『フィンエアーで往く、英国周遊の旅』へ出発する前のハナシ。英国大使館で事前打ち合わせが行われ、こう一言告げられました。
「コッツウォルズ地方にあるミクルトン村のホテルでは、プディング・クラブを体験して貰います。」
プディング・クラブ・・・はて、何のことであろう? 私の第一疑問といえば、「プディング・クラブ」という存在そのもの。簡単な説明を受けつつも、おとぎ話のような未知な世界に全くイメージが沸かずのまま帰宅。そして、打ち合わせ時に頂いた、「イギリスの暮らし」をテーマにした雑誌『RSVP 第7号』をペラリとめくり、私は唖然としました。
「なっなんだ!? プディング・クラブとはこのことなのか!」と。
「プディング・クラブ」を今から30年以上前に誕生させ、いわば本拠地と称されているのが、今回ご紹介する『Three Ways House Hotel(スリーウェイズ・ハウス・ホテル)』。
※ロンドンから約90分、シェイクスピアの街ストラットフォード・アポン・エイボンからは約10分の場所に位置。
「プディング・クラブ」とはなんぞや? ということをお伝えする前に、先ずはホテルの中に入ってみましょうか?
あっと驚いてしまう「プディング・スイートルーム」の様子も・・・この後登場するのでお見逃し無く。
数々のレストラン賞受賞経験もある「スリーウェイズ・ハウス・ホテル」
『スリーウェイズ・ハウス・ホテル』は、ジルさんサイモンさん夫妻、そしてピーターさんによる3名で営まれ、48部屋のユニークなベットルームが見どころのホテル。
「プディング(イギリスの伝統デザート)」をテーマにデコレーションされた7部屋は、それぞれ客室内装やインテリアが異なり、遊び心溢れる演出はリピーターにとってもたまりません。
※プディングの名称が刺繍された『スリーウェイズ・ハウス・ホテル』のオリジナルベアーも発見!
ホテル出発当日の朝、館内を超特急(笑)で散策したので、その時に撮りためた写真も貼っておきますね。
各レストランごとのイメージもだいぶ違いますよね? 温かい雰囲気は共通しながらも、同じホテルとは思えないような異なるインテリアデザインも素敵です。
いとをかし・・・探偵のような気持ちで「プディング・スイートルーム」を検証する。私が宿泊した「プディング・スイートルーム」は落ち着いた色合いのモダンタイプ。「このお部屋・・・女性向き?」という第一印象を持ちながらも、所々にキニナルお洒落な要素がたくさん。
なかでもインパクト大であったのが、扉に描かれているオジ様。「この先には何が!?」とワクワクとした気持ちのまま・・・さぁ、いざOPEN!!
大きなバスタブ! 大の字になって優雅にくつろげるバスタブって嬉しい。
しかしながら、扉を振り返ると・・・
エッ・・・モジャモジャの足??? ひぃ~。
バブルバスタイム中も、何故だかこのモジャ足が気になって仕方が無い。どう見たってお尻掻いてますし。(しかも、たるんだヒップライン)見張ってくれているような気もするけれど、見られている気分の方が勝る。
そして、私はこの「プディング・スイートルーム」がおそらく男性向けであろう証拠を掴むのであった。(キラーン!)
それは、英国王室御用達ブランド「MOLTON BROWN(モルトンブラウン)」のアメニティ。
自称コスメマニアな私は、用意されたアメニティの香りをクンクンと犬のように嗅いで気が付いたのである。「あー。これは完全にメンズ用!」だと!「モルトブラウン」には幅広い展開があるのに、よりによって完璧メンズライクな香りばかりが置かれている。
いてもたってもいられなくなった私は、直ぐさま検索しましたよ。
結論:全てメンズページに掲載されているアイテムであった。
ジンセン、パチョリ、シナモン、レモンをブレンドしていたり、ジャスミン、ハニーサックル、ココナッツ、サンダルウッドを用いていたりするあたり・・・うむ、メンズライクよね。勿論、ユニセックスで使ってもOKだけれど、この「モルトブラウン」が確かな証拠となったのは言うまでもない。ちょっぴり探偵気取りでチェキをしたことを、同行メンバーには内緒にしておいたのであります。ふふふ。
「ソンナコトドウデモイイジャナイ! タノシインダカラ!ハヤクヨウイシナイトパーティーマニアワナイヨ!」
そうパディントンに促され、私はそそくさと準備をし、あの「プディング・クラブ」会場へと向かうのでありました。
これぞ英国料理!? 人生で一度は体験すべき「プディング・クラブ」
主に週末金曜日夜に開催されいている「プディング・クラブ」。あっ! その前に、プディングそのもの自体を先にお伝えしておかないとでしたね!
