外国人にとって習得が難しいとの意味です。

日本人の筆者は、個人的にはギリシャ語あたりかなと思っているのですが、実は英語圏の人にとって(正確にはアメリカ人にとって)日本語が最も習得に時間のかかる外国語だとの意見があります。

その意見の出どころはアメリカ合衆国国務省。同省の所属機関である外交官養成局(FSI)です。外交官養成局にはSchool of Language Studies (SLS/語学学校)があり、業務上外国語の習得が政府職員に必要な場合、適切なレッスンを提供します。その外交官養成局がアメリカ人の外交官に70年以上外国語を教えてきた経験を通じて、「プロの業務に使えるレベル」になるまでにどのくらいの時間がかかるかを、言語別にランク分けして公式ホームページで公開しています。

例えば英語を話すアメリカ人にとって、デンマーク語、オランダ語、イタリア語、ノルウェー語、ポルトガル語、ルーマニア語、スペイン語、スウェーデン語は、24週の勉強でマスターできるといいます。つまり半年間。

確かにオランダ取材へ行って路面電車に乗った時、オランダ語の車内アナウンス後に英語が流れると、すごく似た言語だと思いました。英語で「central(セントラル)」がオランダ語で「centraal(セントラール)」といった感じ。これならバイリンガルにもなれそうですよね。

英語話者にとって次に習得が難しい言葉が、ドイツ語やインドネシア語、マレー語、スワヒリ語などです。ざっと36週・900時間の勉強が必要だといいます。そう言われてみると、個人的に友人・知人の多いインドネシア人・マレーシア人は英語を自由にしゃべります。英語の話者がインドネシア語・マレー語を比較的早く習得できるとすれば、逆もしかりですよね。

次のランクにはロシア語、ネパール語、ヒンディー語、ベトナム語、トルコ語、タイ語、ギリシャ語、フィンランド語などが挙げられています。おおよそ44週・1,100時間の授業が平均して必要のようです。外交官など政府職員になるくらい知的レベルの高い人が11カ月、およそ1年の勉強を徹底して(週25時間の勉強ペースで)習得できるとの話ですから、一般的な頭脳レベルの人では、もう少しかかりそうですね。

このランク分けにおいて最難関の言語のひとつが、「Super-hard languages(超ハードな言語)」と評される日本語なのです。

英語話者にとって日本語は最難関の言語

日本語

外交官養成局のランク分けによると、日本語の習得には88週・2,200時間のトレーニングが必要とされています。およそ2年の勉強期間です。しかも外交官レベルの人が集中して2年ですから、普通の大人が毎日を忙しく過ごしながら、すき間時間で勉強しようとしたら、倍近い習得時間がかかりそうです。

ちなみに、日本語と同じく最難関の外国語に分類されている言語は、中国語・韓国語・アラビア語です。アラビア語は別として、中国語と韓国語は同じ東アジアの隣国の言語。大学などで中国語を第2外国語として習った経験のある人ならわかるとおり、日本人にとって中国語は英語よりはるかに習得が楽です。日本人は最初から中国語の多くの漢字の意味を理解できますし、発音まで似ている(なんとなく類推できる)単語も多いです。

逆に、日本人にとって英語やデンマーク語、オランダ語、イタリア語、ノルウェー語、ポルトガル語、ルーマニア語、スペイン語、スウェーデン語は「遠い」言語だといえそうです。

しかも情報源は確認できなかったものの、アメリカのオンラインメディア『Business Insider』の記事によれば、外交官養成局のランキングには別の表もあるとの話。

ニュース記事や画像などのリンクをまとめて収集・公開できるサービス『Reddit』ユーザーのインフォグラフィックスを『Business Insider』が転載した記事によれば、最高難易度と分類される中国語・韓国語・アラビア語・日本語の中でも日本語だけが88週以上、2,200時間以上の勉強を要する可能性があると、外交官養成局は考えているのだとか。

要するに英語話者(アメリカ人)にとって、日本語は最難関の言語という話。アメリカの外交官が日本語をプロレベルに習得するまでに、これだけの時間を要するのですから、平均的な日本人が英語をプロレベルに習得する場合も苦労するわけです。

「今年こそ英語の勉強を進めるぞ」と念頭に決意しながら、なかなか思うように成果が出ないとすれば、日本語と英語の「遠さ」に原因があるのかもしれません。

英語が必須ではなく、なんとなく英語ができるようになりたいと思っているだけの人は、思い切って勉強する外国語を中国語や韓国語に切り替え、早々にバイリンガルになってしまう手も大いに検討に値しそうですね。

【参考】
Foreign Language Training – U.S.Department of State

This fascinating map shows which languages are hardest to learn for native English speakers – Business Insider

Language Difficult Rankings in Europe according to the FSI. Fixed colour scheme and updated rankings [1106×988] [OC]

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook