【木魚発祥の地】中国様式の禅寺「宇治・萬福寺」でととのう坐禅体験を

Posted by: kelly

掲載日: Mar 19th, 2022

銭湯記事でも紹介したJR東海による「禅と湯 ととのう京都」の「ととのうセット」(2,000円)には、京都府浴場組合加盟店の銭湯で使える入浴券1枚のほか、「ととのうMAP」と、「『ととのう京都』オリジナル銭湯タオル」、そして、坐禅体験を提供する5寺院の「参拝整理券」が付いています。今回は、その中の萬福寺に出かけてきました。萬福寺では、予約制で随時、坐禅体験が受けることができるのです。あなたもととのう体験に出かけてみませんか?

座禅2

開祖は、インゲン豆を日本に持ち込んだ隠元禅師!

manpukuji_雑感2

「黄檗宗大本山萬福寺」は、1661年に中国福建省の高僧・隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師によって開かれたお寺です。

ん?隠元(いんげん)? そうです。中国からインゲン豆を日本に持ち込んだ御仁です。隠元禅師は、ほかにもタケノコ、スイカ、レンコンなどの作物、さらには原稿用紙、明朝体の文字などのルーツとなる経典などを日本に持ち込み、広く江戸時代の文化全般に影響を及ぼしました。中国式の精進料理(薬膳に通じる医食同源の料理)である普茶料理を日本に持ち込んだのも隠元禅師だと言われており、萬福寺でも普茶料理を体験できます(予約制)。

manpukuji_雑感

どこもかしこも中国式!

manpukuji_正門

そんな隠元禅師によって開かれた萬福寺の最大の特徴は、中国の明朝様式を取り入れているところ。コレ、日本ではすごーく珍しいんですって。たとえば、境内全体が龍に見立てられて造られているのは、中国のお寺ならではの特徴。参道の真ん中にひし形に敷き詰められた石は、龍の背中の鱗を表わしていて、中央を歩けるのは高僧のみなのだとか(参拝者は中央を歩いてもいいでそうです。よかった(笑))。

「卍くずし」と称される門戸、アーチ状に造られた黄檗天井、お経も唐音と呼ばれる中国語を基本とする読みで唱えます。朝夕のお勤めの儀式作法や伽藍や仏像、本堂へと続く道も中国のお寺にのっとったものとなっています。

manpukuji_2

日本の寺院の本堂にあたる「大雄寶殿(だいおうほうでん)」には、中央に釈迦如来、脇侍として左右に摩訶迦葉(まかかしょう)と阿難陀(あなんだ)の両尊者が祀られ、周りには十八羅漢が取り囲むように安置されています。

十八羅漢のなかでも、とくに目を引くのは、自らの両手で胸を開き、そこからお釈迦様の顔をのぞかせている「羅睺羅尊者(らごらそんじゃ)」。どんな人間の心にも仏が宿っているという教えを伝える貴重なものです。

manpukuji_仏像

木魚の原型をチェックせよ!

manpukuji_木魚1

萬福寺は、木魚発祥の寺院としても知られています。僧衆の食堂「斎堂」の横には、木魚の原型である、大きな「開梛(かいぱん)」が吊るされていました。魚は寝るときも止まらず目も開けたまま、不眠不休の象徴であることから、口にある丸い玉は煩悩を表わし、また、これを木の棒でお腹を叩くことで煩悩を吐き出させるという意味を持つのだとか。

manpukuji_5

半眼で体験する坐禅で心を“ととのえる”

manpukuji_座禅

さて、坐禅体験は本堂の横の法堂(はっとう)で行われます。禅の修行は「すべて捨てる修行」。靴、靴下を脱いで、アクセサリー類も外し、座布団の上に正座します。合掌して礼をすると木魚が一度鳴り、それが坐禅開始の合図です。

このタイミングで正座から坐禅に切り替えるのですが、これがなかなか緊張します。でも大丈夫。ちゃーんとやり方を教えてくれますよ。カラダを揺らしながら軸となる姿勢を決めたら、目線は1m先の下を見て半眼に。次に木魚が3度鳴ったら、そこからは動くことはできません。この坐禅体験、休憩をはさみながら約1時間行うのですが、いや~想像どおりなかなかハード。とはいえ、ある段階を超えると無の境地といいますが、清々しい気持ちになります。これが“ととのう”ということなのかもしれません。

manpukuji_4

※営業時間は変更になる場合あり。各施設の最新の営業情報を確認の上、お出かけを。

[All photos by そうだ 京都、行こう。「禅と湯 ととのう京都」

黄檗宗大本山萬福寺
住所:京都府宇治市五ケ庄三番割34
営業時間:9:00〜17:00(受付は16:30まで)
電話番号:0774-32-3900
拝観料:500円
https://www.obakusan.or.jp/
PROFILE

kelly

kelly ライター

出版社勤務を経て、現在は都内でフリーライターとして活動中。辛いものとお酒全般が好き。趣味はミュージカル観劇。年に数回、「自費研修」と称し、ニューヨークや韓国に観劇にでかけるのが生きがい。

出版社勤務を経て、現在は都内でフリーライターとして活動中。辛いものとお酒全般が好き。趣味はミュージカル観劇。年に数回、「自費研修」と称し、ニューヨークや韓国に観劇にでかけるのが生きがい。

SHARE

  • Facebook