500年も雨が降らない!世界で最も乾燥したチリの砂漠【旅に関する面白いギネス記録】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: May 27th, 2023

1955年に書籍から始まった「ギネス世界記録」。人間が達成した記録や、自然界で起きた「世界一」など、さまざまな世界記録を認定・登録しています。その中から、旅行に関するギネス世界記録を紹介していきます。今回は、旅の目的地にもなってくれる砂漠のギネス世界記録を紹介します。

チリ・アタカマ砂漠
 


 

けた違いの年数で雨が降らない砂漠

チリ・アタカマ砂漠内の月の谷(ムーンバレー)
アタカマ砂漠内の月の谷(ムーンバレー)

砂漠といえば、どこの砂漠を思い浮かべますか? 筆者の場合は、ゴビ砂漠(中国とモンゴル)、タクラマカン砂漠(中国)、サハラ砂漠(アフリカ大陸北部)などの名前が真っ先に思い浮かびます。

ナミブ砂漠(アフリカ南西部)なども知名度が高いはずですが、「アタカマ砂漠」といわれたらどうでしょうか? どこの国にあるどんな砂漠なのか、答えられる人は多くないと思います。

世界には、いろいろな砂漠が存在しますが、このアタカマ砂漠は、砂漠らしい特徴によってギネス世界記録に認定されています。砂漠らしい特徴といえば「雨が降らない」ですよね。

南アメリカ大陸の西海岸、チリの北部に、南北1,200kmにわたって細長く伸びるアタカマ砂漠は、「この地球上で最も乾いた(雨が降らない)砂漠」だといわれています。

どのくらい雨が降らないのでしょうか? ちょっと予想してみてください。5年くらいでしょうか。10年くらいでしょうか。

アタカマ砂漠の中でも最も乾燥した地域に限っていえば、500年は降雨が確認されていないとの話。けた違いですよね。

ウユニ塩湖も近くにある

チリ・アタカマ砂漠に設置された巨大彫刻
アタカマ砂漠に設置された巨大彫刻 ©️Lukas Bischoff Photograph / Shutterstock.com

ギネス世界記録の記録名は「Driest desert(最も乾燥した砂漠)」です。手元に地図がある人は、チリの北部にアタカマ塩地(塩原)の地名が確認できるはずです。通称「アタカマ塩湖」です。

TABIZINEの読者であれば、きっと「塩地(塩原)」「塩湖」のキーワードで、別の有名な観光スポットを連想した人もいるはず。

アタカマ塩地から500kmほど北へ向かい、国境を越えてボリビアへ入るとウユニ塩地(塩原)があります。ウユニ塩原といえば、通称「ウユニ塩湖」で有名ですよね。地理的には、まさにあのあたり。

雨が降らない理由

チリ・アタカマ砂漠の絶景
どうしてこの砂漠は、これほどまでに雨が降らないのでしょう。『ブリタニカ国際大百科事典』には、まず、アタカマ砂漠の北東に広がるアマゾンの低地から吹き込む湿った空気が、アンデス山脈にさえぎられるからだと書かれています。

その上、西部の沿岸を流れる冷たいペルー海流のせいで、海面近くの気温が低く、上空に行くほど気温が高くなる(普通は、上空に行くほど気温が低くなる)逆転状態が周囲に発生しています。

この逆転状態では大気が極めて安定するため、降雨が極めて少なくなり、結果として、世界で最も乾燥した、雨が降らない砂漠となっているのですね。

アタカマ砂漠からウユニ塩原(通称・ウユニ塩湖)まで陸路で移動する観光ツアーなども存在するようです。ウユニ塩湖を訪れたいと思う人は、せっかくなら世界で最も乾燥する砂漠も巡ってみてはいかがですか?

[参考]
Driest desert – Guinness World Records
※ ブリタニカ国際大百科事典
※ 日本大百科全書
自然の宝庫~アタカマ砂漠とウユニ塩湖~【アタカマ砂漠編】 – エス・ティー・ワールド
ウユニ塩湖のもう一つの顔である塩原「塩砂漠」を楽しむ – ブループラネットツアー

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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