
「世界三大奇虫」は見た目がグロテスクな3種の虫

これまで、TABIZINEでは、「世界三大○○」をいくつも紹介してきました。その大半は、日本だけで通じる話で、世界的な常識にはなっていませんでした。
今回取り上げる世界三大奇虫も一緒です。「world’s weirdest insects(世界の奇妙な虫)」などと英語で調べても、定説が見つかりませんので、おそらく日本だけで通じる考え方なのだと予想されます。
では、世界三大奇虫とは、何なのでしょうか? それは「ウデムシ」「ヒヨケムシ」「サソリモドキ」です。基本的に筆者は、どの虫も知りませんでした。しかし、写真を見る限り、選ばれる理由がわかる気がします。見た目が、とってもグロテスクなのですね。
ウデムシ

世界三大奇虫の中で、最初に紹介する虫は「ウデムシ」です。名前からもわかるとおり、特徴は、その前脚(第1脚)です。
細長い前脚が2本生えていて、アンテナのようにその前脚を伸ばし、揺すりながら歩きます。『日本大百科全書』(小学館)によると、アフリカ・インド・南北アメリカの多湿な熱帯・亜熱帯に分布しているそう。
肉食で、ゴキブリ・シロアリ・ワラジムシを食べるといいます。「害虫」を食べてくれる生き物なので、なんだか役立つ印象はあります。毒もなくおとなしい虫なので、いっぱい増えてくれればと、写真を見なければ思うかもしれません。
しかし、いくら役立って人間に無害でも、こんな見た目の虫がそこら中の倒木や石の下に潜んでいたら、それはそれで困ります(少なくとも筆者は)。
ヒヨケムシ

『ナショナルジオグラフィック』のウェブ版に、毛深い毒グモのような「ヒヨケムシ」がヤスデを捕らえる映像が公開されています。
最初、この映像は早送りかと思いました。それくらい、異次元の素早さで襲っています。その動きが(筆者には)かえって気持ち悪く見えるのですが、通常の再生速度だと聞いて、余計に気持ち悪く感じました。
また、頭と同じくらいの大きさを誇るあごも特徴的で、毒はないものの人間もかまれれば、血が出るくらい強いみたいですね。
『日本大百科全書』(小学館)には、
<肉食で極度に貪食(どんしょく)である>(『日本大百科全書』より引用)
と書かれています。その貪食さは、コマ送りのような俊敏さとあごの巨大さによく出ていると思います。
サソリモドキ

最後は、サソリみたいな見た目の虫「サソリモドキ」です。「もどき」ですから、サソリのように毒針で刺すような危険性はありません。その代わり、酢酸臭のする分泌物を肛門から噴出すると百科事典に書かれています。
この虫は、びっくりですが、日本にもいるそうです。国立環境研究所の「侵入生物データベース」によれば、サソリモドキの一種である「アマミサソリモドキ」が鹿児島県に自然分布しているとわかります。
観光地として有名な場所でいえば、
- 奄美大島
- 薩摩半島(砂むし温泉で有名な指宿などがある半島)
などにもいるらしいです。
さらに、八丈島(東京)の農園主が、ソテツ(ヤシに似た葉が特徴)を自分たちの島に奄美大島から持ち込んだ際、サソリモドキが混入していたため、八丈島でも繁殖したようです。
ただ、これらの世界三大奇虫も、各地の自然科学館などが繰り返し特別展示するくらい、人気の虫だという事実も一方であります。
自分の狭い世界に閉じこもっていては駄目なはずですから、これらの虫に会いに各地を巡る旅の形もありかもしれませんね。
[参考]
※ 世界三大奇蟲がやってくる! 新潟県立自然科学館に世界の気持ち悪い生き物が大集合 「キモい展」新潟開催決定! – 新潟県立自然科学館UX新潟テレビ21キモい展実行委員会
※ 「キモい」には理由がある 世界三大奇虫など30種を展示 横浜 – 毎日新聞
※ 世界三大奇虫ヒヨケムシ 目にも止まらぬ超高速攻撃 – NIKKEI STYLE
※ 見た目も奇妙…ハサミ持つ世界三大奇虫ずらり 和歌山の水族館 – 毎日新聞
※ 世界三大奇虫:全身に毛の生えたアゴデカ生物「ヒヨケムシ(キャメルスパイダー)」※昆虫出演中 – カラパイア
※ アマミサソリモドキ – 国立環境研究所
[All photos by Shutterstock.com]

