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【実は日本が世界一】「世界で最も短い詩」は日本の詩人が書いたカエルの詩

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Apr 5th, 2023.

日本にいながら、意外と知らない日本の「世界一」。いつも何気なく目にしているものから、知られざる自然の世界、そして努力や技術の賜物まで、日本には世界に誇れる「世界No.1」がたくさんあるんです。そんな「実は日本が世界一」、今回は、詩に関する世界一を紹介します。

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詩のイメージ
 


 


日本には「世界で最も短い」詩がある

本を手に取る人
詩というと、あるいは詩人というと、何を・誰を思い浮かべますか? 古今東西たくさんの詩人がいて、詩作にはげんでいます。その中で「世界で最も短い詩」といえば、どこの国の誰が書いた詩になると思いますか?

この点については、いろいろな意見があります。ヘビー級の元ボクシング世界チャンピオンであるモハメド・アリさんの詩を「世界で最も短い詩」と考える人もいるそうです。

ハーバード大学の学生2,000人を前にしたスピーチの終わりで、学生から「何かの詩を贈ってください」との声があり、しばしの沈黙があった後で「Me, we」という2語の詩を贈ったという話ですね。

ほかにも、Aram Saroyanさんというアメリカの詩人が書いた1語の詩「m(実際は4本脚のm)」だという説もあります。現在でこそ記録が確認できませんでしたが、ギネス世界記録にも「the world’s shortest poem(世界で最も短い詩)」として記録されていたとの話。

<it was cited in The Guinness Book of Records as the world’s shotest poem.>(『New Explorations in Indian English Poetry』より引用)

同じく1文字の詩としては、カナダ人の詩人であるJ. W. Curryさんが書いた「i」の詩もあります。この場合、「i」の上の点(スーパースクリプトドット)が、作者の親指の指紋になっています。文字の線の長短でいえば「m」よりも「i」の方が短いので、J. W. Curryさんの詩を世界最短と考える人もいるようです。

ただ、世界の人たちはまだ、もっと短い詩が日本にあるとは知らないみたいですね。草野心平さん(1903~1988年)の詩で、小学生のころに国語の教科書で筆者も習った記憶があります。作者の名前だけで思い出す人もいるのではないでしょうか。

冬眠中のカエルの心情を表現した詩

文章を書く人
草野心平さんが書いた「世界一短い詩」のタイトルは「冬眠」です。このタイトルで、ピンときた人もいるかもしれません。

草野心平さんの「冬眠」の内容は1文字です。しかも、4本脚の「m」よりも、指紋を押した「i」よりも、線の長さも短いです。実際に引用してみましょう。

<●>(産経新聞に掲載された草野心平『冬眠』の引用)

冬眠中のカエルの心情を表現した詩で文字は、中黒の点「・」1つです。筆者が小学生だったころの担任の先生は、この詩の解釈を子どもたちにさせた上で総括するように「カエルの冬眠とはそれくらい、寂しい毎日なのかもしれないね」と国語の授業で解説してくれました。

その解説を語る先生の姿を、教室の雰囲気を、教科書の1ページに印刷された「●」と、その周囲に広がる広大な余白を、大人になった今でも覚えています。

そろそろカエルが冬眠から目覚めるころ。この「世界一短い詩」から感じられる世界は広大です。あらためてこの世界一短い(と思われる)詩を味わってみてはいかがですか?

[参考]
ぶっとんでる詩人、草野心平が「最下層」のカエルを愛でるわけ – 産経新聞
The World’s Shortest Poem and Muhammad Ali – Elevate Your Education
New Explorations in Indian English Poetry – Kanwar Dinesh Singh
Fireflies – one letter and one word poems – Brief Poems

[All photos by Shutterstock.com]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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