映画や小説の舞台にもなった、徳島県の眉山(びざん)。この山のふもとに営業は週3日だけいう、ちょっと不思議なカフェがあります。
今回は筆者が旅の道中で偶然出会った、極上に癒される空間の「万年山文庫」をご紹介しましょう。
静かな時間が流れる、大人の隠れ家
徳島市のシンボルでもある眉山の北麓にある、阿波藩歴代藩主の墓所・万年山(まんねんやま)。この麓に万年山文庫は佇みます。
営業は土、日、月曜日のみ。万年山文庫は、定年退職を機に京都からUターンしたご夫妻が開かれたお店だそう。丁寧に準備を進めたり、ご自分たちの時間もしっかり持ちたい、という思いから週3日の営業にされているようです。
黄色の建物が目印の万年山文庫。玄関前には薪ストーブ用の薪が積まれています。
入り口では、春を感じる華やかなお花がお出迎え。
ドア開けると、壁にびっちり本が並べられた図書室が! 歴史、料理、社会、動物、小説、図鑑まで様々なジャンルが揃っています。2階への階段までとにかく本がいっぱい。
これらの本はマスターご夫妻が集められてきた蔵書だそうで、自由に選んでお茶を飲みながら読ませていただけるんです。お店の名前が「文庫」という理由がよくわかりました。
白い壁と木のぬくもりが調和した柔らかな2階の茶房。ゆったりした心地よい音楽が流れ、極上の癒しの空間。木製の格子窓からは、春の穏やかな光が差し込んでいます。
手作りのチーズケーキとコーヒーをいただきながら、ゆっくりと読書。ご夫妻のお人柄や心遣いが随所に表れているカフェで、心地よい時間を過ごせました。茶房のドアを開けると、万年山の美しい木々を眺められるテラス、その奥には“おしゃべりを楽しんでほしい”という思いから作られた「談話室」があります。
丁寧につくられた、オリジナルメニュー
黒米入りご飯のカレー
トマトの酸味や自家製マーマレードの甘みがアクセントになったカレー。黒米はマスターの弟さんが手がける、島根県の農場から届けられたものを使用。
ハム&オニオントースト
ロースハムとタマネギに黒胡椒と岩塩だけで味付けした、シンプルなトースト。丁寧に淹れられたおいしいコーヒーの最高のお供に。
ステキな場所や人と出会うと心が豊かになることがありますが、まさにそんな気持ちになれる「万年山文庫」。徳島を旅した時は、別世界のような時間が流れるカフェを訪れてみてはいかがでしょうか?
[万年山文庫]
[All Photos by Nao]