【実はこれが日本一】当日券3,300円!入館料が最も高い美術館の「世界初にして唯一」とは?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Apr 11th, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、美術館の入館料に関する日本一を紹介します。

徳島県鳴門市の大塚国際美術館(俯瞰)
EMS-62 (Edited by 663h), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
 


 

「日本一入館料が高い」美術館

徳島県鳴門市の大塚国際美術館(入口)
663highland, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

先日、筆者の暮らす地方のまちに母親が遊びに来たので、近くの県立美術館に行きました。常設展示の鑑賞だけでいいとの話になったので、チケットを買うとびっくりです。70歳以上の入館料は無料で、小学生の入館料も無料でした。大人は1人300円。

さすがに、特別展の観覧を入れると(常設展+特別展のチケットの場合)、大人1人1,500円程度に値段が上がりますが、一部の情報によると、日本の美術館の入館料は平均して1,000円~1,800円との情報がありますので、平均的な金額といった感じです。

美術館は、博物館法2条1項で「博物館」の一種とされ、社会教育施設としても位置付けられています。その設立趣旨を踏まえ、入館料を抑えている場所が多いのかもしれませんね(最近の企画展は高いとの声もありますが)。

そのせいか「日本一入館料が高い」と言われ、『日本記録』にも記録保持者として認定される美術館の入館料でさえ大人用チケット(当日)で3,300円です。

記録保持者は、徳島県鳴門市にある「大塚国際美術館」。相場の2倍となっているため、見方によっては高く感じるかもしれません。

しかし、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド・東京ディズニーシー)、ハウステンボス、レゴランド、よみうりランド、志摩スペイン村、ひらかたパーク、サンリオピューロランドなど、日本にある代表的なテーマパークや遊園地と比べても割安です。

そもそも、社会教育施設の美術館と営利企業の運営するテーマパークは比較の対象にはならないのかもしれませんが、お出かけ先やデートスポットとしては同列のはずです。

世界最初にして唯一の陶板名画の美術館

安いからといって、各種のテーマパークや遊園地と比べて美術館の魅力が劣っているかといえば、もちろん違います。

入館料3,300円の大塚国際美術館は、地下3階・地上2階の建物で、延床面積が2万9,412平方メートルもあります。新国立美術館に次いで国内2位、私立の美術館としては1位との情報もあります。

もともとは『ポカリスエット』などで有名な大塚製薬グループの創業75周年事業として立ち上がった美術館です。

グループ会社の1つである大塚オーミ陶業株式会社の技術を生かして、オリジナルの絵画と同じ大きさの陶板上に特殊な技術で西洋の名画を再現する、世界最初にして唯一の陶板名画の美術館といった特色もあります。

レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』『最後の晩餐』、ピカソの『ゲルニカ』など、6名の選定委員が選抜した、世界26カ国の名画約1,000点が原寸大で展示されている上に、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画を、現地と同等の環境を再現して来館者に鑑賞させるなど、さまざまな工夫を凝らしてもいます。

「世界の名画をここで総ざらいして将来、現地に出かけて」というスタンスですね。

執筆時点で、グーグルレビューは1万288件が寄せられていて、平均の評価は5つ星満点で4.5です。トリップアドバイザーでも989件のレビューが寄せられていて5つ星満点中4.5星です。

大塚国際美術館は日本一高い入館料ながら、高いと感じさせない魅力があると、少なくない人が感じているようです。四国を訪れたら、徳島を訪れる機会があれば、ぜひ立ち寄りたい「日本一」の美術館と言えるかもしれませんね。

[参考]
※ 知恵蔵 – 朝日新聞社
※ 日本の美術館・博物館INDEX – 講談社
※ 大辞泉 – 小学館
日本で最も入館料の高い美術館 – 日本記録
美術館ストーリー – 大塚国際美術館
入館料3240円!日本一高い美術館とは – ABEMA TIMES
美術館入場料のお話し – 新潟美術学園
富山県立近代美術館事件編。弁護士Iからの「謎解き」挑戦状 – HOKUROKU

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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