「複合遺産」って?
ユネスコの世界遺産は大きくわけて、「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3つに分類されます。複合遺産は、文化遺産と自然遺産両方の登録基準を満たすもので、世界遺産全1031件のうちわずか32件と数少ない貴重な遺産なのです(2015年)。
ユニークかつ壮大なスポットが多い複合遺産は、観光地としても見応え十分。魅力あふれる複合遺産のうち、一生に一度は行きたい3スポットをご紹介します。
ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群(トルコ)
数万年の歳月をかけて自然が生み出した、キノコのような奇岩が無数に連なる姿はまさに圧巻です。あまりにも非日常的な光景に、異次元の世界に来たような気分にさせられるほど。
7~13世紀のあいだ、イスラム勢力からの迫害を恐れてここに隠れ住んでいたキリスト教徒たちが洞窟内に築いた聖堂や修道院、地下都市などが残っています。
カッパドキア名物の洞窟ホテルに泊まったり、気球に乗って上空から奇岩群を眺めたりと一味違った経験が待っていますよ。
ウルル=カタ・ジュタ国立公園(オーストラリア)
「エアーズ・ロック」の通称で知られる、世界で2番目に大きい一枚岩「ウルル」と、一枚岩が割れてできた奇岩群「カタ・ジュタ」。
悠久の歳月が造り上げた壮大な景観から、ウルルは「世界の中心」と呼ばれることもあります。
2万年以上も前からこの地に住む先住民・アボリジニは、ウルルとカタ・ジュタを古来より聖地としてあがめてきました。
ここを訪れたらぜひ見たいのがサンセット。赤茶色のウルルが夕陽に照らされて真っ赤に染まる一瞬はまさに「感動」の一言です。
マチュピチュの歴史保護区(ペルー)
つねに「一生に一度は行きたい世界遺産」の筆頭に挙がる存在。標高2430メートルの山頂にあり、山の下からは見ることができないため「空中都市」とも呼ばれています。
いまだ謎の多いマチュピチュですが、15世紀半ばに造られ、100年ほどで放棄されたインカ帝国の都市遺跡であることがわかっています。
周辺の自然環境には、コンドルをはじめとする絶滅危惧種・危急種が確認されています。
マチュピチュで見逃せないのが日の出。朝靄の中にたたずむその姿は一段と神秘的で、インカの人々の息づかいが聞こえてくるかもしれません。
圧倒的な存在感をもって私たちに語りかけてくる風景の数々。複合遺産は、まさに自然と人類の営みが融合してできた、後世に残したい遺産なのです。
[日本ユネスコ協会連盟]
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