祝1周年!アートアクアリウム美術館 GINZA
地下鉄「銀座駅」から直結の「銀座三越」にある「アートアクアリウム美術館 GINZA」。江戸時代から続く金魚鑑賞という文化を芸術作品として現代に表現した日本最大級の金魚のアート展。四季を通じてさまざまな種類の金魚が泳ぐ水槽作品を、光・音楽・香りで演出しています。
2007年に始動したアート展で、東京・日本橋三井ホール、京都・二条城、石川・金沢21世紀美術館などで開催し、2015年以降は海外へも展開。2020年に東京・日本橋で初の常設展を開催後に銀座へ移転し、2022年5月に銀座三越にオープンしました。
初夏の演出「紫陽花づくし」
開館1周年を迎え、2023年4月26日(水)〜6月27日(火)の予定で、初夏の特別演出「紫陽花づくし」を開催しています。日本観賞魚振興事業協同組合認定の国内認定品種34種類を含む、王道から珍しい種類まで総数70種類以上がそろい、訪れる人を魅了しています!
いつもは外で雨に濡れる紫陽花が、金魚と同じ水槽で水に包まれて花を咲かせるという非日常。日本の伝統的な和の美や、現代アーティストとコラボした金魚の世界が、気分が落ち込みやすい梅雨時期を幻想的に彩っています。それでは9階の入口から入場しましょう。
銀座万燈籠
まず、奈良・春日大社の万燈籠を思わせる吊り燈籠の光景が、都会の喧噪を遮断し、静かに異世界へと誘います。実際に奈良を中心とした日本各地から集められた吊り燈籠とのこと。これを機に現地の歴史情緒も味わいながら、次の「金魚の回廊」へと進みます。
金魚の回廊
金魚が入った大きな水槽の柱が立ち並ぶ回廊。銀座万燈籠から続く、寺社建築に見られる回廊を表現した空間です。上下奥へと鏡が反射し奥行きがあり、水槽の光が緑や青に色を変えて金魚も色とりどりに変化して、まるで天女が舞っているよう……。スタート地点で、すでに心はわしづかみに。
金魚蒐集
珍しい品種の金魚を中心に、種類ごとに金魚を展示しています。丸い水槽の下には金魚の名前だけを書き、生産地や生態などの情報はあえて書いてありません。
頭で理解する金魚鑑賞ではなく、純粋にアートとして個々の金魚の特徴や美しさを自分の素直な感覚で鑑賞するのがおすすめ。1匹ずつを正面からゆっくり見つめてほしいギャラリーです。
金魚の飾り棚
根本幸昇さんの江戸切子作品、盆栽師・平尾成志さんの盆栽作品という、日本の伝統工芸と伝統文化を整然と棚に並べています。眩しい器の中で金魚の赤も一際目立ちます。貴重な展示なので写真撮影時は身を乗り出しすぎないように注意しましょう。
金魚の滝
水が流れ落ちる水槽の壁が縦に並んで、滝のように立体感のある作品。光の水槽の表面を流れる水の音に涼を感じます。青やピンクに変化する水槽の裏側に回って金魚を間近で鑑賞することが可能。頭上には白い紫陽花が咲いていて、ファンタジーのトンネルを通っているようです。
障子リウム
和の家屋から庭園の季節の移り変わりを眺める雪見障子をモチーフにした作品。京都・大徳寺、塔頭孤篷庵の茶室「忘筌席」にある、下吹き抜け障子に着想を得ています。障子の下で泳ぐ金魚の奥には雪が降り積もる日本庭園。静と動が共存していて不可思議であり心に染みる風景です。
お面蒐集
狂言や祭りなどで欠かせないお面。鬼、翁、能面、狐など、独自に蒐集された歴史あるお面の数々が壁一面に飾られています。規律よく並んだお面は、生々しくて迫力があり、心の中を見透かされているよう……。金魚はいませんが、匠の技に触れる必見の場。
新金魚品評
腰ほどの高さの四角形の水槽を上から眺めて鑑賞する作品。台座は京都の伝統的な織物・西陣織が豪華絢爛に彩り、金魚と同じく台座の芸術も要注目。近づいて覗きこむと、金魚が寄ってきて水面から少し顔を出したり、横から見ていると、こちらをじっと見つめてきたりと、金魚の人懐っこさにキュン……!
