【日本の不思議スポット14】日本三奇のひとつ! 水面に浮かんでいるように見える「生石神社(石の宝殿)」〜兵庫県高砂市〜

Posted by: あやみ

掲載日: Aug 16th, 2023

日本には古くから「奇跡」といわれる建造物が点在しています。そのなかで、江戸時代の医者、橘南谿(たちばななんけい)が書物で、「3つの奇跡」と紹介した「日本三奇」と呼ばれるものがあります。そのうちのひとつが、兵庫県高砂市の生石神社にある「石の宝殿」です。今回は、水面に浮かんでいるように見える摩訶不思議なこの宝殿の謎に迫ります。

生石神社
ChiefHira, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
 


 

聖徳太子の時代に物部守屋がつくった!? 謎多き「石の宝殿」

石の宝殿
Saigen Jiro, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

「石の宝殿(いしのほうでん)」とは、生石神社(おうしこじんじゃ)の裏手にある、三方を岩盤に囲まれた横6.5m、高さ5.6m、奥行き7.5m、最新の調査では、体積が約203.5立方メートル、総重量約500tと推測されている巨大な石造物です。深く切り込まれた窪みの水によって、水面に浮かんでいるように見えることから「浮石(うきいし)」とも呼ばれていて、生石神社の御神体として祀られています。

多くの謎に包まれたこの巨石は、宮城県塩竈市御釜神社の「四口の神竈(よんくのしんかま)」、宮崎県高原町霧島東神社の「天逆鉾(あまのさかほこ)」と並んで日本三奇のひとつに挙げられます。

『播磨國風土記』によると、聖徳太子の時代に物部守屋(もののべのもりや)によって建立されたとありますが、時代的に矛盾があり、本当のことはわかっていません。

つまり石の宝殿はいつ、誰が、何の目的でつくったのか謎のままなのです。不思議な石造物として多くの人の興味を引いています。

生石神社の御祭神に残る言い伝え

神代の昔、大穴牟遅(おおあなむち)と少毘古那(すくなひこな)の二神が、天津神の命を受けて出雲国より播磨国を訪問した際、相談して、国土を鎮めるのに相応しい石造りの宮殿を建てることにしました。

ところが、一夜で現在の形までつくり上げたものの、作業の途中で阿賀の神(播磨の土着の神)が反乱を起こし、宮殿造営を止めることに。そして、多数の神様を集めて反乱を鎮圧している間に、夜が明けてしまったのです。そのため、宮殿は横倒しのまま起こすことができませんでした。

しかし、大穴牟遅と少毘古那の霊はこの未完の石に籠り、「永劫に国土を鎮めん」と言明しました。

神話も含めると由来は40説以上! 「石の宝殿」ミステリー

石の宝殿 裏側
ChiefHira, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

石の宝殿の裏側、三角形の突起した部分をよく見ると、家の屋根のように見えることから、この部分が上部で正面が底部で、現在の状態は未完成だという説があります。

とはいえ、家のような形をした神殿なのか、御神体なのか、完成しているのか、未完成なのか、どこかに運ぶつもりだったのかなど、すべては謎で、神話を含めると、石の宝殿の由来は40説以上もあります。

さらに「石の宝殿」には以下のような不思議やトリビアも!

  • 石の宝殿の裏側、三角の突起の左側に手を当てると、ピリピリと電気が伝わる感じがしたり、ポッと暖かくなる感じがしたりする
  • 本殿向かって右側には、石の宝殿の分岩「霊岩」があり、パワースポットとして人気を集めている
  • 1579年、豊臣秀吉(当時の羽柴秀吉)が三木城攻略の際、生石神社を陣所として貸与するようにとの申し出を宮司が拒否。秀吉が怒って神社を焼き討ちしたことから、石が焼かれて赤く変化している
  • 大手前大学史学研究所の協力により、現代の機器を用いて調査を行っても、「石の宝殿の謎」を明確に解き明かすに至らなかった
  • 長崎から江戸へ上る道中で訪れた、ドイツ人の医師・博物学者であるシーボルトは、石の宝殿の詳細なスケッチを3枚残している

この「石の宝殿」の迫力は、ぜひとも自分の目で見て体感したいですね。

生石神社
住所:兵庫県高砂市阿弥陀町生石171
電話:079-447-1006
交通アクセス:JR「宝殿駅」から徒歩約25分
公式サイト:http://www.ishinohouden.jp/

謡曲『高砂』の発祥の地として知られ、縁結びで有名な「高砂神社」

高砂神社
生石神社から車で約15分のところにある「高砂神社」は、約1,700年前に創建された神社。「高砂や~この浦舟に帆をあげて…」という歌詞の謡曲『高砂』の発祥の地として知られています。

また、境内には結納には欠かせない「尉(じょう)」と「姥(うば)」の由来である霊松「相生の松」があり、縁結びの神社としても有名! 「相生松」は、一本の根から雌と雄の松が生えているのです。そのため、今でもこの松の前で結婚式を挙げるカップルが大勢います。

さらに、境内には能舞台もあり、例年10月に『高砂観月能』を上演しています。

「生石神社」とあわせて訪れれば、目に見えない不思議なパワーをたくさんいただくことができそうですね。

高砂神社
住所:兵庫県高砂市高砂町東宮町190
電話:079-442-0160
参拝時間:9:00~18:00
交通アクセス:山陽電鉄「高砂駅」から徒歩約15分、JR「加古川駅」からタクシーで約15分
公式サイト:http://takasagojinja.takara-bune.net/

 

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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