【実はこれが日本一】11万KWの電力を供給!大分県が誇る温泉以外の日本一「地熱発電所」

Posted by: 坂本正敬

掲載日: May 23rd, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、「温泉県」大分県の、温泉とは別の日本一を紹介します。

大分県別府市の景観
©️(公社)ツーリズムおおいた
 


 

豊かな温泉の熱源は大分を別の日本一にも

大分県・九重町「八丁原発電所」
©️(公社)ツーリズムおおいた

大分県といえば、温泉を思い浮かべる人も多いと思います。別府温泉、由布院温泉など、全国に知られる温泉地が存在し、源泉数も湧出量も日本一を誇る県が大分県です。

そんな大分県には、温泉の豊富さに関係した別の日本一も存在します。日本最大の出力量を誇る地熱発電所「八丁原(はっちょうばる)発電所」ですね。

同発電所は、大分県・九重町にあります。九重町は大分県の西部に位置し、くじゅう連山など、周囲には山々が広がる地域です。

大分県くじゅう連山
©️(公社)ツーリズムおおいた

この山々をはじめ、県内には火山が多く、火山の地下にあるマグマだまりの熱によって「温泉県」大分の名湯(火山性温泉)が育まれています。

この地中にあるマグマだまりの熱は、良質な温泉をつくるだけでなく、地熱発電の熱源としても活用が可能なのです。

現に、大分県は地熱発電量が日本最多らしく、中でも八丁原発電所は日本最大の出力量を誇る地熱発電所となっています。

地熱でも大分は日本一


八丁原発電所(画像はWikipediaより)

そもそも日本は、アメリカ合衆国、インドネシアに次いで世界3位の地熱発電の資源を持つ資源国だとされています。

八丁原発電所は、1977年(昭和52年)の運転開始(1号機)以来、マグマだまりによって熱せられた地下水の蒸気の勢いで発電機を回し、約11万kW、一般家庭約3万7,000世帯分の電力を供給し続けています。すごいですよね。

しかも、二酸化炭素もほぼ出さず、昼夜・天候を問わず、衰え知らずに安定して電力を生み続ける「優等生」です。その地熱発電所の整備が現在、各地で進んでいるとの話。

大分県・九重町の八丁原地熱発電所
©️(公社)ツーリズムおおいた

しかし、地熱発電所の新設・運用には、国立公園や温泉地など周囲との関係調整も必要な上に、建設地決定のための調査そのものに大変な時間を要するため、なかなか整備が進まない(運用までに最低10年はかかる)現状があるそう。

また、運用を続けるうちに、熱水の中に含まれる各種の成分(スケール)が配管の中に付着し、配管内の通り道が狭くなって発電効率が落ちるため、定期的なメンテナンスも必要になるとのことです。

それでも、化石燃料に乏しい日本が誇る、貴重なエネルギー源のひとつ。その先進地が大分県で、日本最大の地熱発電所も大分県にあるのですね。

大分県の温泉に行った際には、豊かな温泉を育む熱源(マグマだまりの熱)が、未来の日本を支える地熱発電にも役立つのだと感じながら入湯してみてはいかがでしょうか。温泉の心地よさもまた、格別に深まるかもしれませんよ。

[参考]
日本で最も出力量の多い地熱発電所 – 日本記録
八丁原・大岳発電所 – 九州電力
森深く立ち上る純国産エネの「狼煙」 大分「八丁原発電所」 – 産経新聞
地熱発電ってなあに?(HTML版) – 資源エネルギー庁
噴き出す蒸気45年、衰えぬ地底の熱源 八丁原発電所 九州エネルギー行~写真で見る現場 – 日本経済新聞
国内初の地熱発電所を52年ぶりに更新へ、2種類の蒸気で出力2000kWアップ – スマートジャパン
八丁原発電所展示館 – 九州電力
大分を地熱発電の先進県に!再生可能エネルギーの取り組み – 【official】OAB Oita News
日本一の泉都!? 大分県の温泉がスゴイ5つの理由 – edit Oita
温泉の知識 – 大分県
温泉の特徴 – 大分県
日本一のおんせん県おおいた魅力も満載 – 総務省

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook