海外生活に慣れても、生まれ育った日本のものが恋しい時があります。日本にいる時は、何とも思わないものでも、海外で暮らすと価値が分かるもの。自ずから決めた海外生活であっても、やっぱり、生活に必要な日本のものとは。ニューヨーク在住の筆者が実感するマイベスト10をご紹介。
10位.温泉代わりの入浴剤
日本の狭いユニットバスに比べたら、ゆったりと横になれるバスタブは恵まれているでしょう。しかしながら、露天風呂や豊かな泉質の温泉は、日本の宝。友人に送ってもらった温泉成分の入浴剤を大事にちびちびと使いながら、ああ、日本の雪見風呂は良かったわ〜と思い出します。
9位.下着類
特に女性もの。身体の厚み自体が違うので、ブラなどサイズが合わず困ります。欧米人は円筒形の体型なので、身体が平べったい日本人には、すでにアンダーバストが合いません。
また品質基準検査が日本に比べて緩いと思われ、下着の上下とも縫製が荒く、長持ちしないのもガッカリ。
8位.季節の行事
お正月のおせち、雛祭りのお雛様(小さな代用品)、御彼岸のぼたもちなど、ささやかでも行います。
7位.和食器
洋風、和風のどちらの料理とも合う和食器は重宝。趣味の良い伊万里風、藍の食器などが置いてある店はごく少なく、しかも高価なので買えません。簡単に買えない和食器を落として壊してしまったりすると、大ショック。日本から大事に持ってきたお気に入りの食器は、減りつつあります(涙)。帰国や引越しする日本人から譲り受けることもありますよ。
6位.日本の基礎化粧品
毎日使う肌質に合った洗顔剤は、女性にとっては大事なものです。中国や韓国の女性からも支持が高いビオレやパーフェクト・ホイップなどは日本では安価ですが、ニューヨークでは2倍以上の価格。アメリカでは化粧水の習慣が少ないのか、あまり売っておらず、肌質に合うものを見つけ出すのも結構大変。個人的には、安価で質の良いクリーム肌水がお気に入りなのですが、ニューヨークではやはり2倍以上します。
5位.日本の市販薬
飲みなれた風邪薬や胃薬、便秘薬は、必要と痛感します。アメリカでは医薬基準が異なるので、日本人には強すぎたり、合わなかったりすることがあります。
4位.お気に入りの漫画
日本での何回かの引越しでも処分できなかった思い入れのある漫画。渡米の際、ほとんどは泣く泣く処分したものの、唯一ニューヨークへ持ってきたのが、山岸凉子氏の「舞姫・テレプシコーラ」。感動した漫画は、繰り返し読みたくなるもの。今でも、時々読み返しています。
けれど、ニューヨークにはブックオフがあり、運とタイミングが良ければ、好みの書籍や漫画は入手可能。割高になりますが、新刊なら紀伊国屋で。
3位.日本語の活字
テレビ、新聞、本、ウェブなど、アメリカは基本的には英語なので、理解しようとずっと見ていると、大変疲れます。日本語に触れるとやはりホッとしますね。美しい季語、ひらがな・漢字でバリエーション、余韻を感じる行間など日本語の良さに気づいたのも、海外移住してからです。
2位.和菓子
全日本粒餡党(勝手に結成)でもある筆者にとっては、和菓子はやっぱり最高のスイーツ。ニューヨークの日系、中国系スーパーでも大福など買えますが、ちょっとイマイチ。普段使いでも美味しかった、駅前の餅菓子屋の豆大福やみたらしだんごなどが恋しくなります。海外在住の日本人は、筆者を含め、お汁粉やぼたもち、あんみつなど涙ぐましくホームメイドで作っていることでしょう。売っていなければ、作るしかないのですから。
1位.和食
それほど和食党ではなかったはずなのに、渡米後和食の良さを実感。日本人の身体は、米、麺類、餅、海苔、お茶、醤油などで出来ているのだと自覚しました。どこの国の人に聞いても、母国を離れて恋しいものは「食」という人が多いですね。
朝ごはんには納豆が欠かせませんし、食欲のない暑い夏には「そば」や「そうめん」、冬には鍋物と和食を選んでいる自分に気づきます。和食をいただいていると、体調も良いものです。
和食の素晴らしさは、世界中で評価されており、ニューヨークにも多くの和食店が出店しています。
海外に住んでいる日本人は何を食べている? NY編
【NY最前線】NYタイムズも極秘取材!今NYは「和食の心」を求めている
やっぱり和食が好き。ニューヨークで日本の味が恋しくなったら
海外で実感する和食の素晴らしさ。大人は本格「炉端焼き」でNYの夜を楽しむ
離れてみてはじめて分かる、日本の良さ。あって当たり前のものが入手困難な状況(品薄、高価を含む)になって、ありがたみがしみじみ分かるものです。
長期の海外旅行、海外移住の予定があるあなたは、参考にしてみてくださいね。今回は日本の「モノ」に拘り、家族や友人、和の心などは、別としています。
[Photos by Shutterstock.com]