
桃太郎伝説が残る吉備津神社

吉備津神社は、桃太郎の元となる大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)を祀る神社といわれており、縁結びや夫婦円満、安産育児、延命長寿、学問などのご利益があります。第7代孝霊(こうれい)天皇の子どもである皇子(みこ)が、人々を苦しめる温羅(うら)という鬼を退治したことが、広く知られている桃太郎話のルーツとなったのだとか。

大吉備津彦命が温羅退治のときに射た矢を置いたとされる矢置岩(やおきいわ)。吉備津神社参道の石段下にあります。

石段を上り、本殿・拝殿へと向かいます。
屋根の形に注目!国宝に指定されている本殿・拝殿

吉備津神社の本殿・拝殿(写真右側が拝殿、左側が本殿)は、国宝に指定。室町時代の1425年に再建されもうすぐ600年を迎えますが、現在まで解体・修理したことがなく、当時のまま残されているのが貴重な建物です。
本殿の屋根の形が印象的ですが、こちらは入母屋の屋根が2つ並んだ「比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)」という建築様式が採用されています。全国唯一の様式ということから、「吉備津造」とも呼ばれているそう。
一見の価値あり!美しい廻廊

吉備津神社といえば、全長360mにわたる廻廊も必見で、絶好の撮影スポットでもあります。

地形に沿って真っすぐに伸びる廻廊は、斜め横から眺めるとこの通り。1578年に再建され、県の重要文化財に指定されています。

廻廊を歩いていると見えてくる「えびす宮」。商売繁盛・家業繫栄の神様が祀られています。

反対側にはあじさい園があり、6月頃には美しい紫陽花が見られるのだそう。
釜の鳴る音で吉凶を占う「鳴釜神事」を実際に体験
廻廊を進んで行くと御竈殿(おかまでん)に到着しました。これから吉備津神社で有名な、釜の鳴る音で吉凶を占うという鳴釜神事を体験します。

左右に羽釜があり、右の釜にはせいろが設置。火が灯され置かれたせいろからは湯気が上がっています。辺りが全体的に黒いのは、煙とすすによるものなのだとか。
神様が祀られている場所は一段高くなっており、神事を受けるために筆者らが座った場所は、最大で70名は座れるほど広いスペースです。御竈殿の釜の下には大吉備津彦命が退治した温羅(鬼)の首が封印されていると伝えられています。
温羅と戦った際、大吉備津彦命が温羅の首をはねたにもかかわらず大声で唸る声がやまなかったため、御竈殿の釜の下に埋めてしまったそう。埋めてもなお唸り声がやむことなく大吉備津彦命が困り果てていたところ、夢枕に温羅の霊が現れます。夢に出てきたお告げの通りにしたところ、唸り声が収まったことで、これが鳴釜神事の起源とされているそうです。

鳴釜神事は、神職と阿曽女(あぞめ)の2名で奉仕されます。祈願した神札を竈の前に祀り、神官が祝詞を奏上し始め、阿曽女はせいろの中で器にいれた玄米をザッザッと振ります。そうすると、まるで鬼が唸るような音が鳴り響き、祝詞奏上が終わるころには音が止むといわれています。この釜から聞こえる音の大小長短により吉凶禍福を判断するのです。
釜が鳴る音について、奉仕した神職や阿曽女が言及したり問いかけたりすることはありません。あくまでも、神事を受けた人が自分の心でその音を感じ、神様からの答えを受けるというものなんだそうです。筆者は、「ゴオオオオオ」という音が聞こえたように感じましたが、確信が持てず「これかな?これなのかな?」と思っている間に神事が終わりました。これもきっと神様からの答えなのでしょう……。
鳴釜神事は、時間にすると約7分です。鳴釜神事は通常は予約できず、特別参拝の時のみ、2日前までにメールでの予約が可能となります。現在は、日時限定で正式参拝と境内案内・鳴釜神事のセット体験が可能です。普段は昇段することができない、国宝の本殿にあがり拝礼するのと、本殿・拝殿の説明を聞きながら境内を散策。その後鳴釜神事を体験できるというもの。貴重な体験ができそうですね。
御朱印はどこでもらえる?

御朱印を受けたい人は、本殿の左手にある受付所に行きましょう。祈祷の受付などもこちらで行われています。

筆者も300円をお納めして、御朱印をいただきました。御朱印帳を持っている人は、記帳のページを開いて渡すと受付順に記帳してもらえます。御朱印の受付時間は、9時~15時です。

本殿・拝殿すぐそばにある授与所では、お守りやお札などが頒布されています。

可愛らしい桃懐御守もありますよ。
吉備津神社は歴史を感じる建造物や廻廊など見ごたえがあり、境内は神々しいパワーで満ちていました。岡山に行ったら必ず訪れてほしい神社です。
[All Photos by Chika]
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Chika
都内在住、京都をこよなく愛する、コテコテの大阪人。飛行機好きが高じて航空会社のグランドスタッフとして勤務していた経験も。海があるところに行くと癒される。
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