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利用する施設の何もかもが日本最北端。道北・稚内の町へ
ぐるりと一周すると4,000km以上の海岸線を有する北海道。日本海、オホーツク海、太平洋に囲まれ、さまざまな海流がぶつかるため、ほかの地域とは魚の種類やその資源量が大きく異なります。
釣りを愛好する人間にとって、そんな海はまさに天国。道内は面白そうな場所ばかりですが、これまで公私ともに訪れたことがない道北の稚内へ出かけてみました。
稚内には、一般の人が陸路で到達できる場所としては最北に位置する宗谷岬があり、言わずと知れた日本の最北市です。ゆえに、市内には「日本最北の〜」と銘打たれた場所が多く、稚内空港や稚内駅といった公共交通機関も「日本最北」としてその名が知られています。
地元の人はもはや気にもとめませんが、旅行者にとっては実に新鮮。私も思わず、稚内駅前にある「日本最北端の線路」と書かれた石碑の前でシャッターを押してしまいました。
日本最北端の線路のモニュメント
住所:北海道稚内市中央2-11
港の中に古代ローマの建築物!?高波から航路を守る巨大ドームを歩く
稚内駅は稚内港の目の前にあり、鉄道の駅に道の駅が併設されている珍しい公共施設です。駅を降りたら歩いて釣り場まで行くことができ、アクセスは最高なのですが、私には別のお目当てが。
駅から副港通りを北上し、稚内港の北防波堤を目指します。この北防波堤、戦前には樺太との間を結ぶ連絡船基地として利用されていた歴史のある港湾施設です。
少し変わっているのが、堤防の外側から半ドーム状の重厚な庇が400m以上にわたって設置されていること。「稚内港北防波堤ドーム」と呼ばれるこの構造物は、海洋航路の発着点を北海の荒波から守るために建設された港湾施設の一部です。現在は土木学会選奨土木遺産、北海道遺産に指定されています。
いざ目の前にしてみると、古代ローマ建築を想起させる特徴的な柱列と壮大な景観に圧倒されます。これだけ目立つ建築物ですから、数々のテレビCMでロケ地として使われてきました。名前や所在地は知らなくても、この外観に見覚えがある人も多いのではないでしょうか。
稚内港北防波堤ドーム
住所:北海道稚内市開運1丁目
落としたルアーにソイやアイナメが続々!北の海ならではの顔ぶれも
長年の夢であった北防波堤ドーム見物を終えたら、港内に延びた堤防から釣り糸を垂れることに。糸の先にハリと一体化したオモリを結び、そこに軟質プラスチック製の「ソフトルアー」と呼ばれる擬似餌を装着。まずは足下の堤防際に着いている魚を狙ってルアーを落とします。
底まで落ちたところでルアーを上下させていると、「ゴツッ!」という手応えで何やら掛かりました。引きはさほど強くないので一気に巻き上げると、20cmほどの「シモフリカジカ」と思しき魚が釣れ上がりました。
東北や北海道ではよく釣れる魚のようですが、関東以南では、ほぼ見かけません。こういうご当地魚との出会いは、実にうれしいものです。
足下で釣れなければやや沖を、それでも釣れなければ少しずつ歩いてポイントを移動していきます。沖へ投げて底近くを巻いてきたルアーに「ガツン!」と食いついてくるのは「クロソイ」。
こちらは茨城や福島の海でも釣ったことがありますが、日中にこれほど素直に掛かることは非常にまれ。やはり北海道の海は格別です。
少し型のよい魚を狙って消波ブロックの隙間にもルアーを落としてみます。こういった穴の暗がりには、大型が身を潜めていることが多いからです。私の竿で届くギリギリの穴にルアーを落とし、その奥でしつこく踊らせます。
移動を繰り返しながらそんな一連を繰り返していると、いきなり竿先が「ギュン!」と引き絞られました。掛かっていたのは35cmほどの「アイナメ」。まだ中型ですが、観光ついでの釣りですから十分満足です。
この日は早めに宿に入って旅の疲れを癒やすべく夕方前に納竿。しかし、日中の釣れっぷりが忘れられず、夜も港へ出かけてクロソイやアイナメと戯れてしまいました。
[All photos by オオモトユウ]
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oomotoyuu 編集者/ライター/フォトグラファー
スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。
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