海抜2,070mで死亡者続出でも大人気!中国・華山の「長空桟道」【うそみたいな海外の絶景】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Apr 2nd, 2023

うそみたいな世界の絶景を紹介するTABIZINEの連載。今回は、死亡者も絶えない、美しさと危険の隣り合わせた絶景を紹介します。

中国・華山
 


 

中国の五岳にある危険な絶景

中国・華山2
danielcastromaia / Shutterstock.com

「死の恐怖が隣り合わせだからこそ享楽が得られる」との話もありますが、この絶景は、危険な状況で体験するからこそより美しく見えるのでしょうか。

中国の内陸部に西安という大きなまちがあります。その西安の近く、モンゴルの方から黄土高原を南流してきた黄河が直角に曲がって東へ展開するあたりに、花こう岩でできた「華山」があります。

標高は2,154m、景観は雄大で、花のように美しい姿が遠方からも眺められるため、中国の五岳(霊山、中国的な山岳信仰の対象)の1つにも数えられています。詩で詠まれたり、文学の舞台になったりと、中国人にとっては大変有名な山だと、各種の百科事典に書かれています。

その山中には寺院も多数あり、山岳信仰と結びついた道教の聖地としても知られているそうですが、旅を愛するTABIZINE読者にとって、最大の関心事になりそうな大人気観光スポットもあります。「長空桟道」ですね。

世界で最も危険なハイキングトレイル

中国・華山「長空桟道」
この長空桟道とは、垂直に切り立った華山の絶壁(海抜約2,070mの地点)につくられた桟道です。

「桟」とは、短く切った木、架け橋などを意味し、

<険しい山のがけぎわに短く切った木を掛け渡した木の橋>(『漢字源』より引用)

といった説明も漢字辞典にはあります。

長空桟道もまさに、切り立った絶壁に石の釘を打ち込み、短く切った木をその上に敷いて足場をつくって、道としただけの場所です。

「華山一の険路」と言われたり、CNNでは「11 of the world’s most dangerous hiking trails(世界で最も危険なハイキングトレイル)」と書かれたりするくらい危険で、観光客は切り立った絶壁に身を寄せるようにしながら、幅30cmほどの木の板の上を命綱を頼りに進まなければいけません。

「映える」写真や動画を撮ろうとして死亡事故も

中国・華山の長空桟道
Maciej Bledowski / Shutterstock.com

当然、死亡事故も発生しています。途中で足がすくんで動けなくなる人の様子なども動画投稿サイトやSNS(会員制交流サイト)で確認できます。5年前には、長空桟道から意図して飛び降りる、内モンゴル男性の姿がインターネット上で拡散しました。その男性は、捜査隊によって死亡が確認されています。

長空桟道は、防護柵のある道→垂直のはしご→防護柵のない桟道と続きます。特に、最も危険な最後の桟道の部分で「映える」写真や動画を撮ろうと、命知らずの人たちが危険な方法で撮影を続け、事故につながっているようです。

CNNの記事でも、きちんとした服装と肉体的な準備が必要になると書かれています。万が一、華山の長空桟道を訪れる場合は、決して軽く見ないでおきたいですね。

[参考]
華山一の険路、「長空桟道」 – 人民網
World’s 10 Scariest Cliff Walks – Smarter Travel
死者続出、断崖絶壁の「死の山」に行列ができる理由は:有吉の世界同時中継 – テレ東プラス
Mount Huashan – Challenge the World Most Dangerous Hiking Trail – China Discovery
11 of the world’s most dangerous hiking trails – CNN
空中桟道から飛び降りた男性の死亡確認=観光客の目の前で突然命綱外し―中国 – Record China

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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