【実はこれが日本一】隣駅まで49分も!駅廃止で生まれた北海道の大記録

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jun 14th, 2022

意外な日本一を紹介するTABIZINEの連載、今回は旅人の足として欠かせない鉄道の日本一を紹介します。


JR石北本線の車両 image by MaedaAkihiko in Wikipedia

 

 

駅から駅までの距離が37.3km

JR北海道・上川駅
JR石北本線・上川駅 (C) PaulWong / Shutterstock.com

前回、駅と駅の間がたった200mと日本一短い路線を紹介しました。九州の長崎県にある佐世保中央駅と中佐世保駅の区間ですね。今回は逆に、在来線の地上を走る路線上で、駅間の距離が日本一長い区間を紹介したいと思います。

駅と駅の距離がもっとも長い在来線の区間といわれると、どの辺を走っている印象がありますか? 距離が長いとなると、住んでいる人の少ない、広大な土地が条件になってくるはずです。

そうなると、北海道を走るJRの路線上にあると予想ができますが、同じ北海道でもどの辺を走る路線だと思いますか?

駅と駅の距離がもっとも長い在来線は「JR石北本線」です。路線上の上川駅・白滝駅間が日本でもっとも距離が長く、なんと37.3kmもあるのだとか。

37.3kmといえば、東京の新宿から八王子くらいまでの距離に近いです。駅を出てから次の駅に着くまで、特急や快速でなければ最大で49分かかります。その間、人口が極端に少ないエリアを電車がひた走るのですね。

JR石北本線は旭川から網走へと通じる路線です。もともと、この路線にはいくつもの駅がありました。しかし、JR北海道が北海道全域で1日の利用人数の極端に少ない駅を閉鎖していく中で、上川駅と白滝駅の間にあった駅が段階的に閉鎖され、結果として駅間の距離が日本最長になったのです。

次の駅まで乗車券は970円


JR石北本線・白滝駅の駅舎 image by Mister0124 in Wikipedia

上川から白滝までの路線は、どのような場所を走っているのでしょうか。筆者はかつて、旭川駅で友達と合流し、上川駅まで行った経験があります。

石北本線は、旭川の市街地から上川盆地を出て、石狩川に沿って北見山地に入っていきます。白滝に向かうためには北見峠(石北トンネル)を越える必要があり、上川はその手前にあります。

上川は、石狩川の上流という意味の地名です。その上川から白滝までの路線で、峠の手前にかつて上越駅(現在は上越信号場)が存在しました。その駅は、北海道内でもっとも標高が高い駅(634m)として知られていました。険しい自然の中に線路が敷設されていると想像できるはずです。

上川駅から白滝駅までの乗車券は970円。各駅停車の列車で49分、快速や特急になると、その区間を40分弱で走ります。

鉄道ファンが愛した「白滝シリーズ」


旧白滝駅のホーム image by 221.20 (talk) in Wikipedia

北見峠(石北トンネル)を越えてからは、鉄道ファンが「白滝シリーズ」と呼ぶ、「白滝」駅が5つ連続します(奥白滝・上白滝・白滝・旧白滝・下白滝)。しかし、それらはどれも段階的に閉鎖となり、白滝駅だけが残りました。

旭川方面から見た場合、白滝駅の次に旧白滝駅があります。この駅は、1人の高校生が通学に使い、その学生が卒業するとともに閉鎖になったとして、2016年当時、マスコミでも取り上げられていました。

上川から白滝まで存在した駅を整理すると、

上川⇔天幕⇔中越⇔上越⇔奥白滝⇔上白滝⇔白滝

です。このうち、道内で最高所にあった上越駅は1975年(昭和50年)、天幕駅と中越駅、奥白滝駅は2001年(平成13年)、上白滝は2016年(平成28年)に廃止され、結果として上川と白滝だけが残ったのですね。

駅の廃止にともなって、歴史や記憶の喪失を嘆く人、何かを残そうと頑張る人もたくさんいます。次の北海道旅行では、旭川からぜひ電車に乗って、この区間を走りながら、その土地の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

[参考]
※ ブリタニカ国際大百科事典

白滝の地名発祥の地 – えんがる歴史物語

幻の駅(特別編)・白滝シリーズってなに? – 駅すぱあと for WEB

※ Yahoo!路線情報

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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