【実は日本が世界一】1,403席!最大の木造コンサートホールは森の豊かな山形県にあった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Mar 29th, 2023

日本にいながら、意外と知らない日本の「世界一」。いつも何気なく目にしているものから、知られざる自然の世界、そして努力や技術の賜物まで、日本には世界に誇れる「世界No.1」がたくさんあるんです。そんな「実は日本が世界一」、今回は、日本が誇る、世界一のコンサートホールを紹介します。

山形県南陽市の白竜湖
山形県南陽市の白竜湖 ©︎ 山形県
 


 

世界最大の木造コンサートホール

シェルターなんようホール(山形県南陽市)
Arg.editor, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

これまで、どのくらいの数のコンサートホールに足を運んだ経験がありますか? 個人的には、オランダの首都アムステルダムにある「コンセルトヘボウ」というコンサートホールの印象が強いです。

もちろん、優れたコンサートホールは日本にもたくさんあって、ギネス世界記録に掲載される、「シェルターなんようホール(南陽市文化会館)」のような場所もあります。

館の名前にもなっている南陽市は山形県の南部、山形市の南、米沢市の北にあって、両市を結ぶ米沢街道(最上街道)の宿場町として栄えた歴史を持ちます。

山形県南陽市
山形県南陽市 ©︎ Shutterstock.com

ブドウ栽培も盛んなので、その方面で名前を聞いた人もいるかもしれません。その南陽市に、2015年(平成27年)10月1日に開館したシェルターなんようホールが、ギネス世界記録に認定されているのですね。

何をもってギネス世界記録に認定されているかと言えば、記録名は「The largest wooden concert hall」です。日本語にすると、世界最大の木造コンサートホールです。

建設には、坂本龍一さんの協力も


シェルターなんようホールは、どのくらい大きいのでしょうか? 座席数が1,403席あり、大ホールの容積は約1万2,000立方メートル。総床面積は、6,178.13平方メートルです。

サッカー専用競技場のコートの広さが7,140平方メートルくらいですから、サッカーコートを一回り小さくしたような規模感のコンサートホールと想像すればわかりやすいと思います。

どうして、これほど大きな建物を木造で建てようと思ったのでしょう。その背景は、館の公式ホームページや農林水産省のコンテンツ、河北新報など地元新聞社のコンテンツに詳しいです。

旧市民会館が古くなり、東日本大震災もあって、地元の資源である杉材を活用した新ホール建設の話が持ち上がりました。山形県は県土の約7割が森という自然の豊かな土地です。多様な森林が存在し、天然のブナ林は日本一の面積を誇るそうです。その豊かな森の資源を生かした木造コンサートホールをつくろうとしたわけです。

当然、大型で木造の耐火施設が過去に日本に存在せず、前例をつくる壮大な工事となったようですが、県内企業や坂本龍一さんをはじめとする専門家委員会の協力を得て、シェルターなんようホールは完成を迎えました。

ギネス世界記録の申請に関しては、「日本初の木造大型ホールなのだから、世界でも初めてなのでは?」と、ギネス世界記録の本部に問い合わせたところ本当に、世界最大の木造コンサートホールだと判明したそうです。


木造のコンサートホールらしく、音の反響に独特の特徴があって、高音を適度に木材が吸収してから跳ね返すため、同館ホールでは音の響きが柔らかくなるそう。

クラシックの演奏から、きゃりーぱみゅぱみゅさんなど大物アーティストのライブ、地元特産ワインの完成発表会に至るまで、さまざまな形で活用されていて、地域の発展にも大きく貢献しているホールです。

山形旅行に出掛けたら、特に、山形南部(置賜地域)に訪れる機会があれば、世界最大の木造コンサートホールにも足を運びたいですね。

[参考]
Largest wooden concert hall – Guinness World Records
Nanyo-City Cultural Center – Shelter
世界最大の木造コンサートホール – 農林水産省
シェルターなんようホール(南陽市文化会館)
きゃりーさんが南陽PR 世界最大の木造ホールモチーフ、市とコラボのTシャツ販売 – 山形新聞
十分一山ワイン、味わいすっきり 完成発表会、南陽高生がラベルデザイン – 山形新聞
山形県の森林 – 山形県

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook