田園に囲まれた大迫力の滝
大分県南西部に位置する豊後大野市。肥沃な大地に恵まれ、四季折々さまざまな野菜や穀物が育つことから、「大分の野菜畑」とも呼ばれているほど。ピーマンの生産量は国内トップクラス。車を走らせれば、自然豊かな田園風景が広がります。
そんなのどかな景色の中に、突如として現れるのが「原尻の滝」。険しい山にあるイメージが強い滝だけに、訪れればその周囲とのギャップに驚かされることでしょう。
「原尻の滝」は別府湾に流れ込む大野川の支流、緒方川にかかります。幅は120m、高さ20m。まるで大地の一部がストンと落ちたかのような半円形。自分が立っている高さから水が落ちるという滝は、日本では非常に珍しいそう。轟音を響かせながら、大量の水が滝つぼに注ぎ込む情景は圧巻!
特筆すべきは滝の上に橋があり、そこから滝つぼを見下ろせること。橋は車が通れるほどの幅で、水量の少ない時期はいつでも散策可能。水が流れ落ちる様子を真上から望める滝は、そうそうないのではないでしょうか。
この滝は約9万年前に阿蘇山噴火で流れた火砕流が冷え固まり、川の流れで削られて形成されたもの。自然が長い年月をかけて生み出した、まさに天然の造形美。「おおいた豊後大野ジオパーク」の見どころのひとつで、「日本の滝100選」にも選ばれている名瀑です。
絶景を望める木製のつり橋
山中にある滝とは異なり、多彩な角度から滝を見られるのもこの地ならでは。滝の真向かいには吊り橋がかかっていて、正面から眺めることもできます。木製の吊り橋は歩き進むごとにキシキシと揺れ、さらに床板には隙間もあるので実にスリリング! もはや立派なアトラクションのよう。
吊り橋からはこんな景色が。横から望むときよりも幅が強調され、そのスケールが体感できます。「東洋のナイアガラ」という愛称にも十分納得。高所恐怖症の方は少々しんどいと察しますが、ぜひ鑑賞していただきたいパノラマです。
水しぶきの清涼感に満ちた河原
さらに滝つぼ近くの河原へ下りることも可能。いくつもの滝が勢いよく落下する姿は迫力満点。鳴り響く水音はエネルギッシュで、水しぶきは清涼感に満ちています。夏の暑い盛りは最高のスポットではないでしょうか。
滝に向かって右手にはゴツゴツした岩場が。ロープや柵が設置されていないので、滝の流れをすぐ側で見れるのもポイント。滝の上に橋があったり、柵がなかったり。このように滝を楽しめるのは日本では貴重な場所といえるはずです。
こちらは滝を左側から眺めた景色。滝の周りには遊歩道が整備されているので、あらゆる角度からその魅力を存分に体感できます。水の流れによって毎日刻々と岩石が削られているため、ひとつとして同じ風景はないそう。何度でも訪れてみたくなる唯一無二の自然美です。
土地の豊かさに触れる道の駅
滝の鑑賞後にぜひ立ち寄りたいのが「道の駅 原尻の滝」。農産物直売コーナーでは地元産の新鮮な野菜や果物、手作り和菓子などがそろいます。筆者が訪れた10月上旬はちょうど稲刈りの時期で、新米も勢揃い。棚田で育てるという「ヒノヒカリ」の新米は一粒一粒がつややかで、体験したことのないくらい美味でした。シャインマスカットなどの果物も都内よりお手頃価格。お土産探しにもおすすめです。
平野に突如現れるという特異な形状の「原尻の滝」。ダイナミックな滝を間近に体感して、心を潤してみてはいかがでしょうか?
原尻の滝
住所:大分県豊後大野市緒方町原尻410
電話番号:0974-42-4140(道の駅 原尻の滝)
[All photos by Nao]
Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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