サケとマスに明確な区別はない
名前が変わる魚といえば、たとえば「ハマチ」が成長すると「ブリ」になるということはよく知られていますよね。しかし、「サケ」と「マス」はそのように単純ではないようです。
一般社団法人 大日本水産会 魚食普及推進センターによると、日本では、「鮭は海で獲れる大きなもの、鱒は淡水で獲れる小さなもの」が大雑把な分け方だといいます。
(一般社団法人 大日本水産会 魚食普及推進センターHPより)
川では「ヒメマス」だったものが、海に出ると「ベニザケ」になるのです。しかし、川に住む「マス」が、海に出ると必ず「サケ」になるかというと、そうとは限らず、「サクラマス(ホンマス)」は、海に住んでいます。川での名前は「ヤマメ」です。
また、川で「ニジマス」だったものが、海に出ると「トラウトサーモン」になります。ちなみに、英語ではそれぞれ「レインボートラウト」、「スチールヘッド」です。
もう複雑で、何がなんだかわからなくなってきますが、そもそも、サケとマスに明確な区別はないのだそう。このように混乱してしまうのは、
- 地域や時期で名前が違う
- 同じ種類でも、育つ場所(川か海か)で大きさも名前も変わる
- 「あだ名」で取引されている
という原因によるもので、上の表にある英名や和名も、あだ名のようなものなのだとか。
鮭とサーモンの違い
一般的に日本で「サケ」といわれているのは「シロザケ」で、秋に獲れると「秋鮭」、春から初夏に獲れると「時鮭(トキザケ)・時不知(トキシラズ)」と呼ばれることもあります。
サケ(シロザケ)はアニサキスがいるため生食はできませんが、昔からルイベとして冷凍してから半解凍の刺身として食べたり、チャンチャン焼きのように加熱してから旬を楽しんでいました。
でも、最近は回転寿司でも人気のネタである「サーモン」は生で食べていますよね。それはどうして可能なのでしょうか?
実は寿司ネタや刺身で食べられるサーモンは、ノルウェーやチリなど海外で養殖されている「アトランティックサーモン」や「トラウトサーモン」で、アニサキスがいないので生で食べることができるのです。
最近では、長野県産の「信州サーモン」や静岡県産の「富士山サーモン」など、日本国内でのサーモン養殖も盛んになっています。こうした国産の養殖サーモンもアニサキスの心配がなく、生食が可能です。
11月11日は鮭の日。漢字の「鮭」のつくりの部分を分解すると「十一十一」となることにちなんでいるそうです。この機会に、旬の秋鮭をはじめ、さまざまなサケ・マスを味わってみては?
[参考]
鮭、鱒、サーモン、トラウトの違い|魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会)
日本のサケ科魚類 | 国立研究開発法人 水産研究・教育機構
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