
多種多様な植物を育む、絶景の湿原

(C)浜中町
浜中町の森と海岸のあいだに位置し、国内有数の広さを誇る霧多布湿原。縄文時代までここは海底でしたが、隆起によって徐々に海水が引き、湿地が形成されたと言われます。低層、中層、高層、塩湿地といった4種の湿原が見られるのも特徴のひとつ。
春から秋にかけて300種の花が咲き誇ることから“花の湿原”という別名を持つほど。特別天然記念物のタンチョウをはじめ、白鳥やオオワシなど数々の希少な野鳥が生息し、その自然環境の豊かさから1993年にはラムサール条約登録湿原地に認定されています。
天然昆布やバフンウニなど海産物に恵まれた浜中町ですが、それは湿原で蓄積されたミネラルが海に溶け出し、好漁場を育むから。湿原は豊かな恵みのサイクルを生み出す、かけがえのない存在なのです。
霧多布湿原の情報発信地

霧多布湿原の西側の高台にあるのが「霧多布湿原センター」。湿原の成り立ちや動物たちの生態、周辺環境に与える役割などが学べるビジターセンター的存在です。湿原をより楽しむめにも散策前にぜひ立ち寄りたいところ。

1階には旬の自然情報がわかる霧多布湿原マップが。東京ドーム600個分以上という広大なスケールゆえ、観察できる動植物もエリアごとで異なるようです。さらにシマフクロウやオオワシをはじめ、湿原に生息する鳥の45種のバードカービングも展示。ぜひ天井を見上げてみてください。

国の特別天然記念物、タンチョウの巣の大きさをイメージしたソファ。足跡も本物と同じサイズだか。意外と大きいことに驚き!
広大な湿原を一望できる展望ホール

湿原の大パノラマを望める2階の展望ホール。台地という地形ゆえ湿原全体を見渡せる場所がほとんどない浜中町だけに、そのスケールを体感できる貴重なスポットです。野鳥を観察できる無料の望遠鏡もあります。

展望ホールにはカフェも併設。昆布チャーハンやホッキカレー、はまなかホエイ豚バーガーをはじめ、地元食材を使ったメニューが豊富に用意されています。近隣の牧場から届く新鮮な牛乳や、タカナシ乳業の牛乳とアイスクリームのみで作ったシェイクなどドリンク類も多彩なラインナップ。
目移り必至のミュージアムショップ

1階のミュージアムショップには地元産の天然昆布や昆布加工品、乳製品、スイーツなどが並びます。海の幸、山の幸ともに恵まれた浜中町ですが、多くのアイテムをそろえるショップが少ないため、お土産探しにも最適な場所です。

昆布の生育に絶好の環境である浜中町の海。水揚げ量は全国の1割を占めるほど。ショップには長昆布、厚葉昆布、猫足昆布、さお前昆布など、浜中町が誇る天然昆布が勢揃い。種類によって香りや旨味、甘味が異なるので、食べ比べて違いを感じてみるのも面白そうですね。

エゾシカを使用した缶詰も。酪農が盛んな浜中町では良質な牧草が育てられていますが、その牧草をエゾシカが食べてしまうことから被害が生じ、狩猟対象となっているそう。栄養豊富な牧草を食べて育ったエゾシカは、クセがなく、肉質も大変やわらかいのだとか。
可憐な花々と出合える湿原の木道

霧多布湿原センターの立つ丘の麓には、湿原内を散策できる「やちぼうず木道」が整備されています。1周約500メートル。この日はガイドさんと一緒に散策することに。

木道を進むと緑のトンネルがお出迎え。空気が驚くほど澄んでいて、歩けばカラダ中が浄化されるはずです。

春から秋にかけてさまざまな花が彩り、“花の湿原”という別名を持つ霧多布湿原。訪れた9月はピーク時期からやや過ぎていましたが、ハンゴウソウなど可憐な花たちが優しく迎えてくれました。

青紫色が目を引くこちらは、あの毒花で知られるトリカブト。美しい姿とは裏腹に花やタネ、根、葉とすべての部位に毒が含まれるそう。
「標高の高い山間部でしか見られない高山植物も自生しています。登山せずとも貴重な花々に出会えるのも霧多布湿原ならではの特徴なんです」(ガイド伊藤さん)
さらに、湿原の鉄分が油のように見えること、木道の名となっている“やちぼうず”の正体など貴重なお話も。湿原への理解が深まったガイドウォークとなりました。
霧多布湿原センターでは、森や湿原を探検する「湿原トレッキング」や、町内を回り自然や産業に触れる「浜中ネイチャーツアー」といったエコツアーも実施。湿原の魅力や浜中の暮らしをより深く知りたいときは、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか?
[Photos by Nao]
Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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