実際の金魚の品評会と同じように上から覗き込んで、紫陽花に囲まれた水槽の中をゆったり泳ぐ金魚の姿や尾ひれの形を鑑賞。水槽には蓋もなく、水はクリスタルのような輝き。真上からライトを当て、金魚の真下に水墨画のように影を落としています。
高知の国内天然記念物「土佐錦(トサキン)」。“金魚の女王”と呼ばれ、前方が反転した立派な尾ひれをしています。泳ぐたびにくるんくるんと尾ひれが優雅に舞い、その様子は金魚の影を見るとよくわかります。ちなみに「アートアクアリウム美術館 GINZA」の家紋シルエットの金魚も土佐錦がモチーフなのです。
こちらは「ピンポンボール」。ピンポン玉のようにまるっこく、短い胸びれでピコピコ水をかいて、一生懸命な姿が人気の品種です。
眼の周りがぷっくり膨らんだ「水泡眼(スイホウガン)」。下瞼が風船のように膨らんだユニークな品種です。割れないか心配ですが、目を保護する役割があるそう。目もまんまるで、よく見えるのか、人に興味津々なのか、ほとんどの水泡眼が水面に近寄ってきていました。
オリガミリウム
日本の美しき伝統「折り紙」に着想を得た大きな金魚鉢。中では無数の金魚が泳ぎ、背景には折り紙の金魚が折り鶴のように天井から吊るされています。人が通るたび、折り紙の金魚も空気にゆれて、日本の文化的な遊戯を象徴しているようです。
提灯リウム
「祭り提灯」をモチーフに、球体の水槽を提灯に見立てた作品。頭上には番傘と紫陽花が花開き、夜の神社や祭りの参道のような妖艶さ。拡大レンズの球体水槽の中では、金魚が体を大きく小さく変化させて、なんだか夢現の世界観です。
金魚の竹林
提灯の参道を抜けたら、水槽の柱が囲む竹林へ。柱の中では光と泡と一緒に金魚が踊り、『竹取物語』を思わせる光景。皆さんこの空間の真ん中で記念撮影をされていました。
フラワーリウム
アートアクアリウム初の試みで、華道家・假屋崎省吾さんとコラボレーションした作品であり、「金魚&假屋崎省吾」も世界初コラボ。世界に誇る日本の芸術と文化「金魚といけばな」を重ね合わせた大胆で華やかな作品です。
近くで見ていると、花に体全体を囲まれて、自分も金魚になったような錯覚に。仮屋崎さんのお花の世界に迷い込んだような不思議な気持ちになりました。
金魚×アート・浮世絵
新世代シンガー「yama」と、3人のイラストレーター「ともわか」「雪下まゆ」「凪」という注目のネットクリエーターたちが、「女性と金魚/鯉」をテーマに制作した新作も展示しています。ミュージアムショップではグッズも販売されていました。
江戸時代末期の浮世絵師・歌川国芳の、金魚と鯉が描かれている版画作品も20点ほど展示しています。日本的な風合いの色彩で力強い版画作品を間近で見られるのも貴重な体験。
貝殻の内側の光沢で柄や模様を描く技法「螺鈿細工」を散りばめた豪華なカウンターも。「土佐錦」の家紋モチーフをあしらって、どこを訪れても日本の伝統文化を感じさせます。この付近にはベンチもあるので、ちょっと一息しながら鑑賞もできますね。
金魚グッズ多数のミュージアムショップ
ミュージアムショップには、Tシャツやバッグなどの公式オリジナルグッズや金魚グッズも多数販売していて、金魚好きにはたまらないショップです。東京土産にもぴったり。
人気は、夏の期間限定「金魚型ゼリー」(上写真)や「金魚せんべいのふきよせ」(下写真)。
本展示の開催終了後も、夏季限定で販売されているようです。
「とらや」「鶴屋吉信」「上野風月堂」「パレオドール」など、日本を代表する和洋の老舗店とコラボした和洋の限定手土産も。
風鈴や手ぬぐい、金魚図鑑に文具雑貨、金魚のアクセサリーなどお洒落グッズに、展示会で使用されている香りも販売されていました。
福島県「会津 桐の粉人形」(写真)、山口県の「金魚ちょうちん」など伝統工芸品も多数。土佐錦やコメットなどのぬいぐるみも人気です。
気になる金魚は後でゆっくり調べよう
展示会場には金魚の説明書きはありませんが、会場にある冊子や公式サイトで一部の金魚について紹介しています。美術館ではアートに没入して、気になった金魚は後でゆっくり調べて余韻に浸るのもいいですね。
銀座駅直結で、雨や暑さといった天候に左右されず楽しむことができる「アートアクアリウム美術館 GINZA」。ゆらゆらゆれながら目が合うと心をキュッともっていく金魚たちの愛らしさと美に魅せられることでしょう。
開催期間:2023年4月26日(水)~6月27日(火)(予定)
入場料(中学生以上の大人):WEBチケット2,300円、当日券2,400円(大人1人につき小学生2人まで無料)
チケット販売:https://ticket.artaquarium.jp/
*当日券は銀座三越新館9階にて発売
*ベビーカー・スーツケースの持ち込み、ペット連れの入場不可
開催施設:アートアクアリウム美術館 GINZA
住所:東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越新館8階(入口は9階)
営業時間:10:00~19:00(変更になる場合あり)
休館日:施設に準ずる(メンテナンス等により不定期休館の場合あり。詳しくは公式サイトをご確認ください。)
交通:東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」直結、東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」9番出口より徒歩約5分、都営浅草線・東京メトロ日比谷線「東銀座駅」銀座駅方面地下通路経由徒歩2分、JR「有楽町駅」中央口・銀座口より徒歩約9分
公式サイト:http://artaquarium.jp/
Twitter:@artaquarium_tm
Instagram:@artaquarium_tm_official
[all photos by kurisencho]