イギリスでつくり始められた菓子および料理のこと。小麦粉、米、ラード、肉、卵、牛乳、バター、果物などの材料を混ぜて、砂糖、塩などの調味料や香辛料で味付けし、煮たり蒸したり焼いたりして固めた料理の総称。
そして、「プディング・クラブ」とは《イギリスの伝統料理プディングを復活させる》という趣旨で1985年に結成されたクラブ。のことであります。
「プディング・クラブ」発祥の『スリーウェイズ・ハウス・ホテル』では、季節を問わずほぼ毎回満席になるほどの大人気イベント! テレビや雑誌などのメディアでも頻繁に取り上げられているだけでなく、アメリカ、日本、韓国など、世界各国でもイベントが開催されています。
プディングだけをひたすら食べるのかと思いきや、実は肉や魚料理もしっかり振る舞われるとは。
このあたりまでは、私たちも和やかムード。
料理をしっかり堪能した後、”輝かしいばかりのプディングたちの洗礼”を受けることとなるとは、メンバー一同の誰もが想像していなかったであろう。とか言いながらも、この日用意されるプディングは黒板に記載されていたので、なんとな~くは予想はしていた? のですがね。
食事も落ち着いたところ(既に満腹)で、プディングパレードがスタート! スタッフ、参加者が一つずつ大皿のプディングを運んできて、会場は一気にヒートアップするのです。
声援が響き、拍手喝采なプディング紹介のなかでも、我がチームの代表であるあやちゃん登場時は大盛り上がり。初めて会う皆さんの笑顔も眩しい!
この後、様々なプディングを味わうことになる訳ですが、プディングは一度に一つだけ盛れるという暗黙のルールがあり、それをちゃんと食べきらないと、次のプディングを楽しめないのであります。
「あまり沢山盛らないで下さい・・・。」と弱気な私を尻目に、イギリス人の皆さんはいろいろガッツリと食べている!!
しかも、各テーブルからは「あぁ、アップル・クランブルがたまらないのよ~。」「俺はやっぱり、スティッキートフィー・プディングが最高だぜ!」「なーに言ってるのよ、ブレッド&バターが一番なんだから。」などの賑やかで楽しげな声が飛び交い、みな和気あいあい。
その様子を写真にも納めたかったくらいなのだけれど、彩り鮮やかなプディングたちと必死に戦っていた私は、何故だかこの写真だけしか残っていない。
ひとしきり食べきった後は、お気に入りのプディング投票もあったりと、とにかくお祝いムード一色! あぁ、「プディング・クラブ」よ。なんて刺激的なイベントなのであろう。日本にいる皆さんにも、人生で一度、いや二度以上は「プディング・クラブ」を楽しんで欲しい。もし、あなたがプディング全種類を制覇したのならば、その舌と胃、さらには脳(キオク)で、英国の神髄をも確かめることが出来るでしょう。
【補足】『RSVP 第7号』には、「プディング・クラブ」のレポートが6ページに渡り特集が組まれています。
住所:Chapel Ln, Mickleton, Chipping Campden GL55 6SB, England
TEL:+44 1386 438429
(1)【連載】成田からヘルシンキへ。フィンエアーのビジネスクラス体験記(前編)
https://tabizine.jp/2016/04/22/71169/
(2)【連載】コックピット初潜入!フィンエアービジネスクラス体験記(後編)
https://tabizine.jp/2016/04/23/71752/
(3)【連載】歴史ある邸宅を改装。英国伝統、憧れの「マナーハウス」に宿泊
https://tabizine.jp/2016/04/24/71797/
(4)【連載】英国映画ロケ地巡り。歴史ある貴族の館でタイムトラベル!
https://tabizine.jp/2016/04/25/72280/
(5)【連載】英国伝統菓子「ベイクウェル・プディング」発祥地のティールーム
https://tabizine.jp/2016/04/26/72543/
(6)【連載】可愛くて萌える!英国陶磁器の里「ストーク・オン・トレント」大特集
https://tabizine.jp/2016/04/27/72824/
(7)【連載】陶磁器マニア必見!「ワールド・オブ・ウェッジウッド」に潜入取材
https://tabizine.jp/2016/04/28/73179/
[Photos by Izumin]