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
【世界三大奇虫】見た目がグロテスクでも大人気の虫とは?日本にもいた!
Jan 27th, 2023 | 坂本正敬
世界を代表するとされるものを3つ取り上げて、「世界三大〇〇」と呼ばれるさまざまなものがありますよね。そこで、どんな事物がそういわれているのか調べてみました。あなたはどれだけ知っているでしょうか? 今回は、ちょっと気持ち悪い(と少なくとも筆者は感じる)「世界三大奇虫」について紹介します。
続々誕生している車中泊場所「RVパーク」ってどこにあるの?6・7月新規オ
Aug 20th, 2022 | Mayumi.W
車の中で寝泊まりをする車中泊。安く自由に旅ができて気軽とも思える車中泊ですが、日本ではまだなかなか浸透しているとは言えません。そんな中、安心して車中泊を楽しめる場所「RVパーク」が続々誕生しています。今回は、全国に広がりつつある車中泊スポット「RVパーク」をご紹介。「RVパーク」を知れば、旅の選択肢がもっと広がるかも!
【実は日本が世界一】年間6トンの金山!佐渡より産出する鹿児島「菱刈鉱山」
Oct 20th, 2021 | 坂本正敬
日本が意外な分野で世界一を誇る話題を紹介するTABIZINEの連載。今回のテーマは、五輪でも選手の手に渡った金(ゴールド)。「中国の東1500カイリの海中の島で黄金に富むジパング(ジャパン)」の金が世界一(トップクラス)という話を紹介します。
【鹿児島の難読地名】頴娃、吾平、岡児ケ水・・・いくつ読めますか?
Sep 11th, 2021 | 内野 チエ
日本各地には、なかなか読めない難しい地名が多数存在します。地域の言葉や歴史に由来しているものなど、さまざまですが、中には県外の人はもちろん、地元の人でもわからないというものも。今回は鹿児島県の難読地名を紹介します。あなたはいくつ読めますか?
【開運】鹿児島県のパワースポット3選!疫病退散、活火山パワー、釜蓋願掛け
Dec 10th, 2020 | 青山 沙羅
コロナ禍のこんなときだからこそ、パワースポットのよい運気をいただき、人生に立ち向かう勇気を養いたいものです。日本全国にあるパワースポットで、コロナの災いを退け、健康運や金運、仕事運を上げましょう。北海道から沖縄まで、47都道府県のパワースポットをご紹介します。今回は鹿児島県です。
【世界遺産に泊まる 第2回】生命の森を抱く「屋久島」にある、口コミ評価の
Jun 11th, 2019 | 青山 沙羅
旅行客に人気の世界遺産。夏から秋の旅行シーズンに先駆け、「世界遺産に泊まれる宿」を連載でお届けします。第2回目は、口コミでほぼ満点の評価を受ける「JRホテル屋久島」です。美容液みたいなトロトロ温泉に、大海原を望むレストランなど。
食べにいらっしゃい!食べ物の美味しさ自慢の県【ちょっと面白い都道府県ラン
Jan 14th, 2019 | 青山 沙羅
北から南まで47都道府県、小さな日本なのに風土、文化、方言、県民性がそれぞれ違います。各都道府県が持つ個性に着目し、「ちょっと面白い都道府県ランキング」をシリーズでご紹介。今回は、食べ物の美味しさが自慢の都道府県について。
トラベルライター22人が選ぶ、おすすめ観光地ランキング【鹿児島編】
Oct 27th, 2018 | 坂本正敬
旅の達人、プロのトラベルライター22人に「47都道府県のおすすめ観光地」アンケートを実施。各県それぞれ、行ってよかったスポットTOP5を選んでもらいました。TABIZINE5周年企画として、1県ずつランキングで発表していきます!今回は、鹿児島編です!
映画「めがね」ロケ地巡礼。世界一”たそがれ”が似合う場所「ヨロン島」
Jul 14th, 2018 | 金子 愛
「電波の届かない場所に行きたかった・・・」独特な世界観と映像美で、疲れた現代人の心を充電する癒し系映画「めがね」。撮影地であるヨロン島には、今も多くのファンたちが訪れます。実は筆者もそんな ”めがね女子”の一人。いざ、たそがれの旅へ!
暮らし旅ライター厳選!死ぬまでに「ヨロン島」へ行くべき10の理由
Jul 9th, 2018 | 金子 愛
「ヨロン島」は通称 ”東洋の真珠”、死ぬまでに見たい世界の絶景にも選ばれた秘島。ヨロンに惚れ込みプチ移住した筆者が、ヴェールに包まれたをその謎を紐解きます!幻の砂浜「百合ヶ浜」の絶景やメディアでも注目されるヨロングルメまで現地ルポ。