【日本の水辺をぶらり釣り歩き8】関東の東端・銚子の海でイシモチと遊ぶ

Posted by: オオモトユウ

掲載日: Aug 20th, 2022

四方を海に囲まれ、雨が豊富な気象的条件から湖沼や河川に恵まれている日本。南北に長い地理的条件ゆえ生息する魚種も多く、各地の水辺では盛んに釣りが楽しまれています。そんな日本各地の水辺を訪ね、肩肘張らずに釣り歩いていく本連載。今回は初日の出スポットとして有名な千葉県・銚子の海を満喫してきました。


>>【実はこれが日本一】犬吠埼は「参観者最多の灯台&初の白丸ポスト」もあった
 

初日の出の名所「犬吠埼」にて、水平線から昇る太陽に大漁祈願!


関東平野の東端、太平洋に突き出すような地形が特徴的な千葉県銚子市。国内でも屈指の漁獲量で有名な「漁業の町」ですが、離島や山頂を除く本土の平地では最も早い初日の出が拝めることで知られています。

なかでも「犬吠埼」は、元旦に必ずテレビ中継が行われる定番の初日の出スポット。水平線から昇る朝日に新しい年への希望と幸運を祈ろうと、多くの人が訪れます。


そんな銚子の海を訪れたのは、正月の記憶などすでにすっかり消え失せた夏の盛りのこと。「犬吠埼灯台」の駐車場に到着した頃には東の空が橙に染まり、灯台の輪郭が逆光線で際立つ幻想的な景色が広がっていました。


やがて水平線から頭を出した太陽に大漁を祈願し、遮るもののない強烈な日差しに照らされながら灯台周辺を散策します。犬吠埼灯台は国内では数少ない「のぼれる灯台」(有料)ですが、参観開始は8時30分。せっかちな性分ゆえ、それまでの数時間を待つ気になれず、再び海辺のドライブを楽しみます。

犬吠埼灯台
住所:千葉県銚子市犬吠埼9576

犬吠埼の名前の由来にも!?義経にまつわる逸話が残る海岸線を歩く

次に訪れたのは南側に回った外川地区。銚子の街を走るローカル鉄道・銚子電鉄の終着駅が置かれたこの地区からは、延々と断崖絶壁が続く「屏風ヶ浦」や、その先に広がる「九十九里浜」を見渡すことができます。

実はこの外川地区、かの有名な源義経ゆかりの地として歴史好きには有名な場所です。詳細は割愛しますが、兄の頼朝から追われる身となった義経が奥州(現在の岩手県)へと逃れる際、出発点となったのが外川の海とされています。


その伝説の名残は海辺に広がる数々の岩に残されています。まずは外川漁港内にそびえる巨岩「千騎ヶ岩(せんがいわ)」。約2億~1.5億年前に形成されたとされるこの岩には大きな洞窟があり、義経が連れていた千騎の兵をこの岩に隠したことがその名の由来とされています。

千騎ヶ岩
住所:千葉県銚子市犬若地先


外川に隣接する「犬若」という地区も義経伝説がその名の由来。海辺にある奇岩「犬岩」は、義経の愛犬であった「若丸」が当地に置き去りにされ、7日間鳴き続けて8日目に岩になったという伝説が残されています。


先に訪れた犬吠埼も「若丸」の遠吠えが聞こえてきたことがその名の由来とする説があり、ほかにも義経に縁のある地名は複数点在します。景色はもちろんですが、こういった伝承を楽しみながら辿ると、旅が深みを増す気がします。

犬岩
住所:千葉県銚子市犬若

水揚げ量日本一を誇る巨大漁港「銚子港」で投げイシモチ遊戯

海の様子を見ながら観光名所巡りを楽しみましたが、風向きや波の影響で、どこも竿を出すにはイマイチな状況でした。そこでぐっと北に戻って、利根川の河口部に広がる銚子漁港を目指すことにします。


朝方は晴れていた空も次第に雲が厚くなり、すっきりとしない景色に。気分的にはマイナスですが、暑さは軽減されて釣りには好適です。持参した道具に「イシモチ専用」として売られている仕掛けを結びつけ、ハリには虫エサを模した軟質プラスチック製の擬似絵を装着。

広々とした港内に投げ込んで、オモリが海底をなぞるようなイメージで、ゆっくり、ズルズルと引っ張ります。


投げる方向と距離を変えながら広く探ることしばし、海底がすり鉢状に少し深くなった場所で「ゴゴゴン!」と魚信をとらえました。リールを巻くスピードを少し速め、やがて水面に銀色の魚体が浮かびました。掛かっていたのは、この日の本命魚・イシモチです。

砂地に生息するこの魚は、「ニベ」「シログチ」という2種を総称して「イシモチ」と呼ばれます。きれいな白身は塩焼きや煮付けで楽しめ、かまぼこなどの練り物の材料としても優秀。都市部のスーパーでは姿を見る機会がそれほど多くないものの、海辺ではポピュラーな大衆魚です。

群れで移動する習性があるため1尾釣れたらその周辺を探るのがセオリーですが、撮影中に移動してしまったのか後続がありません。1時間ほど探し回ったものの、ようやくの追加もやはり単発でした。

2ケタ釣果を夢見ていただけに結果にはややガッカリでしたが、この日の釣りはあくまで旅のついで。深追いは禁物と隣接する飲食店で新鮮な魚介を楽しみ、帰宅後は釣れたイシモチを肴に晩酌を楽しみました。

銚子外港第二港区
住所:千葉県銚子市川口町2-6529-32

[All photos by オオモトユウ]

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PROFILE

オオモトユウ

oomotoyuu 編集者/ライター/フォトグラファー

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

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