海外旅行の楽しい時間が台無しになるスリや置引き
海外旅行に出かけて街歩きや市場での買い物中、人混みでスリや置引きなどの盗難に遭ってしまったら、せっかくの楽しい時間が台無しになってしまいます。突然のうえに慣れない海外で、どのように対処すればよいのでしょうか? アディーレ法律事務所の神野由貴弁護士が解説します。
Q. 海外旅行でスリや置引きなどの盗難に遭ったらどうすればいい?
盗難被害に遭った時にするべきこと
被害に気付いたらまず、現地の警察に通報し、被害届の受理書(ポリスレポート)を受け取るようにしましょう。パスポートの発給申請や保険請求などの際に必要となります。
しかし、海外旅行の場合、言葉がわからないことが多いはずです。そのような場合には、日本の大使館や総領事館に相談してください。現地警察への届け出に関する助言をしてくれます。
ただし、大使館や総領事館が、現地警察への被害届け出の代行や、犯罪捜査や犯人の逮捕をすることはできません。
パスポートを盗まれた場合
特に海外でパスポートを盗まれたら大変です。盗難に気が付いたら、すみやかに最寄りの大使館や総領事館に連絡しましょう。
大使館や総領事館では、パスポートの新規発給またはパスポートに代わる「帰国のための渡航書」を発給してくれます(手数料は必要です)。発行には、当日〜2日ほどかかります。また、盗まれたのではなく、落とした場合でも対処は同じです。
航空券やクレジットカードを盗まれた場合
帰りの航空券を盗まれた場合は購入先の旅行会社や航空会社に、クレジットカードを盗まれた場合は不正使用のおそれがあるため、そのカードの発行会社に連絡してください。海外旅行保険に加入している場合は、加入先の保険会社にも連絡しましょう。
そして、旅行に出かける前にこれらの連絡先をメモしておき、旅行中はいつも持ち歩くことをおすすめします。
なお、大使館や総領事館が、盗まれたクレジットカードの失効手続を代わりに行ってくれることはありません。盗難により手持ちの現金が不足したからといって、大使館や総領事館が金銭を供与してくれることもありません。
もっとも、日本にいる家族や知人にお金を送ってもらう場合に、日本からの送金方法について教えてくれます。
被害に遭わないように気を付けておくべきこと
スリの被害に遭わないよう、見知らぬ人から不審な行為をされた場合であっても、自分の手荷物から目や手を離さないようにし、常に意識しておくようにしましょう。
たとえば、通りすがりにぶつかって、持っていたソフトクリームなどの食べ物で服を汚し、気を引いている隙に別の仲間が財布などを盗むといった手口のスリがよくあります。また、置引きの被害にあわないよう、手荷物からはなるべく手を離さないようにし、やむを得ず足元などに置く場合にも、常に体に触れるように置いてください。
旅行者は狙われやすいため、一目で旅行者とわかるような服装は避け、多額の現金や貴重品はなるべく持ち歩かないことも有効な防犯対策とされています。
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アディーレ法律事務所
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