TABIZINE > 北海道・東北 > 青森県 > 観光 > 【日本三大美林】青森「青森ヒバ」・秋田「秋田スギ」・長野「木曽ヒノキ」の歴史と見どころ

【日本三大美林】青森「青森ヒバ」・秋田「秋田スギ」・長野「木曽ヒノキ」の歴史と見どころ

Posted by: あやみ
掲載日: Dec 10th, 2023.

「美林」とはその名の通り、美しい林のことです。日本の国土の3分の2は森林で覆われていますが、森林には人工林と天然林の2つがあります。日本三大美林に挙げられる青森県の「青森ヒバ」、秋田県の「秋田スギ」、長野県の「木曽ヒノキ」はいずれも天然林です。昔から質の良い木材として使われてきました。今回は、そんな日本三大美林の魅力や歴史をわかりやすくご紹介します。

Facebook はてなブックマーク LINEで送る コメント

長野県・木曽ヒノキ
 


 


不思議な立ち枯れたヒバの埋没林も! 昔から建築材料として重宝されてきた「青森ヒバ」(青森県)

薬研渓流
青森ヒバやブナが繁る「薬研渓流」 ©︎青森県

青森県の木に指定されている「青森ヒバ」は、樹高30m、直径80cmに達する日本特有の針葉樹高木です。青森ヒバは「ヒノキアスナロ」という種類で、1901年に日本で最初の林学博士である本多静六が、従来のアスナロと青森県のアスナロに違いがあることを見つけ、日本の植物分類学の父とされる牧野富太郎が、アスナロの一変種「ヒノキアスナロ」と命名したもの。

木曽地方を中心に九州鹿児島県に掛けて分布するアスナロも、青森県を中心に北海道南部から関東北部にかけて分布するヒノキアスナロも、どちらも一般的に「ヒバ」と呼ばれていますが、アスナロが南方系のヒバ、一方のヒノキアスナロは北方系のヒバとされています。そして、青森県内に日本国内のヒバ蓄積量の8割以上が集中しており、青森県内に生育しているヒノキアスナロは「青森ヒバ」と呼ばれているのです。

また、ヒバは古くから神社仏閣などの建築材料として重宝されていて、なかでも平泉の「中尊寺金色堂」、弘前の「弘前城」は代表的な建築物です。なお、今でもヒバは住宅の建築材料として使用されています。

さらに青森県下北半島猿ヶ森にはヒバ埋没林も。なんと数百年前から数千年前に立ち枯れたヒバが猿ヶ森砂丘の砂に埋もれて残っているのだとか。かつて下北半島はヒバの大森林地帯だったそうです。しかし、数千年前から海から砂が打ち上げられ、立ち枯れたヒバが砂に埋もれたといいます。その一部の埋もれたヒバを埋没林として現在、見ることができるのです。

立ち枯れたヒバの周りを松林が覆うという不思議な光景を眺めに、訪れるのもいいかもしれませんね。ヒバ埋没林へのアクセスは、青森県むつ市内から国道338号線に入り、案内標識を見ながら車で40分。駐車場から松林の中を歩いて5分です。

530万年前から生育していた!日本各地で使われてきた歴史がある「秋田スギ」(秋田県)

秋田県・秋田スギ
古くから住宅用の建築材として使用されてきた「秋田スギ」は、特に秋田県の北部を流れる米代川流域に分布しています。標準的樹齢は200~250年といわれ、年輪幅がそろい、木目が細かく強度に優れているのが特徴です。

美しい柾目を利用した高級内装材、天井板に使われたり、曲げわっぱや桶・樽といった伝統工芸品としても利用されたりしています。

秋田スギのはじまりは古く、化石から530万年前にはスギが生育していたことが明らかになっています。平安初期には、払田柵跡(ほったさくあと)の外郭の柵木にスギの角材が使われています。さらに『万葉集』には、人が植えたスギについて詠んだ歌が載っており、すでにこの時代にスギの植林が行われていたことがわかっているのです。

そして、戦国時代には天下統一を果たした豊臣秀吉が、造船や伏見城建築を行う際、秋田スギに注目し、伐採された秋田スギは、船や伏見城に使われました。その後も徳川幕府から上納されたり、江戸や上方(大阪)で販売されたり、日本各地で使われてきました。

そんな秋田スギの迫力が間近で感じられるのが、秋田県能代市の「仁鮒水沢スギ植物群落保護林」です。ここには、秋田県天然記念物の日本一高い秋田スギ「きみまち杉」があります。駐車場から100mほど森の中に入ると、天然秋田スギの巨木が林立していて圧巻です。

林道は整備されていて、歩きやすいため、旅行ついでに森林浴をしに訪れるのも良さそうですね。

伊勢神宮の遷宮用材にも、江戸時代から守り続けられている「木曽ヒノキ」(長野県)

長野県・木曽ヒノキの林
日本で最もヒノキの分布が集中しているのが、長野県木曽地域から裏木曽地域(飛騨南部、東濃地域)にかけてです。この地域に分布するヒノキは「木曽ヒノキ」と呼ばれています。ヒノキは優れた耐久性や抗菌作用があるため、日本最古の木造建築物、法隆寺、五重の塔にも使われていますが、木曽ヒノキは、木目が緻密で美しいのが特徴的です。伊勢神宮の遷宮用材や高級建築用材としても使用されています。

また、木曽の山々の美林は「木曽五木」が主体となって形成されています。木曽五木の歴史は江戸時代にさかのぼります。木曽谷の森林は、尾張藩直轄の領地でした。当時から良質な木材として知られており、江戸城の築城や造船、土木用材などに使われていたのです。

ところが、約100年間に渡り、伐採され続けたため、木材資源が枯渇してしまいます。そのため、尾張藩は森林保護政策として「停止木(ちょうじぼく)制度」を設け、ヒノキのほか、サワラ、アスナロ、ネズコ、コウヤマキの伐採を禁じました。ヒノキの保護が目的だったので、ヒノキに外観が似た樹種も保護の対象になったのです。このようにして保護された樹種は「木曽五木」と呼ばれ、今では木曽谷の名産品に。

樹齢300年以上の天然木曽ヒノキが林立する見事な光景が眺められるのが、長野県木曽郡上松町の「赤沢自然休養林」です。この場所は、森林浴発祥の地でもあります。尾張藩が設けた制度により守られ続けてきた木曽ヒノキの森をぜひ見に行きたいですね。

[参考]
東北森林管理局
下北ジオパーク推進協議会事務局
上松町観光サイト

[Photos by Shutterstock.com]

あやみ

Ayami ライター
フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。


, | 豆知識,北海道・東北,中部,青森県,秋田県,長野県,観光,観光,観光


青森県の観光関連リンク




鶴の舞橋 鶴の舞橋
長野県・木曽ヒノキ 長野県・木曽ヒノキ
弘南鉄道大鰐線 弘南鉄道大鰐線
和歌山県・比叡山(秋) 和歌山県・比叡山(秋)
鶴泊〜板柳 鶴泊〜板柳
奥入瀬渓流ホテル 奥入瀬渓流ホテル
りんご風呂 りんご風呂
1 2 3 4 5 6 7 8 NEXT

#日本三大 #自然