フランスでは秋になればゴンクール賞の発表もあり、読書が活気付く季節です。一般的にフランス人は読書が好きと言われています。日本では読書離れが問題になっていますね。フランス人はどうなのでしょうか。フランス人の読書事情を見ていくことにしましょう。
フランス人と読書
15年度のLe Centre National du Livreの統計によると、85%のフランス人が本を読むと回答しました。そのうち、21%がよく本を読む、37%が本を読む、26%が少し本を読むという結果に。14年度の文化庁の調査で47.5%が本を全く読まないという結果がでた日本と比べると、フランス人はよく本を読むと言えます。
とりわけフランスでは65歳以上が一番本を読むのだそう。日本は高齢者の読書離れが話題になっていましたが、フランスでは逆の結果となっています。またフランスでは平均して一年間16冊の本を読むという統計結果が出ています。小説や自己啓蒙本、BDや歴史本などが主に読まれているそうです。
フランス人はいつ本を読むのか
統計の中で毎日本を読むと答えた人は48%でした。寝る前に読むと答えたのが、45%。フランスでは就寝前にゆったりと読書をして過ごすのが好きなように思います。一時間ほど読書をして眠りにつくというのがフランス人のスタイル。
また普段は読書をしないけれど、バカンスの間のみ読書をすると答えたのが8%。日頃は忙しく読書をする時間はないのだけれど、長期の休暇には必ず本を持っていき、読書をしながら日頃の疲れを癒します。フランス人にとってバカンスは読書タイムと捉える人も多く、どの本を休暇に持っていこうかと楽しみながら本を選びます。
フランス人は本屋で本を買うのが好き
フランスでもアマゾンなどのネットショップはありますが、それでもフランス人は本屋で本を買うのが好き。パリには多くの街の書店があります。ネットショップや大型書店の裏で街の本屋は厳しい状況に追い込まれているのだそうですが、それでも閉店に追い込まれることは比較的少なく、経営者の目まぐるしい努力がなされているとのこと。
日本では街の本屋は年々廃業に追い込まれているという話を聞きますが、フランスではこういった街の本屋を守ろうと住民もまた街の本屋で購入するという動きが出ているという話も聞きます。
フランスで人気の日本文学
(C)Nanako Kitagawa
少し話が逸れますが、ここでフランス人の日本文学に対する興味を見ていきましょう。読書好きのフランス人と話す機会があれば、必ず日本文学の話になるほど、フランスでは日本文学はポピュラーのように思います。現代文学であれば、三島由紀夫、川端康成、大江健三郎などが人気です。平成の作家では村上春樹がよく読まれています。新作がでればすぐに翻訳本も出版され、本屋では山積みにされて販売されているほど。
その他には小川洋子や角田光代、川上弘美などの作家が親しく読まれています。読書好きのフランス人になぜ日本文学を読むのかと質問すると、小説の美学がフランス文学とは違う、日本文学は特有で世界観が美しくて、興味深いからという風に話してくれました。実際フランスの雑誌で日本文学の特集が組まれるほど、日本文学はフランスでは人気があるのです。
少し変わった読書体験を、パリにある読書バー
(C)Nanako Kitagawa
(C)Nanako Kitagawa
フランスでは読書の仕方も少し大人でお洒落であります。若者たちが集まるマレ地区にはLa Belle Hortense/ラ・ベル・オルテンスという読書バーがあります。ラ・ベル・オルテンスでは読書をしながらお酒やおつまみをいただくというユニークなスタイル。夜中の2時まで営業しているので、ゆったりとワインを片手に読書をして過ごすソワレもなかなか素敵です。
フランス人にとって読書は生活の一部のようです。フランス人の読書好きを見ていると、読書は生活を豊かにしてくれるように思います。最近仕事が忙しくて本を読む暇もないという方、この秋は一冊の本で秋の長夜を過ごして見ませんか。
フランスと日本の文化ギャップが気になった方は、「フランス人は日曜日、街に遊びに行かない〜フランスと日本の週末の違い〜」「ありえない!日本人がフランスで驚いたこと5選〜遅刻が礼儀?〜」もぜひ。
[franceinfo]
[CENTRE NATIONAL DU LIVRE]
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